添付ファイルのパスワードの送り方
重要なファイルをメールで送信する際、ファイルにパスワードを設定します。これは、万が一ファイルが第三者に渡ってしまっても、閲覧できないようにするためです。では、その設定したパスワードは、どのような手段で、相手の方に伝えていますか。
添付ファイルとパスワードを一緒に送るのは論外
ファイルが添付されているメールの本文に、パスワードを記載する形式は意味がありません。一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2014」でも、約1割の方が「添付ファイルと一緒にメールにパスワードを書いて送信している」と回答していますが、これは、キャッシュカードと暗証番号を一緒に送付しているようなもの。別の方法に変えたほうがいいですね。
パスワードを次のメールに書いて送る方法も、正しいとは言い切れない
「パスワードをかけた添付ファイルとは別にメールを分けてパスワードを送信する」という方法を利用している方は約75%となっており、標準ルールとなりつつあります。しかし、セキュリティ上、万全とはいえないため、利用時には注意が必要です。では、どういった点に注意すべきか見ていきましょう。
2通とも、間違ったあて先に送ってしまう危険性
1つは、せっかくメールを2通に分けても、2通とも間違えたあて先に送信してしまうと、意味がなくなってしまうことです。メールアドレスは1度手打ち入力したら、2通目は、そのメールアドレスをコピーして利用する方も多いでしょう。そのため、1通目の入力時にあて先を間違っていたのに、2通目だけ正しく送るということは、難しいでしょう。
こういったミスを防ぐためには、相手先やメールアドレスの入力に間違いがないか、入念に確認することはもちろん、テスト送信を行い、相手方の受信状況を確認することも、有効な手段のひとつです。
2通とも、盗聴されている危険性もある
もう一つは、悪意のある第三者がそのメールを盗み見ている、いわゆる「メール盗聴」のリスクも考えなければいけないことです。「メールを2通に分ければ、盗聴されてもパスワードがわからないから大丈夫なんですよね」と聞かれることがありますが、実はこれは違います。なぜなら1通目のメールが盗聴できたということは、2通目を盗聴することも、容易にできてしまうからです。盗聴対策のために、2通に分けて送信されているのであれば、リスクがゼロではないことを、知っておく必要があります。
では、どうやってパスワードを伝えればよいのか
相手にパスワードを伝える際は「電話を利用する・事前に相手と決めておく」など、「メールとは別の手段」を用いることが1つの解決策です。これにより、メールとパスワードが、同じルートをたどることを防ぐことができるため、誤送信と盗聴というリスクに対して、対策ができます。
情報の内容・重要度によって、手段をかえる
万が一にも漏れてはいけない重要情報をやり取りする。そんなときは、メールで送信するのではなく、別の手段を選択するほうが、高いセキュリティを保つことができます。メールは、あくまで1つの手段です。手軽に送れるというメリットと、セキュリティ面でのデメリットを考慮した上で、適切な手段を選択してください。
また、「どのような情報が、どのような重要度レベルか」を自社で定め、そのレベルごとにパスワードの伝え方、送り方等について、ルール化されている企業もあります。どんなファイルにパスワードを設定することになっているのか、どのようにパスワードを伝えるべきなのか、自社のポリシーを確認の上、ルールに沿った運用を行ってください。
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