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雑損失とは? 仕訳例や注意点、他の勘定科目との違いをわかりやすく解説

雑損失とは? 仕訳例や注意点、他の勘定科目との違いをわかりやすく解説

雑損失とは、通常の業務とは直接関係のない、少額で重要度の低い経費のことです。既存の勘定科目に分類できない経費を処理する際に使用されますが、頻繁に使うと会計の透明性が損なわれるリスクもあります。

この記事では、雑損失の正しい定義や仕訳方法、適切な処理を行うためのポイントについて、専門家の意見を交えて詳しく解説します。

正確な会計処理を行うために、経理担当者の方はぜひご一読ください。


この記事の監修者
京浜税理士法人 横浜事務所   

雑損失とは

雑損失とは、営業外費用のうち他の勘定科目では分類できない経費のことです。また、少額かつ重要でない経費が雑損失に該当します。

基本的に雑損失の金額の目安は、営業外費用の10%以下とされていて、それ以上の金額であれば独立した勘定科目を設定するのがいいでしょう。

雑損失に該当するものは企業や業種によって違います。

具体例

雑損失に該当するものの具体例は、以下のとおりです。

  • 違約金
  • 科料
  • 罰金
  • 損害賠償金
  • 補償金
  • 弁償費用
  • リース契約の違約金
  • 現金不足

罰金や賠償金などに加えて、リース契約の違約金や現金不足なども該当します。

雑費との違い

雑損失と雑費の違いは、本業の売上に関連しているかどうかです。本業の売上向上に関連する少額の経費で、その他の勘定科目に該当しないものは雑費として計上します。

本業とは無関係に発生した少額の支出は、雑損失として処理できます。具合的に雑費に該当するものは、クリーニング費用や一時的なレンタル料金、ゴミ処理費用などです。

雑損控除との違い

雑損控除とは、被害資産損失の所得控除のことで、自然災害や盗難、横領などによる被害を受けた際に利用できます。ただし、詐欺による損失は雑損控除の対象とならないので、覚えておくようにしましょう。

損失額が大きくその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以降に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。繰越期間は3年間が限度となります。


雑損失の仕訳例

ここでは、雑損失の仕訳例について紹介します。

弁償費用を支払う場合

弁償費用を支払った場合は、雑損失として計上します。弁償費用は売上を獲得するための費用ではないので、販売費および一般管理費ではなく、営業外費用となります。

(例)取引先から借りた機材を壊してしまい、弁償費用100,000円を現金で支払った。

借方

金額

貸方

金額

雑損失

100,000

現金

100,000

駐車違反の罰金を支払う場合

駐車違反の罰金を支払った場合は、雑損失として計上します。罰金は一般的には少額であり、また売上を獲得するための費用ではないので、営業外費用の雑損失になります。

(例)駐車違反の罰金10,000円を現金で支払った。

借方

金額

貸方

金額

雑損失

10,000

現金

10,000

現金不足を雑損失に切り替えた場合

現金の実際残高が帳簿残高よりも少ない「現金不足」について、帳簿残高を実際残高と一致させる場合は、雑損失として計上します。こちらも売上を獲得するための費用ではなく、また金額が少額であることが多いので、営業外費用の雑損失として処理します。

(例)決算にあたり、現金不足額100円を雑損失とした。

借方

金額

貸方

金額

雑損失

100

現金

100


雑損失を処理する際の注意点

ここでは、雑損失を処理する際の注意点について解説します。

消費税区分に注意

雑損失の中には消費税がかからない取引や、課税仕入れに該当するものがあるため、処理をする際には注意しておきましょう。

例えば、消費税不課税取引に該当する違約金や罰金の支払いでは、消費税がかかりません。処理をする際には消費税区分に注意して計算する必要があります。

雑損失の使いすぎに注意

雑損失の使いすぎにも注意が必要です。というのも、さまざまな営業外費用を雑損失として計上できるため、使いすぎると会計の管理が難しくなるだけでなく、会計の透明性を損ないます。

営業外費用の金額の10%を超えるものについては、別途、取引を表す勘定科目で計上するようにしましょう。

損金算入できないものに注意

雑損失の中には損金算入できないものもあるので注意しておきましょう。

例えば、法人税や住民税、法人が支払う延滞税や加算税、罰金などは損金算入できません。罰金などが損金算入できてしまうと、税負担が軽くなってしまうからです。


雑損失についてのまとめ

雑損失とは、本業と関係のない取引から生じる金額的に少額かつ重要でない費用を処理する勘定科目です。

盗難や災害、違約金や賠償金など事業に付随する損失は雑損失として処理します。意味が混同しやすい雑費については営業活動の支払費用を指し、対象が違うため注意が必要です。

雑損失について正しく理解して、適切な処理を行えるようになりましょう。


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監修者プロフィール

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宮澤 明宏

京浜税理士法人 横浜事務所

横浜市青葉区を拠点として、中小規模法人や個人事業主のお客様を中心に、税務顧問サービス及び経営コンサルティングサービスを提供。

月次決算制度の導入、資金繰りの明確化を切り口に、創業3年以内の黒字化を目指し経営を安定化させるための経営管理の手法について、伴走型支援で行っている。

創業時からしっかりとした経営管理を行い、スピード感を持って会社を成長させていきたい経営者に向けて業務を行う。

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