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貯蔵品の消費税はどう扱う? 経理処理の流れをわかりやすく解説!

貯蔵品の消費税はどう扱う? 経理処理の流れをわかりやすく解説!

「貯蔵品」とは、企業の事業活動において原材料や商品以外の物品を指し、直接売上に結びつかないものです。

しかし、その消費税処理や仕訳のタイミングは非常に重要です。適切に対応しなければ、税務上のリスクや経理処理のミスを招く可能性があります。

本記事では、貯蔵品の具体的な仕訳例や、消費税の処理方法について詳しく解説します。経理担当者が日々の業務で役立つ知識をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。


この記事の監修者
京浜税理士法人 横浜事務所   

貯蔵品とは?

貯蔵品とは、事業に関連した原材料や商品以外の物品のうち、次の2点を満たして貯蔵されているものを示す勘定科目です。

  • 企業の売上に直接の関係がない
  • まったく使用されていない

貯蔵品は一般的に、金額が小さく1年以内に使用されるものが当てはまります。決算時にはそれらが未使用の状態である場合には、貯蔵品として資産計上する必要があります。ただし、切手や​​消耗品などは、使用した時点で通信費や消耗品費として経費に計上します。

貯蔵品の具体例や棚卸資産との違いなどを次の章でまとめました。

貯蔵品になり得る具体例

貯蔵品にはさまざまな種類があります。具体例をいくつか紹介します。主に、金銭的価値のあるものか、消耗品に分類されます。

  1. 金銭的価値があるもの:郵便切手や収入印紙、商品券など
  2. 事務にかかわる消耗品:コピー用紙や文房具、トナーなど
  3. 包装材料:ガムテープやダンボール、封筒など
  4. 販売促進資材:カタログやサンプル商品、パンフレットなど
  5. 消耗工具:ねじやドライバーなど
  6. 災害用の備蓄品
  7. 電車などの回数券

(出典:会社計算規則第74条3項

(出典:財務諸表等規則第15条1項10号

棚卸資産との違い

貯蔵品と棚卸資産の違いは、経費で計上できるかどうかです。棚卸資産とは、商品の販売や生産のために企業が保有するもので、原材料などが該当します。これらは企業の売上に関係しますので、棚卸資産は「資産」という扱いで計上します。

一方、貯蔵品は事業にまつわる原材料や商品以外のもののうち、企業の売上に直接の関係がなく、未使用で貯蔵しているものです。棚卸資産も貯蔵品も資産ですが、貯蔵品は売上に直接関わりがないため、使用時には売上原価ではなく販売費及び一般管理費に経費として計上します。


勘定科目で貯蔵品を用いるメリット

貯蔵品のうち、決算日時点で未使用のものは資産へ計上します。経費にできるのは実際に使用したものに限られるため、決算日時点で使用されていない貯蔵品がいくらあるか棚卸します。

一方、貯蔵品には事務用消耗品の様に細かいものが多く、これらの使用・未使用を厳密に管理することは非常に大変です。したがって、法人税法では、毎年一定の数量を取得し日常的に消費するものについて、取得するための費用を継続し、その取得した年度に経費処理することを認めています。

毎年計画的に購入すると購入金額をその年の経費にでき、税金が少なく済むため、事務用消耗品は毎年計画的に購入するようにしましょう。

(出典:法人税法基本通達2-2-15


貯蔵品によくある仕訳

実務でよく見られるレターパックの経理処理の具体例を解説します。まず、レターパック赤(一部520円)を、現金で50部購入したとしましょう。仕訳例は次の2通りになります。

借方

貸方

貯蔵品

26,000

現金

26,000

借方

貸方

通信費

26,000

現金

26,000

また、決算日に棚卸した際、先ほど購入したレターパックが25部残っていたとしましょう。仕訳例は次の2通りになります。

借方

貸方

通信費

13,000

貯蔵品

13,000

借方

貸方

貯蔵品

13,000

通信費

13,000

どちらの方法でも、決算日現在の貸借対照表には「貯蔵品13,000」、損益計算書には「通信費13,000」が計上されます。なお、経理処理は、毎期継続して同じ方法で行いましょう。


貯蔵品における税務上の注意点とは

貯蔵品における税務上の注意点をまとめました。ぜひ参考にしてください。

消費税の取り扱い

貯蔵品を買ったときは、通常、消費税の一部を仕入税額控除できます。適用タイミングは、貯蔵品を実際に売ったり渡したりしたときです。

なお、切手の場合、切手を使って郵便を送るときに資産を使ったとみなされるため、買った時点では控除できません。郵便物を送るときに仕入税額控除を適用できます。貯蔵品の種類によって消費税の取り扱いが異なりますので、注意しましょう。

期末付近の大量購入

もし会計年度の終わり近くで大量の貯蔵品を購入した場合、年度末の日にまだ使っていない分は棚卸しをして数え上げ、それを資産として記録する必要があります。もしこれらを経費として記録してしまうと、経費が実際よりも多く見え、税金が少なくなります。

税務当局は、年度末の頃に購入したアイテムが正しく記録されているかを、チェックすることがあります。もし、資産として記録すべきものが正しくなかった場合、税務当局から指摘される可能性があるので、慎重に対応しましょう。

貯蔵品の評価方法

法人税法では、棚卸資産を評価する方法が何種類かあります。

企業は、これらのなかから一つ選んで税務当局に届け出る必要があります。もし何も届け出ていなければ、法定の評価方法である最終仕入原価法が使われます。在庫に含まれる貯蔵品も、これらの方法のどれかで評価しなくてはなりません。

決算が近づく前に、自社がどの方法を使っているかをチェックしておきましょう。間違った方法を使ってしまうと、税務当局から指摘されるリスクがあります。


貯蔵品についてのまとめ

貯蔵品とは、事業に関連した原材料や商品以外の物品のうち、企業の売上に直接の関係がなく、使用されていない状態で貯蔵されているものを示す勘定科目です。

継続的に消費する事務用品や消耗品などは、毎年計画的に購入することで購入金額の全体を経費にできるため、結果的に節税につながる可能性があります。

この記事を参考にしながら、貯蔵品の該当項目と処理方法を理解し、正しく計上するようにしましょう。


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監修者プロフィール

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宮澤 明宏

京浜税理士法人 横浜事務所

横浜市青葉区を拠点として、中小規模法人や個人事業主のお客様を中心に、税務顧問サービス及び経営コンサルティングサービスを提供。

月次決算制度の導入、資金繰りの明確化を切り口に、創業3年以内の黒字化を目指し経営を安定化させるための経営管理の手法について、伴走型支援で行っている。

創業時からしっかりとした経営管理を行い、スピード感を持って会社を成長させていきたい経営者に向けて業務を行う。

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