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賃金台帳とは?給料明細との違いや必須項目の書き方について解説

監修者:きた社労士事務所 代表  北 光太郎

賃金台帳とは?給料明細との違いや必須項目の書き方について解説


経理担当者は、帳簿についてさまざまなことを学びます。賃金台帳もその一つ。賃金台帳に必要な項目を理解していると、作成中の間違いに気づくこともあります。

また、作成を依頼する際にも理解があると的確な指示を行うことができますから、賃金台帳について知っておくことは重要です。

ここでは、賃金台帳と給与明細の違い、賃金台帳に必要な項目や重要な項目、保存期間など、いまある理解をより深められるようなものをお伝えしていきます。


賃金台帳とは何か

まずは、賃金台帳とはどのようなものをいうのか、記載期間や保存期間はあるのか、賃金台帳について詳細にみていきましょう。

賃金台帳とは作成が義務付けられている帳簿

賃金台帳とは、氏名や性別、賃金計算期間など、従業員の賃金支払い状況について記入された書類のことです。労働基準法第108条で各事業場ごとに作成と保管が義務付けられており、賃金支払いのたびに遅延なく、必要な項目を記載する必要があります。

なお、賃金台帳は労働者名簿と出勤簿を合わせて「法定三帳簿」と呼ばれており、法律で決められた項目を必ず記載し、決められた期間保管しなければなりません。

参考:e-Gov法令検索|労働基準法

賃金台帳の記載対象

賃金台帳の記載対象となる人は、賃金を支払ったすべての従業員です。パート・アルバイト、契約社員など雇用形態に関係なく、従業員が1人であっても賃金台帳の記載対象となります。

また、一般の従業員だけではなく役員についても賃金台帳を作成する必要があります。なぜなら、役員であっても健康保険や厚生年金保険の被保険者として、保険料が控除されるためです。

賃金台帳の保存期間

賃金台帳の保存期間は2020年4月1日の改正民法施行により「5年」に延長されましたが、経過措置として当分の間3年です。また、保存期間の開始日は最後の記入をした日からになります。

ただし、記入した日より賃金の支払日のほうが遅い場合は、賃金の支払日が保存期間の開始日となるので注意しましょう。つまり、賃金台帳の保存期間は「最後の記入をした日」または「賃金の支払日」から「当分の間3年間」ということになります。

参考:愛媛労働局|労働者名簿及び賃金台帳の調製と記録の保存(第107条~第109条)


賃金台帳と給与明細の違い

事業所が作成する賃金台帳と、事業所が従業員に渡す給与明細とは、どのように違うのでしょうか。賃金台帳と給与明細は記載項目が似ていますが、この2つは別物です。

給与明細があることを理由に、賃金台帳の作成を省くことはできません。給与明細は従業員の給与や保険料などの詳細を明示するために作成されるもので、所得税法第231条により交付が義務付けられているものです。

つまり、賃金台帳が企業で保管される書類であるのに対し、給与明細は従業員が給与の内訳を確認するための書類である点に違いがあります。

参考:厚生労働省|労働条件・職場環境に関するルール


賃金台帳の項目の書き方

賃金台帳と給与明細の違いがわかったところで、賃金台帳への記載に移りましょう。まずは記載にあたり、どのような項目があるのか紹介します。

賃金台帳の必須項目

賃金台帳は労働基準法施行規則第54条により、以下の項目を必ず記載するよう定められています。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働、休日労働、深夜労働の労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類と金額
  8. 賃金から控除した場合はその内容と金額

賃金支払いのたびに、必要な項目を遅延なく記載する必要があります。

参考:e-Gov法令検索|労働基準法施行規則

重要項目の解説と注意点

賃金台帳に記入しなければならない必須項目のなかには、重要項目も含まれています。どの部分が重要とされるのか、その考え方や注意点をみていきましょう。

賃金計算期間とは

賃金計算期間とは、賃金を計算する開始日から締め日までの期間のことです。たとえば、毎月20日が締め日であれば、賃金台帳には「4月21日~5月20日」、月末が締め日であれば「4月1日~4月30日」と記載します。

また、前提として基本的に毎月1回の記載(更新)が必要です。

ただし、日雇労働者については、賃金計算期間を記載する必要はありません。

労働日数とは

労働日数には、賃金計算期間中に従業員が出勤した日数を記載します。休日出勤日も含めて、実際に出勤した日数を記載しましょう。また、年次有給休暇を取得した日も労働日とみなされます。

記載する際は、出勤日数と年次有給休暇が判別できるよう、括弧書きにして分けて記載するとよいでしょう。

時間外労働時間数・深夜労働時間数・休日労働時間数とは

法定労働時間を超えた場合の時間数についての考え方や、記載の仕方をそれぞれ紹介します。

  • 時間外労働時間数
    時間外労働時間には、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える時間外労働時間数を記載します。ただし、フレックスタイム制や変形労働時間制など、労働時間制度によっては時間外労働となる時間が異なる場合がありますので注意しましょう。
  • 深夜労働時間数
    深夜労働時間数には、22時~翌5時まで勤務した時間を記載します。
  • 休日労働時間数
    休日労働時間数には、法定休日に労働した時間を記載します。法定外休日に労働した時間は含まれませんのでご注意ください。

時間外労働時間数、深夜労働時間数、休日労働時間数は、労働基準法に違反しないかを見極める重要な役割を果たしていますので、きちんと記載することが求められます。


賃金台帳についてのまとめ

賃金台帳についてお伝えしました。

まとめると、

  • 賃金台帳とは国で義務付けされている帳簿のこと
  • 賃金台帳の作成は全従業員が対象
  • 賃金台帳の保存期間は2020年より5年間になった
  • 賃金台帳には必ず記載しなければならない項目がある

となります。

賃金台帳の全体がわかれば、台帳への記入もスムーズに行えるでしょう。

ビズオーシャンでは、「賃金台帳・給与台帳」の書式テンプレートのご用意もありますので、ぜひこの機会にご利用ください。

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監修者プロフィール

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北 光太郎

きた社労士事務所 代表

2012年に社会保険労務士試験に合格。

勤務社労士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。

2021年に社会保険労務士として独立。

労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。

法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアでも労働法や社会保険の情報を提供している。

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