年末調整と住民税の関係とは?
年末調整とは、1年間の給与・賞与などを計算し、税金を計算して確定させることをいいます。
年末調整で確定するのは所得税のみであり、住民税は対象外です。住民税の納税額は、年末調整での所得額を基準に計算されるからです。
では、年末調整を行わなかった場合、住民税の計算はどのように行うのでしょうか。
本記事では、年末調整と住民税の関係性をわかりやすく解説します。
自分が支払う税金が決まる仕組みを、しっかりと理解しておきましょう。
年末調整と住民税の関係
まずは、年末調整と住民税の基本と関係性について解説します。
年末調整と住民税の基本
年末調整とは、1年間の給与・賞与などを集計して、確定申告に代えて税金を計算し、確定させることをいいます。
年末調整では、収入だけでなく控除金額についても計算します。
生命保険料証明書や損害保険料証明書、初年度を除く住宅借入金等特別控除を適用する場合、勤務している会社に書類を提出して、税金を計算してもらいます。
控除に漏れがあった場合は、確定申告で再度計算が可能です。
一方、住民税とは、都道府県や市区町村が行政サービスの活動費に充てるための税金です。
確定申告を行うと、源泉徴収書と同様の内容が記載された「給与支払報告書」が、納税者の住所を管轄する市区町村に提出されます。住民税は、その内容をベースに計算されるのです。そして、納税者は勤務先を通して住民税を納付します。
住民税は、給与支払報告書をもって初めて計算されるため、年末調整の翌年に計算されることになります。
住民税は年末調整の対象外?
住民税は年末調整の翌年に計算されるため、年末調整の対象外となります。
年末調整で所得税が決まる仕組みと、住民税がいつ徴収されるのかを、もう少し詳しく見ていきましょう。
所得税は、毎月発生する給与から仮の税金が算出・控除されます。これを「源泉所得税」といいます。
毎年12月になると、1年分の給与や賞与が集計され、実際に支払うべき所得税が計算されるのです。
仮で徴収された源泉所得税と、実際の給与や賞与を集計して算出した所得税を比較すると、多くの場合、源泉所得税のほうが多くなります。
多く徴収されていた分は年末調整で還元され、逆に不足した場合は、追加徴収が必要です。
住民税は翌年の4~5月に所得税額をベースとして徴収され、最長1年間かけて、ほぼ等分で賦課決定がなされます。
企業は毎月の給与から住民税を徴収し、従業員に代わって納付するのが義務です。休職中の場合も、企業の責任において、従業員から住民税を徴収する必要があります。
また、従業員がふるさと納税を行っている場合、当該納税額に応じて住民税から控除されます。
納税者が確定申告を行っておらず、かつ、ふるさと納税の寄付先が5自治体以内である場合は、申請を行うことによって住所地の地方公共団体の住民税から控除が可能です。
確定申告を行う場合も、調整作業が行われます。
年末調整をしなかった場合の住民税の扱い
従業員が年度の途中で退職するなどの理由によって、年末調整が行われなかった場合でも、住民税は課税されます。
企業は、年末調整を行った後、源泉徴収票を作成して従業員に交付しますが、同様の内容を給与支払報告書として、従業員の住所を管轄する地方公共団体に提出します。在職者だけでなく、退職者や休職者も提出の対象となるため、退職者についても住民税が計算されます。
年度の途中で退職した従業員の場合は、退職した時期によって住民税の徴収方法が変わるので注意が必要です。
その年の1月1日~5月31日までに退職した場合、退職月の給与や賞与から一括で徴収されるのが一般的です。6月1日~12月31日までに退職した場合、退職月までの住民税は天引きになりますが、それ以降は退職者が自分で支払う必要があります。
ただし、年度の途中で退職した従業員は年末調整を実施していないため、生命保険料控除や損害保険料控除などが適用されておらず、住民税が高額になる可能性があります。
その場合は、所得税の確定申告を行う必要があるでしょう。
退職時に次の勤務先が決まっている場合は、新しい勤務先の給与から住民税を天引きしてもらうことが可能です。
年末調整と住民税の関係性についてのまとめ
年末調整と住民税の関係性を、わかりやすく解説しました。
住民税は年末調整の内容をベースに決定されるため、年末調整の対象外です。また、年度の途中で退職した場合は、退職した時期によって徴収の方法が変わります。場合によっては、確定申告を行わないと住民税が高額になる可能性もあるので、注意が必要です。
所得税や住民税など、自分が支払う税金の決まり方を知っておくことは、納税の意識を高める意味でも重要といえます。
次回、会社から給与明細を支給されたら、税金の内訳もぜひ確認してみてください。
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