アニュアルレポートとは? 発行の目的や作成の流れを解説
証券用語であるアニュアルレポートとは、どのようなものかご存じでしょうか。
いわゆる年次報告書ですが、上場企業においては、必ず作成する報告書になります。
今回は、アニュアルレポートを作成する目的、統合報告書などとの違いなど、アニュアルレポートの基本についてお伝えします。
また、作成手順も簡単にまとめましたので、作成の際の流れを確認しておくといいでしょう。
アニュアルレポートとは?
アニュアルレポートとは、簡単に言うと「年次報告書」です。上場企業が年度の終了時に事業内容を作成する報告書のことを言います。
ここでは、レポートを発行する目的や統合報告書との違いを見ていきます。
アニュアルレポートを発行する目的
投資家達に自社の活動や想いを知ってもらうことで、投資を促す目的があります。
アニュアルレポートには財務情報の数字面についても掲載しますが、その他は制作する企業側で任意に決めることができます。
テキストや数値だけでなく、視覚的なアプローチも可能であるため、企業へ投資してくれる投資家達へ効率的にアプローチすることができます。
アニュアルレポートと統合報告書の違い
統合報告書は、「財務情報」と「非財務情報」を統合して報告するレポートです。
財務情報には財務状況、事業の概況、今後の経営戦略などが記載され、非財務情報にはCSRレポートや環境報告書が記載されます。
一見アニュアルレポートと似た内容に見えますが、両者の違いは「レポートが示す範囲」です。
アニュアルレポートは単年度の報告を主に作成されますが、統合報告書では単年度報告のみならず、企業が今後目指す姿やそれに向けた経営戦略、プランなどを示す必要があります。
アニュアルレポートと有価証券報告書の違い
有価証券報告書とは、株式を発行する上場企業などに発行が義務付けられている企業情報の報告書を指します。発行の義務付けは金融商品取引法によって定められています。
発行の目的は、投資家に対して「投資判断をするうえで有用な情報」を開示することです。
基本的に投資家は企業の社員ではありませんので、事業の実情や経営状態などの内部を知るのは難しいです。
そのため、外部である投資家に企業の状況を知ってもらい、適切な投資判断が行えることを目的としたものが有価証券報告書になります。
一方で、アニュアルレポートは投資家達に企業の魅力をアピールし、投資判断を促すことを目的としているため、微妙な違いがあります。
アニュアルレポートの作成手順
アニュアルレポートの作成手順として、以下の流れがあります。手順に沿って詳しく見ていきましょう。
制作スケジュールを組む
アニュアルレポートの作成が決定したら、まずは年間に何回発行するのか、どのイベントで配布するのかも決めます。ここから制作スケジュールを組むといいでしょう。
アニュアルレポートを発行している企業のなかで多いのは、年次報告書として年一回発行し、年度末の決算説明会の際に配布するケースです。
制作にかかる期間については、どこまで作り込むかによって変わってきます。上記の年度末に配布する企業の場合では、6カ月程度を制作期間としてスケジュールを組んでいる企業が多いようです。
外注先を選定する
アニュアルレポートを発行しているほとんどの企業が、作成を外注しています。
素材の準備や作成をすべて外注先に依頼したり、撮影や文章などの素材の準備だけは自社で行う部分発注をしたりと、どこまで外注先にお願いするかは企業ごとに異なってきます。
また、外注先によっても会社案内やパンフレット作成を得意としているところや、IR関連の制作物を得意としているところなど、特色が違います。
どこまでを自社で行い、どこまでを外注先に依頼するのか、外注先に求めるものは何かを整理したうえで、外注先を選定するようにしましょう。
掲載コンテンツを確定する
アニュアルレポートにどういったコンテンツを載せるのかを決めます。
一般的なものでは経営者の想い・メッセージ、現在注力している事業の内容、財務情報、CSRの活動についてです。
企業や制作する年によって内容が違ってくることもあり、それにより必要になる素材や資料も変わるため、スムーズに作成を行えるように、余裕を持って決めておくのが理想です。
デザインを確定する
デザインはアニュアルレポートにおいて、特に重要なポイントです。デザインの良し悪しで企業のイメージの伝わり方が変わるからです。
デザインを外注先に依頼する際には、前もって企業のイメージやガイドラインを伝えておくなど連携を密にすることで、よりイメージに近いデザインに近づきます。
校正を行う
最後に校正・色校を行っていきます。校正は文章に誤字脱字、誤った事実関係が記載されていないか、財務データを始めとした数値が相違していないかなどを見ていきます。
色校は、使用している写真の色が適切か、全体のバランスなど、色味の確認を行います。
これらは必ず複数人で行うようにしましょう。せっかく素晴らしい内容のアニュアルレポートを作っても、誤字脱字や不適切な色味のせいで魅力が伝わりづらくなってしまっては、本末転倒です。
最後の大事な詰めですので複数人の目で確認し、できる限りミスが発生する確率を減らすようにしましょう。
アニュアルレポートのメリット
アニュアルレポートのメリットとしては、以下の二点が挙げられます。詳しく解説します。
数字以外の自社の魅力を伝えられる
アニュアルレポートの内容は、基本的に企業側で決めることができます。
財務情報などの法定開示項目もありますが、その他の部分に関しては企業独自のアピールが可能です。
数値やテキストだけではついつい殺風景になりがちで企業の色を出しづらいですが、経営者の想いや企業独自の取組などを写真やデザインで見せることにより、視覚的なアプローチで他社との差別化を図ることができます。
海外投資家への効果的なアプローチとなる
実は、アニュアルレポートはアメリカでは非常にスタンダードと言える報告書です。
そのため、海外の投資家は必ずと言っていいほど企業への投資を検討する際、アニュアルレポートをチェックします。
今や企業の存続のためには、海外を視野にいれてビジネスを展開していく時代です。
そのため、アニュアルレポートを最大限活かすために、作成する際は、海外の投資家向けに外国語版も作成するとより効果的です。
アニュアルレポートの事例
では、実際に有名メーカーのアニュアルレポートを見ていきましょう。それぞれ特徴がありますから、作成の際のヒントにしてください。
資生堂のアニュアルレポートの事例
経営者のメッセージや経営戦略、資生堂の価値創造について、詳しく記載されています。
さらに、レポートを開いた際のネットページの動きや、レイアウトも非常に魅力的で、目を惹かれる内容となっています。
ライオンのアニュアルレポート事例
ライオンは、ホームページのようにクリックして内容を見ていくタイプではなく、ページごとに区切りをつけて内容が記載されています。
そのため、全体を俯瞰(ふかん)して見ることができ、どこに何が書いてあるのかが一目瞭然となります。
さらに、紙で印刷する際には、資料を非常にまとめやすいという点も利便性が高いです。
アニュアルレポートついてのまとめ
ここまで、アニュアルレポートについて解説しました。アニュアルレポートは、統合報告書とは違い、企業の魅力を伝えることができる報告書です。
レポートのなかに何を盛り込むかにより、投資家へのアピールも変わってきます。その分、作成しがいのある報告書と言えるでしょう。
経営者にとっては企業アピールの一つとなりますので、手順を参考にスムーズに行えるようにしましょう。
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