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収益とは? 意味や利益との違いもわかりやすく解説!

監修者: 税理士・米国税理士・認定心理士  竹中 啓倫

収益とは? 意味や利益との違いもわかりやすく解説!

「収益」とは、企業の営業活動の中で資産が増加した、あるいは負債が減少した取引のことを指します。

収益に似た言葉に「利益」がありますが、収益と利益は定義が全く異なります。また、ひとくちに「収益」といっても、さまざまな種類があるため、基本的な違いを理解しておくことが重要です。

この記事では、収益の定義や種類、利益との違いなど、収益についてわかりやすく解説します。


収益とは?

「収益」とは、企業の営業活動の中で資産が増加した、あるいは負債が減少した取引のことを指します。

収益の代表的なものが「売上高」で、売上高を上げることによって、お金が増えたり、売掛金という資産が増えたりといった現象が起こります。「収益」は「売上」と言い換えることが可能で、ビジネスの現場では「売上」がよく使われます。

それに対して「利益」とは、収益から費用を差し引いたものです。経費の例として、人件費や店舗の家賃や光熱費、商品の仕入れ費用などが挙げられます。

収益からこれらの経費を差し引いたものが「利益」となり、損が出れば「損失」となります。

利益の計算式は、次のとおりです。

収益-費用=利益

飲食店を例に挙げて、実際に計算してみましょう。ひと月の収益(売上)が200万円として、人件費や原材料費等の経費が合計150万円かかった場合、その月の利益は次のようになります。

200万円(収益)-150万円(費用)=50万円(利益)

収益が大きいからといって、必ず利益も大きいとは限りません。収益よりもかかった費用が大きい場合は、利益はマイナス、つまり赤字になります。

企業の経営や営業活動の良し悪しを判断する際は、収益(売上)の大きさだけに注目せず、利益にも目を向けましょう。


3つの収益の種類

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収益は、目的の違いによって大きく3つに分類できます。ここでは、収益の3つの種類について解説します。

3つ目の「特別利益」だけ、「収益」ではなく「利益」という表現になるので注意しましょう。

営業収益

企業の営業活動によって生まれた収益のことで、本業において現金や資産をどれだけ生み出しているかがわかります。

営業収益には、次のものが含まれます。

営業利益 営業損益のみを表したもの
営業外収益 受取利息のような金融収入を中心とした営業収益以外の収益
特別収支 固定資産の売却益や為替差益のような営業収入以外の臨時収益

営業収益は、収益のうち本業で得られた収入です。販売業なら商品の売上、金融業なら貸付金の利息による収入などが当てはまります。

販売業など有形のモノを売るのがメインの業種では、営業収益ではなく「売上高」と表記することが多いです。

販売業であれば、営業活動で売上高を計上することによって収益を上げます。
そのためには、在庫の仕入れが必要です。売上高から仕入高を差し引いたものを「売上総利益」と呼び、これも収益の一種になります。

営業利益を計上するには、「販管費および一般管理費」など、その他の経費も必要です。このカテゴリには、人件費やその他経費が含まれています。

営業外収益

営業外収益とは、本業の営業収支以外のうち、経常的に発生する収益のことをいいます。

営業収益との大きな違いは、「本業から発生した収益かどうか」という点です。定款の「主たる目的」に記載されている事業であれば本業であるといえます。

主な営業外収益には、次のようなものがあります。

  • 受取利息
  • 受取配当金
  • 有価証券利息
  • 有価証券売却益
  • 不動産賃貸料
  • 仕入割引
  • 雑収入

例えば、商品販売が本業の会社が、他の会社にお金を貸し付けた場合、その利息分は営業外収益(受取利息)に該当します。

営業外収益として計上される収入は、資産運用によるものが多いです。
営業収益に含まれるものは、営業外収益から除かれる点に注意しましょう。

例えば、仲介やあっせんなどで受け取った手数料は本業に関するかどうかで仕訳が異なります。販売業の店舗で、代理で他業者の商品を販売した場合、その手数料は営業収益として計上しなければなりません。

また、固定資産の売却で発生した収益など臨時的な収益についても、営業外収益から除かれます。

特別利益

企業の経常的な活動とは直接的に関わり合いがない、固定資産売却益や投資有価証券売却益などの臨時的なものを指します。

例えば、パソコンや家具など会社の備品を売却した場合、得られたお金が特別利益です。また、金額の大きさから分類される場合もあります。

オフィスや店舗といった固定資産の売却益など、特別利益は金額が大きくなることも多いです。

そのため、経常的な活動によって発生した利益と一緒にすると、企業の収益力が過大評価されてしまうことがあります。

それを避けるため、臨時的な利益は「特別利益」として区別されています。


収益と混同しやすい言葉との違い

ここでは、収益と混同しやすい言葉の定義を解説します。

いずれも会社の経営状況を知る上で欠かせない指標なので、違いを正しく理解し、説明できるようにしておきましょう。

利益

利益とは、収益から経費を差し引いたものです。利益の種類には、次のようなものがあります。

売上総利益 粗利益とも呼ばれ、「売上高-仕入高」により求められる
営業利益 「売上総利益ー販売費及び一般管理費」により求められる
経常利益 「営業利益+営業外収益ー営業外費用」により求められる
税引前当期利益 「経常利益+特別利益ー特別損失」により求められる
純利益 「税引前当期利益ー法人税、住民税および事業税+(ー)法人税等調整額」により求められる

利益は会社を経営する上で重要な指標です。
利益の内訳を確認し、原因を分析することで、経営の見直しに役立てられます。

売上高

売上高とは、会社が本業の活動によって得られる収入のことをいいます。販売業など、有形の商品を売って収益を得る業種において、営業収益と同じ意味で用いられることが多いです。

モノを売る活動により、仕入れの費用や人件費など、さまざまな支出が付随的に発生します。売上高はそれらの支出を控除する前の金額です。

本業の活動によって売上高を伸ばすことで、会社は資産を増やしたり負債を減らすことが可能になり、営業活動を継続できます。

売上高は経費などの支出を差し引く前の金額なので、1つ1,000円の商品が売れれば、売上高は売値の1,000円です。「利益」は、そこから人件費や原価などの経費を差し引くことで算出できます。

収益性

収益性とは、その会社が利益を稼ぎ出す効率の「良し悪し」のことです。
何によって効率良く収益が上がっているかを見るために、複数の指標があります。

売上高に対する収益性を見る方法の一つが、「売上高営業利益率」です。これは、「(営業利益÷売上高)×100%」で求められます。

また、会社の資産に対する収益性を見る方法としては、「ROA(総資産営業利益率)」があります。ROAは、会社が資産を活用して、成長性のある事業に投資できているかを測る指標です。

近年、企業の健全性を重視する傾向にあり、自己資本(資本金)に対する効率性を見ていく目的で「ROE(自己資本営業利益率)」を使用するケースが増えています。

ROAでは、会社の資本の活用に対しての利益率ですが、ROEは株主からの投資に対しての利益率を表す指標です。


収益についてのまとめ

収益の定義や種類、利益との違いなどを解説しました。

収益は、会社の健全性を客観的に評価する上で重要な指標です。また、収益から今後の経営方針を判断することもあります。

収益は、営業収益・営業外収益・特別利益の3つに大別できますが、人によってどの「収益」を指しているのか異なる場合があるので注意しましょう。

営業部では「営業収益」のことを収益と呼び、経営者は「売上高」のことを収益と呼ぶこともあります。

立場によって認識に違いがある可能性を知ることも、収益への理解を深めることにつながります。


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監修者プロフィール

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竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士

上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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