会計業務の「めんどくさい」を解消! 業務効率化する方法とは?
企業で日々発生する請求書や領収書などの処理業務は、会計担当者にとって大きな負担です。
電子帳簿等保存制度やインボイス制度など、近年は大きな会計制度の変更もあり、紙や自作のソフトを使っての会計業務は限界が近づいているといえます。
そこで導入を検討したいのが、会計ソフトです。仕訳処理の補助や、クレジットカード・銀行口座と連携する機能などを備えた会計ソフトを導入することで、会計業務の煩雑な手続きから解放されるでしょう。
新しい制度に準拠した方法で会計処理を行うことも可能になります。
本記事では、会計ソフトの概要や導入のメリットを解説し、おすすめの会計ソフトも厳選して紹介します。会計ソフトの導入検討に、ぜひお役立てください。
会計業務のよくある悩み・リスク
日々の会計業務をマンパワーで行っている企業では、経理担当者が次のような悩み・リスクを抱えていることがあります。
- 日々の入出金管理に時間がかかる
- 複数の帳簿の記入・管理が手間
- 新しい制度に対応しきれない
それぞれの課題を、もう少し詳しく見ていきましょう。
日々の入出金管理に時間がかかる
経理担当者は、自社のさまざまな取引で生じた入金・出金のすべてを管理しなければなりません。
- その日にあった入金または出金の内容を確認する
- 取引の内容に応じて仕訳を行い、帳簿に記載する
- 本来あるべき現金や預金の額と帳簿上の数値が一致しているかどうかを確認する
こうした業務は、繁忙期であっても毎営業日行う企業がほとんどです。特に紙ベースで業務を行っている場合、経理担当者は、その日の入出金管理を行うだけでもかなりの時間を取られるでしょう。
急いで処理した結果、ミスが生じるリスクもあります。
複数の帳簿の記入・管理が手間
自社の入出金管理に使う帳簿は、大きく分けても次の3種類があります。
- 主要簿(日記帳・仕訳帳・総勘定元帳)
- 補助記入帳(現金出納帳・預金出納帳・売上帳など)
- 補助元帳(商品有高帳・売掛金元帳・買掛金元帳など)
経理担当者は、取引の内容に応じて適切な種類の帳簿を選択し、必要事項を正確に記載しなければなりません。
また、作成した帳簿は一定期間保存することになるため、管理場所の確保も必要です。
新しい制度に対応しきれない
令和5年10月にスタートしたインボイス制度により、取引先が課税事業者か免税事業者かで対応を変える必要が出てきました。
紙ベースや経理担当者が作成したExcelなどで会計業務を行っている場合は、インボイス制度への対応に手間と時間がかかります。
内容によっては制度に沿った形で適切に処理できず、知らない間にルールを破ってしまうリスクも考えられるでしょう。
多くの会計ソフトは新しい制度に対応しているため、業務効率化につながります。また、ソフトを使用して会計処理を行うことで、自然と新しい制度に沿った形で会計処理が可能です。
会計ソフトとは?
そもそも会計ソフトとは、企業のお金の出入りを記録し、データ集計や帳簿の作成などを行うソフトのことです。
いくつかの種類があり、仕組みやできることもソフトによって異なります。
会計ソフトの仕組み
会計ソフトは、大きく次の3つに分類できます。
- パッケージ型
- オンプレミス型
- クラウド型
「パッケージ型」と「オンプレミス型」は、会計ソフトを購入し、パソコンにソフトをダウンロードして使用するタイプです。
入力した情報は、ソフトをダウンロードしたパソコンのみに蓄積されます。利用環境の柔軟性には欠けるものの、その分、強固なセキュリティ環境が構築できます。
「クラウド型」は、インターネットにアクセスしてシステムを利用するタイプです。入力した情報はクラウド上に保存されるため、使用するパソコンや場所などを問わず使用できます。
ただし、セキュリティ体制が開発元の環境に依存するため、ダウンロード型の会計ソフトに比べて対策しづらい点がデメリットです。
会計ソフトでできること
会計ソフトには、次のような機能があります。
- 仕訳処理の補助
- 売掛帳・現金出納帳・決算書・確定申告書の作成
- 銀行口座・クレジットカードの入出金明細の自動取得
- 顧問税理士への会計データ共有
- 経営分析レポートの自動作成
こうした作業が会計ソフトで自動化できれば、経理担当者の業務負担も大きく削減できるでしょう。
データの連携や自動取得などは、基本的にクラウド型の会計ソフトで使用できる機能です。
会計ソフトを導入する際の注意点
便利な機能が多い会計ソフトですが、導入時には注意点があることを知っておきましょう。
- 事業規模や業界が合っていないと使えないこともある
- 十分に余裕を持ったスケジュールで導入する
- セキュリティ対策も行う
それぞれの注意点を解説していきます。
事業規模や業界が合っていないと使えないこともある
会計ソフトは、自社の事業規模や業界に合っていないと求めている機能が使えず、思うように導入の効果が感じられないこともあるでしょう。
また「建設業向け」「医療法人向け」など、特定の業種・業界に特化したものもあるため、選定する際は注意が必要です。
導入を検討中のソフトが、自社の目的や業種に合っているかどうかを確認しましょう。
十分に余裕を持ったスケジュールで導入する
会計ソフトの導入から運用開始までは、十分な期間を確保する必要があります。
新しい会計ソフトを導入して、会計担当者が使い方を覚えるまでには時間がかかります。また、社内のネットワーク環境構築が必要になることもあるでしょう。
