未払費用とは? 未払金との違いや具体的な仕訳方法をわかりやすく解説
未払費用は支払いが年度をまたぐケースで用いられるため、会計処理の中でもやや複雑な勘定項目です。正しく理解しておかないと仕訳でミスをする可能性もあるため、十分に注意しなければなりません。
本記事では未払費用の具体例や、よく混同される未払金との違い、実際の仕訳方法までをわかりやすく解説します。
これを読めば、未払費用に対する不安は解消され、正確な会計処理を行えるようになるでしょう。経理担当者の方はぜひ参考にしてください。
未払費用とは
未払費用とは、契約に則って継続的な提供を受けている商品もしくはサービスに対する対価のうち、支払期限がまだ来ておらず、まだ支払いを終えていない費用のことを指します。
支払いこそ済んでいないものの、商品やサービスは受け取っているため、費用は発生しているものとして考えます。
当期の損益計算に計上し、貸借対照表の上では流動負債として扱います。
未払費用に該当する具体例
未払費用の具体例としては以下のようなものがあります。
- 土地や建物の賃料
- 従業員への賃金
- 水道光熱費
- 通信費
- 保険料
- リース料
- 借入金の利息
例えば土地や建物の賃料であれば、決算日の時点で支払期日が来ていなかったとしても、その土地や建物を借りている事実があります。
よって、すでに費用は発生しているものとして捉えます。
未払金との違い
未払費用と混同しがちな勘定項目として未払金があります。いずれも決算日の時点で未払いであることを示す勘定項目ですが、両者の違いはすでに確定した債務であるかどうかです。
未払費用が契約に則って継続的に提供される未確定の商品やサービスに対する対価であるのに対し、未払金はすでに提供を終えて確定している商品やサービスへの対価を指します。
未払費用の仕訳方法
ここでは、未払費用の仕訳方法と、その具体例をそれぞれ見ていきましょう。未払費用は以下の3つの流れに沿って仕訳を行います。
- 計上
- 振り戻し
- 支払確定
ここでは以下の条件で備品のリース契約を結んだケースを例に、未払費用の仕訳方法を見ていきましょう。
- 会社の決算日:3月31日
- サービス利用開始日:1月1日
- 支払期日:12月31日
- 契約期間:1年間
- 支払金額:12万円
1.計上
まずは商品やサービスの提供が始まった日から、決算日までの費用を、その期間の未払費用として計上します。
今回の例では、1年間で12万円のリース料のうち、3ヶ月分に相当する3万円を未払費用として計上しましょう。借方には「リース料」として、貸方には「未払費用」として、それぞれ記載してください。
〈仕訳例〉決算日(3/31)
(借方)リース料 30,000円 / (貸方)未払費用 30,000円
2.振り戻し
決算日を終えて翌期が始まったタイミングで、振り戻しを行います。振り戻しは、リース料が重複することがないようにおこないます。
今回の例では、前期に未払費用として計上した3万円を、借方には「未払費用」として、貸し方には「リース料」として、それぞれ記載します。
〈仕訳例〉翌期首(4/1)
(借方)未払費用 30,000円 / (貸方)リース料 30,000円
3.支払確定
最後に、支払い期日を迎えて料金を支払ったタイミングで、実際に支払った金額を計上し、支払いを確定します。
今回の例では、支払った総額12万円を、借方には「リース料」として、貸方には「現金」として、それぞれ記載しましょう。
〈仕訳例〉支払日(12/31)
(借方)リース料 120,000円 / (貸方)現金 120,000円
未払費用についてのまとめ
未払費用とは勘定項目のひとつです。契約に則って継続的に購入しているサービスや商品の代金のうち、決算日の時点で支払期日が来ておらず、支払いを終えていないものに対して用います。
年度をまたぐため、処理が複雑になりますが、当期中の費用を正確に計上するために必要な勘定項目です。
未払費用の仕訳が正確に行われていないと、保険料や家賃などの計算にずれが生じるため、正確に処理してください。
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