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3、フレームワーク「SWOT分析 クロスSWOT」の使い方

著者:SWOT有限会社 取締役社長  満木 大


専門家に学ぶ!企画書のためのマーケティング分析フレームワークの使い方
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4つの視点から環境を分析するフレームワーク

SWOT分析は、内部要因(自社、自身)と外部環境要因(自社、自身を取り巻く環境)について、4つの視点から分析するフレームワークです。

4つの視点とは、

・強み(Strength)
・弱み(Weakness)
・機会(Opportunity)
・脅威(Threat)

です。

内部要因については、「強み」と「弱み」の視点で、外部環境要因については、「機会」と「脅威」の視点で捉えていきます。内部要因は、自社または自身のことですので、自らの努力で改善が可能です。一方、外部環境要因は、自ら変えることができないので、どう対応すべきかを考えていくことになります。

企画書において、現状分析から問題点と課題を抽出し、具体的に企画のテーマを導き出す際に利用する最もポピュラーなツールの1つです。

明確な目標を設定する

SWOT分析を行うに当たっては、明確な目標を設定し、何を達成したいのかを明らかにする必要があります。目標達成に寄与するものが、「強み」や「機会」になります。また目標達成の障害になるものが、「弱み」や「脅威」となります。
それでは、この4つの視点の考え方を簡単に説明します。

①強み(Strength)
目標を達成する上で、競合と比較して優位性のある点は何かを考えます。また能力、技術、ネットワークなど自社の拠り所となる経営資源は何かについても考えます。
サンプルでは、「全国200店舗網を有している」、「海外展開(中国、韓国、台湾、インドネシア)が順調」、「インターネット販売が拡大」、「原価率が競合他社よりも低い」、「売上が10億円以上の複数ブランドを有している」、「内部留保が厚い」を挙げました。
②弱み(Weakness)
目標達成に向けて重要な要素であるにも関わらず、競合と比較して見劣りする部分は何かを考えます。そして、それをどう克服するか、もしくは無効にできないかを考えていきます。
サンプルでは、「既存店売上が伸び悩んでいる」、「客数および客単価の減少」、「会社としての知名度が低い」、「社員が若く、中堅クラスの人材が不足している」、「意識して顧客の囲い込みを行なっていない」、「ターゲット顧客が若者に偏っている」を挙げました。
③機会(Opportunity)
目標達成に向けて追い風となるような外部環境要因があるかについて考えます。そしてチャンスがあれば、それをどうつかむのかを考えていきます。
サンプルでは、「良質な出店物件情報が増えている」、「インターネットの普及」、「エコ意識やCSRへの関心の高まり」、「業界に対する認知度向上で優秀な人材が採用しやすく
なっている」、「郊外のショッピングモールが隆盛」を挙げました。
④脅威(Threat)
目標達成に向けて障害となる外部環境要因について考えます。この外部からのリスクについて、どう避けるのか、弱めるのかについて考えていきます。
サンプルでは、「デフレ経済の浸透(値引きの常態化等)」、「少子高齢化の進展」、「円安による仕入れコストの上昇」、「海外から強力なアパレル会社が日本に進出」、「不要不急なモノを買わない消費行動」を挙げました。

SWOT分析から戦略を考える

「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの分析から、今後、どのように進むべきか、戦略を考える手法に「クロスSWOT」という考え方があります。
事例のフォームにも記載しましたが、具体的には、

・強み×機会=強みを活かし、チャンスをモノにする方法
サンプルでは、「全国200店舗網を活かし、店舗において古着を回収するといったエコ活動を実施する。それにより、店舗の売上と知名度UPを図る。」としました。
・強み×脅威=強みを活かし、脅威の影響を受けないようにする方法
サンプルでは、「海外展開を積極的に行い、国内の売上比重を下げ、国内経済のマイナス影響を緩和する。」としました。
・弱み×機会=弱みを克服し、チャンスを逃さない方法
サンプルでは、「テレビCMのほか多様なメディアを利用した広告宣伝を行い、ブランドのみならず、会社としての知名度アップを図り、今後の出店や人材確保を有利に進められるようにする。」としました。
・弱み×脅威=弱みを克服し、脅威の影響を受けないようにする方法
サンプルでは、「30代以上向けのファッションブランドを開発し、少子高齢化に対応する。」としました。

といった形で、内部要因と外部環境要因を掛けあわせて考えます。
この中でも、戦略の基本的な方向としては、「強み×機会」を中心に据え、自社の強みをまたとないチャンスに発揮することで大きな成果を上げるには、どうすればよいかを考えます。

今回のサンプル企画書のテーマ「エコサイクル(古着回収リサイクル)による三方よしの実現」は、まさに強みと機会を活かした提案となっています。
※「わかりやすい企画書とは!」を参照。

一方で、「弱み×脅威」についても、脅威が自社の弱みをつくと、大きな損害をもたらす可能性がある場合には、未然に防ぐ対策を講じる必要がありますので、要注意です。

以上が環境分析と戦略のフレームワーク「SWOT分析(クロスSWOT)」の解説となります。尚、SWOT分析は、目標を明確にした上で、その目標を達成するための手法を考えていきますので、「目標管理」のフレームワークとしても機能します。

【目次】
わかりやすい企画書とは!
1、フレームワーク「3C/4C」の使い方
2、フレームワーク「5Forces ファイブ・フォース」の使い方
3、フレームワーク「SWOT分析 クロスSWOT」の使い方
4、フレームワーク「アンゾフ・マトリックス」の使い方
5、フレームワーク「ロジックツリー」の使い方
6、フレームワーク「5WHY?」の使い方
7、フレームワーク「6W2H」の使い方
8、フレームワーク「4P/5P」の使い方
9、フレームワーク「ガントチャート」の使い方

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著者プロフィール

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満木 大

SWOT有限会社 取締役社長

20年のサラリーマン経験をフル活用し、ヤル気がある企業を成功するまでトコトン応援します! 1,000社の成長を実現させることが目標です。起業から上場まで経営に関するどんなことでもご相談ください。

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