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第2回 ビジネスメールの型を身に付けよう【1】宛先(TO、CC、BCCの使い分け)

メールを送る先を指定する欄、それが「宛先」です。

この宛先にメールを送りたい相手のメールアドレスが入っていなければ、メールを送ることはできません。

メールの宛先は、手紙でいう住所のようなもの。メールでは宛先を指定する欄が、「TO」「CC」「BCC」の3か所あります。

今回は、メールの宛先(TO・CC・BCC)について説明します。


この記事の著者
株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役  一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事 

メールの宛先の基礎知識

メールを送る先を指定する欄が「宛先」です。メールを送りたい相手のメールアドレスを設定します。「宛先」に何も入っていなければ、メールを送ることはできません。

メールの「宛先」は、手紙でいう住所のようなものです。手紙の場合、宛先を書く欄は封筒の表面のみですが、メールの場合は宛先を指定する欄が3か所あります。それが「TO」「CC」「BCC」です。

「どこにメールアドレスを入れたって、送れるんでしょ?」
「使い分けなんて気にしなくてもよいのでは?」

そう思っている人がいたら要注意です。

「TO」「CC」「BCC」は、メールを送りたい相手を指定する欄であることに違いはありません。メールアドレスを入力して、送信ボタンを押せばメールは送れます。しかし、それぞれ目的や役割が異なります。メールを正しく届けるには、「TO」「CC」「BCC」それぞれの特徴と違いを知り、適切に使い分けることが必要です。

「BCCで送るべきところをCCで送ってしまいメールアドレスが漏えいしてしまった」

こうしたメールに関するニュースが後を絶ちません。企業が謝罪のプレスリリースを発表することも珍しくないのです。一通のメールの間違いが、企業の信頼を損ない、重要な問題に発展することもあります。

「TO」「CC」「BCC」の違いを理解して、細心の注意を払ってメールを使っていれば、防げたことかもしれません。しっかり理解しましょう。

返信義務 特徴
TO(宛先) メールを送りたい相手を指定
CC メールを共有したい相手を指定
BCC 受信していることを隠して送りたい相手を指定
TO、CCで受信している人には見えない

TO(宛先)

メールを送りたい相手を指定します。手紙でいう「○〇さんへ」に該当する主な送り先です。必ず読んでほしい、返事がほしい相手を「TO」に入れます。「TO」でメールを受け取った人は、内容を確認して対応します。

「TO」には原則、1人を指定します。手紙だと一人へ送りますが、メールは複数の人へ同時に送ることができるため、「TO」に1人以上を指定することもできるのです。

ただ、複数の人を「TO」に設定すると「誰が確認するの?返信するの?」と責任の所在が曖昧になり、本来の「TO」の役割が薄れてしまいます。

とはいえ、責任もってメールを読んで欲しい人が複数いるケースもあるでしょう。誰か一人に限ることができない。一度にメールを送る理由がある。

そのようなときは、メールの本文に「山田さんには〇○をお願いします」「佐藤さんには◇◇をお願いします」と、メールを受け取ったらどうしてほしいのかを書いておくと、誰も対応しないという事態を避けることができます。

CC(Carbon Copy)

メールを共有したい相手を指定します。責任もってメールを読み、対応してもらいたい人を指定するのは「TO」です。「CC」には、対応する必要はないけれど、メールを送っていることやその内容を共有したい人を入れます。

「CC」でメールを受け取った人は、自分が共有することを求められたから届いたメールであることを理解して、共有されている以上は確認する必要があります。

返信するときは「TO」の人へ配慮することを忘れずに。「TO」の人をさしおいて「CC」の人が返信すると責任の所在が曖昧になって誤解を招く可能性があるので注意しましょう。

CCに入れるときは、共有が必要な相手か、共有が必要な内容かどうかを考えてから送る配慮が大切です。仕事で受け取るメールの通数は増えています。相手がどのような環境でメールを処理しているか分かりません。無駄なメールを増やせば、それだけ相手にも迷惑をかけてしまいます。CCで受け取った人が「このメール、私が共有する必要があるのかな?」と思うことのないよう、意味のあるメールを送りましょう。

BCC(Blind Carbon Copy)

「TO」や「CC」でメールを受信している人に、受信していることを隠して送りたい相手を指定します。

- TO → 対応してほしい相手
- CC → 共有してほしい相手
- BCC → 「TO」「CC」の人に伏せて送りたい相手

「BCC」に誰が入っているかは、送信者にしか分かりません。「TO」に山田さん、「CC」に佐藤さん、「BCC」に高橋さんと山下さんを指定してメールを送ったとします。「TO」の山田さんと「CC」の佐藤さんはお互いがメールを受信していることが見えています。「BCC」の高橋さんと山下さんは、山田さんと佐藤さんが受信していることが見ています。しかし、「BCC」の高橋さんと山下さんは、お互いがメールを受信していることは見えていません。「BCC」に複数の人を指定したとしても、それぞれのメールアドレスが見えるということはありません。

「TO」「CC」「BCC」にはこうした特徴と役割があります。それらを理解して適切に使い分けましょう。

次回:生き残る・開かれるメールの鍵は「件名」にあり

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著者プロフィール

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平野 友朗

株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役 一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事

メールスキル向上指導、組織のメールのルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などを手がけ、企業などへのコンサルティングや講演研修回数は年間100回を超える。著書は22冊を超え、メールマナーなどに関する取材を300回以上受けるビジネスメール教育の第一人者。ビジネスメールスキルの標準化を目指し、ビジネスメールの研修プログラムの開発やツールの提供を行なう。一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立し、認定講師を育成。2014年「ビジネスメール実務検定試験3級」を立ち上げ、ビジネスメール教育の普及に尽力している。

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