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第12回 プレゼンテーション資料とは/読み易く分かり易い資料を作る3つのルール(2)

こんにちは。資料作成アドバイザーの山橋美穂です。

このコラム連載も、ついに最終回となりました。皆さん、プレゼンテーション資料を作れるようになりましたでしょうか。

最終回では、資料作成の基礎中の基礎である3つのルールについてお教え致します。


この記事の著者
プレゼンテーション資料作成コンサルタント  Microsoft MVP 2015(Power Point部門)受賞 

当コラムはMicrosoft PowerPoint 2010での動作を前提として作成されています。バージョンが異なる場合、画面のキャプチャやメニューの場所が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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前回

  1. 色を乱用しない
    色は戦略的に使える重要な要素です。
  2. 情報を整理する
    スーパーでリンゴを売る時に、何を伝えれば主婦は買ってくれるでしょうか。
  3. 余白を作る
    1ページに余白なくびっしりと文字が書かれていたら、読む気になるでしょうか。

というこの3つのルールさえ習得すれば、読みやすく分かりやすい資料が作れるとお伝え致しました。では、3つのルールを1つづつ詳しくみていきたいと思います。

1.色を乱用しない

色は、資料を作る上で非常に重要な役割を担っています。次の資料は、ある業界の動向を表したものです。「20年前は10位だった弊社が、10年後には業界2位になった」ということを通じて、弊社が力のある成長企業であることを伝えようとしています。イチゴ、メロン、パイナップルはそれぞれこの業界の大手トップ3です。
「●●業界の動向」

この資料を見て、伝えたいことがストレートに伝わっているでしょうか。

弊社のみでなく業界大手トップ3にも派手な色をつけていることで、イチゴ、メロン、パイナップルにも目線がいってしまうため、弊社が目立たず埋もれてしまい、一番伝えたい「20年前は10位だった弊社が、10年後には業界2位になった」という意図がストレートに伝わりません。では、この資料をリメイクしてみました。
リメイク版「●●業界の動向」

記載されている内容はまったく同じですが、表のヘッダーや大手3社に配色されていた余計な色を省き、弊社のみに目立つ色を付けることにより、必然的に視線が弊社へ向き、弊社の飛躍が一目で理解できます。
色によって相手の視線を誘導することにより、そのページで何が言いたいのかを明確に伝えることができるのです。このように色は、相手の視線を導く戦略として使用して下さい。

2.情報を整理する

皆さんは、1分間に10個の単語を言われるのと1個の単語を言われるのでは、どちらを覚えているでしょうか。もちろん1個の単語ですよね。人は、一度に多くの情報を伝えられても、全てを覚えられるわけではありません。また、色々な情報を得る事によって混乱を招く可能性もあります。

プレゼンテーションでも同じです。例えば、スーパーでリンゴを売るとします。お客に「このリンゴは青森産で、糖度がメロンと同じくらい高く、ポリフェノールが赤ワインの3倍、さらにビタミンはレモンの5倍、物産大会で特別賞を受賞、皮が通常のリンゴの3分の1程薄く、木の幹は細く収穫しやすい、5年間かけて品種改良を繰り返しやっとできた商品です。そもそもリンゴは青森・長野の上位2県が全国生産量のおよそ75%を占めており、日本の農林水産省に登録されている品種は177種、このリンゴは178種類目のリンゴになる、リンゴポリフェノールには脂肪の蓄積を抑制する効果があり、更には食物繊維やビタミンC、ミネラル、カリウムが豊富で病気知らずの果物として知られている」と説明するのと、「このリンゴは糖度がメロンと同じくらい高く、ポリフェノールやビタミンが通常のリンゴの10倍ほど含まれており、物産大会で特別賞を受賞しました」と説明するのでは、どちらがその商品としての良さを伝えているでしょうか。

情報を沢山与える事により、最初に伝えたインパクトの強い情報に対する記憶が薄れてしまいます。本当に重要な情報なのかを精査し、重要であれば資料に、それほど重要でなければ補足資料に記載するなどしましょう。

3.余白を作る

読みやすい画面構成を作る上で、余白はとても重要です。以下の2つのスライドを見比べて下さい。
余白を意識せず行間をつめた文章
余白を意識して行間をつけた文章
この2つのスライドは文章は全く同じですが、余白がないと全体的に窮屈に見え、読む気が失せてしまいます。逆に十分な余白があると、視界に余裕ができ、視線をスムーズに移行することができるため、読みやすくなります。
スライドいっぱいいっぱいに文字や図形を配置し、読みづらさを与えてしまっては、プレゼンテーション資料の最初の目的である「読んでもらう」をクリアすることはできません。読んでもらうためには、画面にゆとりを持たせましょう。もう1つサンプルをお見せします。

「5月の販売統計」
「販売統計」

どちらのスライドを「読もう」という気になりますか。情報を詰め込み過ぎてしまった時は、もう一度読み直し、本当にその情報が必要かどうかを考えて、削れる文章などがあれば削除して、余白を作りましょう。以上の3つのルールを習得し、これらのルールに沿ってプレゼンテーション資料を作成すれば、読みやすく分かりやすい資料ができあがります。いまいちど、自分の資料を見直してみて下さい。

これで、「プレゼンテーション資料作成が得意になるノウハウ:基礎編」は最終回です。次回より「プレゼンテーション資料作成が得意になるノウハウ:中級編」を連載致しますので、宜しくお願い致します。

セミナー情報

タイトル

1日で習得 綺麗で分かりやすいプレゼンテーション資料作成

内容

元外資系証券会社のプレゼンテーション資料作成チームで働いていた資料作成コンサルタントが、たった1日で資料作成に必要な基礎知識を全て教えます。

基礎編(1)「資料作成の基本 3つのルール」
基礎編(2)「資料作成に必要なPowerPointの機能レクチャー」
基礎編(3)「資料作成に必要なExcelグラフの作り方」
中級編「論理的な資料を作る為の幹となる「構成」の作り方」
演習編「様々なスキーム図、グラフの作成」

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著者プロフィール

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山橋 美穂

プレゼンテーション資料作成コンサルタント Microsoft MVP 2015(Power Point部門)受賞

プレゼンテーション資料作成アドバイザー。東京都出身。1999年青山学院女子短期大学卒業。2006年武蔵野美術大学卒業。武蔵野美術大学在学中より、外資系証券会社のプレゼンテーション資料作成チームに就業。法人企業向け資料の作成スキルを身につける。その後、経験を活かして独自に専門的な資料作成の知識を学びながら、ベンチャー企業やIR専門企業で、提案書や決算報告書作成の経験を積む。

2012年に資料作成の専門家としてフリーランスに転向。資料作成代行、アドバイザー、レクチャー講師等を行いながら、ヴィジュアルを重視した絵で見るプレゼンテーション資料の構築を目指している。

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