導入から運用開始後までサポート体制が整っている会計ソフトを選ぶと、より安心です。
セキュリティ対策も行う
会計ソフトには、自社の売上や顧客、取引先に関する情報など、機密情報を保存することになります。
そのため、情報漏えいを防止するための対策が欠かせません。
具体的には、次のような点を意識しましょう。
- データ通信を暗号化してくれる会計ソフトを選ぶ
- 定期的にバックアップを取る
- 使用するパソコンや会計ソフトにアクセス制限を設ける
- 会計ソフトが入っているパソコンを紛失しないよう十分に注意する
高度なセキュリティ対策が施されているソフトを選ぶだけでなく、実際に会計ソフトを使う会計担当者のセキュリティ意識を高めることも重要です。
会計ソフト導入のメリット3つ
ここでは、会計ソフトを導入することで期待できるメリットを見ていきましょう。
- ヒューマンエラーを減らして正確な情報の管理ができる
- 帳簿の作成・保存が容易で電子帳簿等保存制度にも対応可
- 経営計画の立案・改善がしやすい
ヒューマンエラーを減らして正確な情報の管理ができる
紙ベースでの管理やExcelへの手入力で会計業務を行うと、数字や勘定科目のミス、計算ミスなどが発生しやすくなります。
会計ソフトを利用することで、そのようなヒューマンエラーを削減できるでしょう。
多くの会計ソフトでは、入力作業の補助やチェックの自動化が可能です。なかには、課税事業者と免税事業者との区別が簡単にできる機能を備えた会計ソフトも存在します。
さらに、ソフトで会計作業を行うことは、ヒューマンエラーだけでなく会計担当者の不正防止にも役立ちます。
帳簿の作成・保存が容易で電子帳簿等保存制度にも対応可
入力した取引情報や入出金のデータは、帳簿や決算書、確定申告書に引用できるため、文書作成の手間を減らせます。
また、自社の取引情報を一元管理することで、特定のデータが必要になった場合もすぐに探し出せるでしょう。
さらに、会計ソフトによる情報の電子化は、近年スタートした「電子帳簿等保存制度」への対応にも役立ちます。
※電子帳簿等保存制度とは、電子データで取引したものは、必ず電子データとして保存することを定めたもの。企業の場合は最低7年間のデータ保存が求められるため、膨大な量のデータを適切に管理する方法を検討する必要があります。
電子帳簿等保存制度に対応した会計ソフトを使うことで、自然と制度に準拠した形で会計処理が可能です。
経営計画の立案・改善がしやすい
会計ソフトを活用すれば、決算書や試算表の作成も容易になります。最新のデータに基づいた内容を出力できるため、将来的な経営計画を考える際の参考にできるでしょう。
また、小まめにデータをチェックすることが可能になることで、経営課題の早期発見も期待できます。
会計ソフトの選び方
会計ソフトは種類が多く、選び方に迷うこともあるでしょう。
次のようなポイントを意識したうえで、優先順位をつけて選ぶことが大切です。
- 求める機能
- 会計ソフトのタイプ
- 自社の規模や業界
- 利用料金や導入費用
- 連携できるシステムやサービス
- 動作環境
例えば、クラウド型の会計ソフトは、ネットワーク環境があれば場所や時間を問わずに利用できて便利ですが、月払いもしくは年払いでかかる利用料をランニングコストとして見込んでおく必要があります。
一方で、パッケージ型やオンプレミス型は、オンライン上で使用するクラウド型に比べてセキュリティ対策が行いやすくなりますが、最新版のソフトを利用するには再度ソフトの購入が必要になることもあるでしょう。
そもそもソフトがMacには対応していないこともあります。
その他、大企業向けのソフトはオーバースペックで使いこなせないケースもよくあるため、事前に確認が必要です。
自社が求める機能や特徴を洗い出したうえで、希望の多くが叶うものを2~3個ほど厳選して比較検討すると選びやすいでしょう。
【おすすめ】会計ソフト3選
会計ソフトの導入は、経理担当者の負担軽減だけでなく、経営状況の把握・改善にも役立ちます。
ここでは、おすすめの会計ソフトを3つ厳選して紹介します。
それぞれの機能や特徴を比較したうえで導入を検討してください。
freee会計 - freee株式会社
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口座連携によるAI自動仕訳が便利
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経理未経験でも帳簿や決算書を作成できる
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クラウド会計ソフトシェアNo.1
ジョブカン会計 - 株式会社DONUTS
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会計ソフトの導入で自社の経営も円滑に
会計ソフトには、経理担当者の業務負担を軽減するためのさまざまな機能が備わっています。
また、会計に関する最新情報を一元管理できるため、経営状況の把握・改善にも役立ちます。
ただし、会計ソフトは種類が多いので選び方に注意が必要です。ソフトのタイプや対応している業種・業界、企業規模などは必ず確認しましょう。
先に自社が求める条件を洗い出してから、2~3個の会計ソフトを比較検討するとよいでしょう。
こちらのページでは、会計ソフトを一括で比較検討できる資料を無料配布していますので、ぜひ活用してください。