このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

契約社員向け雇用契約書の基本・作成時の注意点を解説

契約社員向け雇用契約書の基本・作成時の注意点を解説

契約社員を雇用する際は、正社員と同じように雇用契約書を取り交わすことが一般的です。特に、法律に規定された重要な労働条件については、必ず書面で交付しなければなりません。

今回は、契約社員向けの雇用契約書の基本や作成・更新時の注意点を解説します。契約社員の雇用契約書を作成する方に便利なテンプレートも紹介していますので、ぜひご活用ください。


この記事の監修者
弁護士   

契約社員の雇用契約書

民法上、口頭の合意でも契約は成立するとされています。しかし、雇用契約は民法だけではなく、労働基準法や労働契約法などの法令の適用を受けています。労働基準法第15条第1項では

「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」

と規定されているため、雇用契約書を取り交わすことが一般的です。

さらに、同法施行規則において、正社員やパート社員の区別なく、労働契約の期間に関する事項など重要な労働条件については、会社から従業員に書面で交付しなければならないと規定されています。よって、契約社員であっても、雇用契約書の作成が必要です。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索


契約社員の雇用契約書におけるルール

労働基準法には、雇用契約を締結する際のルールが明記されています。雇用契約書作成時に特に注意するべきルールについて見ていきましょう。

1.契約期間等(第十四条)

契約社員と期間の定めのある契約を締結する場合、原則3年を超えた契約期間を設定することはできません。ただし、以下に該当する場合には5年の契約期間の雇用契約を結ぶことができます。

  1. 専門的な知識、技術又は経験であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約
  2. 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約

参考:専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法|e-Gov法令検索

2.労働条件の明示(第十五条)

労働基準法によって、会社は雇用契約の締結時に従業員に対する賃金、労働時間その他の労働条件の明示が義務付けられています。具体的には、労働基準法施行規則第5条第1項において、以下のように規定されています。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
  3. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
  4. 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
  6. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
  7. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
  8. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  9. 安全及び衛生に関する事項
  10. 職業訓練に関する事項
  11. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  12. 表彰及び制裁に関する事項
  13. 休職に関する事項

参考:労働基準法施行規則|e-Gov法令検索

3.解雇制限(第十九条)

労働基準法において、会社は労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければならないと定められています。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

この規定だけ見ると、30日前に予告をすれば自由に解雇できるように思えますが、最高裁判例の解雇権濫用法理によりさらに制限されています。労働契約法第16条において、

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

と規定されています。このため、30日前に予告したとしても、社会通念上相当といえない場合には解雇は無効と判断されます。


契約社員との雇用契約書作成の明示事項

労働条件通知書には、法律によって必ず記載しなければならない明示事項が定められています。よって、雇用契約書を労働条件通知書と兼ねる場合、決められた明示事項を記載しなければなりません。

絶対的明示事項とは?

雇用契約を締結するにあたり、明示すべき労働条件が法令で規定されています。書面で交付しなければならない事項が「絶対的明示事項」です。前述の労働条件の(1)から(5)(ただし(4)の内、昇給に関する事項を除く)が該当します。

また、従来どおり「書面」での交付が必須でしたが、平成31年4月1日以降、労働者が希望した場合は、FAXや電子メール、SNS等でも明示できるようになりました。

相対的明示事項

会社から従業員に対して説明する必要はあるものの、書面の交付が不要な事項は「相対的明示事項」と呼ばれています。

賞与、退職金や休職に関する重要な事項も含まれますが、これらは従業員毎ではなく、就業規則などの各規定で画一的に定められていることが一般的です。就業規則の整備ができていない場合、きちんと契約書に明記するようにしましょう。

契約社員の雇用契約書作成や更新・変更時の注意点

ここからは、契約社員の雇用契約書作成や更新・変更時の注意点について解説します。

雇用契約書の内容に変更があった場合

雇用契約書も契約書の一種のため、会社と従業員の合意がない限り変更できません。また、変更をした場合には、記録に残すために変更の覚書などを取り交わしたほうがよいでしょう。

ただし、就業規則に規定されている昇進や、それに伴う待遇の変更については、再度契約書を取り交わす必要はありません。

正社員登用した場合

契約社員を正社員として登用する場合、形式的には、雇用期間が有期から無期に変更されるだけです。ただし、実際には正社員と契約社員で異なる就業規則が適用されるなど、待遇面で大きく異なっていることがほとんどでしょう。

雇用契約の内容も大きく変更になるため、改めて雇用契約書を取り交わして、どのような内容の雇用契約であるのかを明確にする必要があります。


契約社員の雇用契約書はテンプレートを活用するのがおすすめ

契約社員の雇用契約書は明示すべき事項も多いため、一から作成するのではなく、テンプレートを自社用にアレンジして作成する方が効率的です。

ビズオーシャンでは、厚生労働省が公開している労働条件通知書を基にしたテンプレートをご用意していますので、ご活用ください。


契約社員と雇用契約書についてのまとめ

契約社員を雇用する際は、正社員と同じように重要な労働条件を書面で交付しなければなりません。契約期間や賃金などの労働条件を定めた雇用契約書を取り交わすことが一般的です。

雇用契約書の作成には、ビズオーシャンのテンプレートが便利です。また、従業員とのトラブル防止のためにも、雇用契約の内容に変更があった場合や正社員への登用があった場合は、雇用契約の更新や変更は適切に行いましょう。

【書式のテンプレートをお探しなら】

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

篠原 一廣

弁護士

1999年東京大学法学部卒業、2000年弁護士登録。

2008年11月に篠原総合法律事務所を開業し、以後、顧問先企業を中心に契約書の作成・リーガルチェックなどの企業法務をメインとする業務を行う。

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