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社会保険と国民健康保険の違いは? 切り替え方法を解説

社会保険と国民健康保険の違いは? 切り替え方法を解説

社会保険と国民健康保険は、どちらも病気やケガなどに備えて加入する日本の医療制度です。ただし、加入条件や保険料の計算方法、運営主体が異なります。

今回は社会保険と国民健康保険の違いや切り替え方法について、分かりやすく解説します。転職や退職に伴って切り替えが必要な方は、ぜひ参考にしてください。


この記事の監修者
  一級ファイナンシャル・プラニング技能士 

社会保険と国民健康保険の概要

まずは、社会保険と国民健康保険がそれぞれどのような保険なのかについて解説します。

社会保険とは?

社会保険とは、労働者がケガや失業などの何らかの理由により働けなくなった場合に、給付を受けることができる公的な制度です。具体的には「医療保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「介護保険」「労災保険」の総称です。

基本的には、企業に勤める正社員や一定の条件を満たした非正規社員に加入が義務付けられています。

国民健康保険とは?

国民健康保険とは、「自営業者」「農業従事者」「無職の方」などを対象とした医療保険制度です。加入することで病気・ケガ・出産などへの治療に対して、保険給付を受けることができます。

日本の医療制度は、全ての人が何かしらの公的医療保険に該当する「国民皆保険制度」です。会社員なのか自営業者なのかによって、該当する公的保険の種類が変わってきます。


社会保険と国民健康保険の違い

社会保険と国民健康保険は、加入条件や保険料の計算方法が異なります。それぞれの違いについて、詳しく解説します。

加入条件

基本的に社会保険の適用事業所の正社員は、全員が社会保険に加入します。パート・アルバイトなどの非正規社員の加入条件は、以下のとおりです。

  • 事業所の人数が500人超
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が1年以上見込まれること
  • 賃金の月額が88,000円以上であること
  • 学生でないこと

この加入条件を満たさない人や自営業、無職の方などの社会保険に加入していない人は国民健康保険に加入します。「社会保険の条件に該当するか調べる→該当しない場合、国民健康保険」という順序で考えてください。

また、社会保険では配偶者や子供を自身の「扶養」にすることができます。被扶養者となる条件はありますが、被扶養者が何人いても社会保険料は変わりません。

一方、国民健康保険には「扶養」という概念が存在しません。社会保険では被保険者と被扶養を1つのグループとして認識されますが、国民健康保険では国民一人ひとりが被保険者として認識されるからです。

また、「社会保険(健康保険)」と「国民健康保険」は名前が似ていることから混同されがちですが、そもそもの運営の主体が異なります。社会保険の運営は全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合が行っており、国民健康保険は市区町村が運営を行っています。

保険料の計算方法

社会保険は毎年4〜6月の月額報酬の平均を基にして、標準報酬を計算します。この標準報酬月額に保険料率を掛けて、保険料を算出します。保険料率は厚生労働省や全国健康保険協会のホームページに掲載されていますので、確認するとよいでしょう。

国民健康保険の保険料は、世帯単位で算出します。家族全員が被保険者として扱われるため、計算の際は一人ひとりの収入・年齢が反映されます。

国民健康保険の運営は都道府県・市町村が主体となっているため、居住している市区町村によって保険料が異なります。各市区町村のホームページに保険料が掲載されています。

参考:都道府県毎の保険料率|全国健康保険協会


社会保険と国民健康保険の切り替え方法

ここからは、社会保険と国民健康保険の切り替え方法について解説します。

国民健康保険から社会保険へ切り替える方法

切り替え時にはテンプレートを活用すると効率よく業務を進められます。以下にて無料ダウンロードが可能ですので、書式もご活用ください。

切り替え時に必要な書類一覧

国民健康保険から社会保険への切り替えの際に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者届(扶養家族がいる場合)
  • 年金手帳
  • マイナンバーが分かる書類

切り替え方法

国民健康保険から社会保険への切り替え手続きは、以下の手順で行います。

  1. 従業員は年金手帳、マイナンバーが分かる書面、被保険者資格取得届を企業に提出する。
  2. 企業は年金事務所に被保険者資格取得届を提出する。対象の従業員に扶養家族がいる場合は健康保険者被扶養者届も併せて提出する。

手続きは対象の入社日から5日以内に行わなければならないため、注意が必要です。

また、テンプレートを活用することで、効率的に切り替え手続きを行うことができます。ビズオーシャンでは「被保険者資格取得届」や「健康保険被扶養者届」などのテンプレートをご用意していますので、ご活用ください。

社会保険から国民健康保険へ切り替える方法

切り替え時に必要な書類一覧

社会保険から国民健康保険への切り替え時に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 被保険者資格喪失届
  • 社会保険喪失証明書
  • 離職票、退職証明書(企業から社会保険喪失証明書を発行してもらえなかった場合)

切り替え方法

社会保険から国民健康保険への切り替え手続きは、従業員自身で行います。

  1. 企業は日本年金機構に被保険者資格喪失届を提出する。その際、従業員の健康保険証と扶養家族がいる場合には扶養家族の健康保険証も返却する。
  2. 従業員は市区町村の窓口で国民健康保険の加入手続きを行う。企業から発行される「社会保険喪失証明書」が必要となる。

国民健康保険への切り替え手続きの期限は退職日の翌日から14日以内ですので、注意してください。

ビズオーシャンでは国民健康保険への切り替え手続きに必要なテンプレートをご用意しています。テンプレートを活用することで、効率的に手続きを進められますので、ぜひご活用ください。

社会保険の任意継続制度

社会保険には、退職後も元の勤務先の健康保険に継続して加入できる、任意継続制度が存在します。任意継続制度の利用の条件やメリット・デメリットを解説します。

任意継続制度の利用の条件

任意継続性の利用には、以下の条件があります。

  • 資格喪失日までに、社会保険の被保険者期間が継続して2カ月以上あること
  • 資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出する

任意継続制度の加入期間の上限は「2年間」と定められているため、注意が必要です。

任意継続制度のメリット

任意継続制度には2つのメリットがあります。

  • ①健康保険未加入状態を防げる。
  • ②保険料を安く抑えることができる可能性が高い

健康保険未加入の状態で病気やケガをした場合、医療費の全額が自己負担となってしまいます。任意継続によって被保険者1人分の保険料で、退職前と同様に扶養家族にも健康保険が適用されます。

また、社会保険の計算に用いられる標準報酬月額には上限があります。所得が高い人ほど、任意継続制度で社会保険に加入したほうが、保険料が安くなる可能性が高いでしょう。

任意継続制度のデメリット

任意継続制度には、以下のようなデメリットもあります。

  • ①社会保険料が全額自己負担になる
  • ②自己都合で辞めることができない

会社に勤務している時、社会保険料は会社と従業員の折半で負担します。しかし、任意継続では全額が自己負担になるため、今までより負担金額が大きくなります。

また、任意継続は原則2年間継続する必要があります。扶養に入る、国民健康保険へ切り替えることが理由で辞めることは基本的にできません。再就職で他の会社に入社して社会保険に加入する場合や、2年間の加入期間が満了となった場合にのみ、辞めることが可能です。


社会保険と国民健康保険についてのまとめ

社会保険は、適用事業所の正社員や一定の条件を満たした非正規社員が加入する保険であり、家族を扶養に入れることができます。一方、国民健康保険は自営業者や農業従事者、無職の人が対象の保険であり、扶養という概念がありません。

入社や退職に伴って加入する保険が変わる場合は、所定の手続きが必要です。手続きには期限がありますので、速やかに切り替えを行うようにしてください。

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監修者プロフィール

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川崎 翔太

一級ファイナンシャル・プラニング技能士

東証一部上場金融機関に勤め、以後投信生保販売業務や法人融資業務に従事。

2019年に独学で1級ファイナンシャルプランニング技能士に合格。

個人・法人問わず幅広くライフプランや節税相談を行っておりFP分野全般を得意とする。

現在新たに事業承継・M&A分野の業務も行っており日々活動の幅を広げている。

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