第5回:不動産所得・利子所得・配当所得・退職所得・一時所得
今回で5回目となる確定申告のコラム。本コラムでは不動産所得・利子所得・配当所得・退職所得・一時所得について説明します。
それぞれの所得の説明や具体例、計算方法などについて、多くの図表を用いて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
不動産所得とは
不動産所得とは、次に掲げる所得をいいます(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く)。
- (1)土地や建物などの不動産の貸付け
- (2)地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
- (3)船舶や航空機の貸付け
不動産所得の計算方法
不動産所得は次のように計算します。
不動産所得 = 総収入金額 – 必要経費
不動産所得の総収入金額とは
総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。
- イ 名義書換料、承諾料、更新料又は頭金などの名目で受領するもの
- ロ 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
- ハ 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など
不動産所得の必要経費とは
必要経費とすることができるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分できるものであり、主なものとして貸付資産に係る次に掲げるものがあります。
- イ 固定資産税
- ロ 損害保険料
- ハ 減価償却費
- ニ 修繕費
確定申告の必要性
サラリーマンなど確定申告をする必要のない人であっても、不動産所得が20万円を超える場合、確定申告をする必要があります。具体的には、上記計算式の通り、総収入金額から、必要経費を引いた残額が20万円を超える場合です。
ただ、不動産所得が赤字になった場合などは、確定申告をすることにより、給与所得と損益通算して、全体の課税される所得を減らすことができます。また、不動産所得のみであっても、青色申告を行っていれば、その赤字を翌年以降に繰り越すことができます。
不動産所得で赤字が出るケースは次のような場合が想定されます。
- 不動産投資初年度で、入居者がいない場合もしくは少ない場合
- 修繕費が多額にかかった場合
仮にこのような場合で、赤字が計上されるような場合は、確定申告をして税制上有利になるようにしましょう。青色申告もお忘れなくお願いします。
引用・参考:国税庁「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
事業としての不動産所得とは
不動産の貸付けによる所得は、不動産所得に分類されます。
ただし、その不動産の貸付が、事業的規模で行われているか否かで、例えば、青色申告特別控除額65万円(55万円)もしくは 10万円、などの違いが生じます。
不動産の貸付けが事業的規模で行われているかは、原則として社会通念上「事業として営んでいます」といえるかどうかで判断されます。つまり、実質的判断です。
ただし、建物等を貸付けている場合には、一定の基準が示されています。
- (1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること
- (2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること
例えば、駐車場経営のようなものも、このような基準に沿って、事業的規模が判断されていくと思われます。
不動産所得があって、青色申告の申請をしていても、無条件で、青色の特典をすべて受けることができるわけではないということを、覚えておきたいところです。
引用・参考:国税庁「事業としての不動産貸付けとの区分」
利子所得とは
利子所得とは、預貯金及び公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。
利子所得の金額
利子所得は源泉徴収される前の金額が利子所得になります。源泉徴収される金額は、利子所得の金額に一律20.315%(うち地方税5%)となっています。
例えば、預金に797円の利息が入金された場合、20.315%で割り戻すと、1,000円になります。この1,000円が利子所得になります。
確定申告の必要性
利子所得は、原則として20.315%の税額が徴収され、これにより納税が完結します。このような徴収方法を源泉分離課税といいます。確定申告をすることはできません。
他人に貸したお金の利子は?
利子所得の対象となる利子は、税法で厳格に決められています。公社債の利子、預貯金の利子、信託等の収益分配金などです。
そうすると、他人に貸したお金の利子は、利子所得になりません。
次に、あなたがそれを事業として行っているかです。例えば、貸金業の許可を得て、反復継続して行っていた場合は、事業所得に該当するものと思われます。
事業として行っていない場合は、事業所得から外れるため、他の所得に該当するか検討します。不動産、給与、退職、一時、配当、譲渡、山林、いずれも該当しないと思われます。
このように、いずれにも該当しない所得は、雑所得に分類されます。
引用・参考:国税庁「利息を受け取ったとき(利子所得)」
配当所得とは
配当所得とは、株式の配当金や、投資信託の収益分配金などをいいます。
配当所得の金額
配当所得 = 収入金額(源泉徴収前の金額)– 借入金の利子※
※確定申告をすることを選択した場合に限り、配当が生ずる株式などを取得するための借入金の利子を引くことができます。
配当所得の源泉徴収
配当所得は受取の際に源泉徴収されます。源泉徴収される税率は以下の通りとなっております。
上場株式等の配当等※ |
15.315%(他に地方税5%) |
その他の配当等 |
20.42%(地方税なし) |
※上場株式等であっても、発行済株式総数の3%以上に相当する数を有する個人(大口株主)は、その他の配当等に対応する税率を適用し、源泉徴収されます。
引用・参考:国税庁「配当金を受け取ったとき(配当所得)」
上場株式等に対する配当所得の課税方式
以下、上場株式等の配当を特定口座で受け取っていることを前提に記載します。配当所得は次の3つの課税方式が選択できます。
総合課税 |
給与所得や事業所得等、他の総合課税となる所得と合算して課税する方式 |
申告分離課税 |
総合課税所得と合算をせずに申告を行う方式 |
申告不要制度 |
申告しないという選択。源泉徴収税額をすでに納めているので、その税額によって課税関係が完結 |
上記3つの課税方式を選択できますが、どれを選ぶとよいのかは、ご自身の所得等の状況によって選択していくことになります。
【課税方式のフローチャート】 ※画像をクリックすると、大きな画像が表示されます。
引用・参考:国税庁「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
確定申告が面倒で、有利不利は気にしないなら申告不要制度
確定申告したら有利になるかもしれないが、確定申告自体が面倒でやりたくない人は、申告不要制度の一択になると思います。
申告不要制度と申告分離課税の比較
申告不要制度は上記の通り、源泉徴収税額(所得税15.315%、住民税5%)で完結します。一方、申告分離課税も、申告不要制度と同様の税率(所得税15.315%、住民税5%)ですが、上場株式等の譲渡損失と損益通算できる点に違いがあります。
順番としましては、まず、上場株式の譲渡損失がある場合、その損失と配当所得を損益通算します。その後に、源泉徴収税率と同様の税率による課税がされます。
損失と損益通算した場合、課税される配当所得が減るので、当初の源泉徴収税額が納めすぎの状態になり、その納めすぎていた金額が還付されることになります。
総合課税のしくみ
総合課税を選択すると他の所得と合算して、税金を算出します。したがって、総合課税にした結果、配当所得のみに係る税率が、源泉徴収税率よりも低くなるようであれば、総合課税を選択したほうが有利になります。
なお、総合課税を選択した場合、所得税と住民税に関して、配当控除という税額控除が受けられます。控除額は配当所得に対して一定割合を乗じて計算されます。課税される所得に応じて控除される税額は、次の通りとなっています。
【配当控除割合】
課税される所得 |
1,000万円以下 |
1,000万円超 |
---|---|---|
所得税 |
10% |
2.8% |
住民税 |
5% |
1.4% |
総合課税を選択すべき所得基準
総合課税を選択すべき場合は、課税される所得が900万円以下です。所得税だけで見ると、所得900万円の税率は23%です。配当控除10%が適用されますので、差引13%の所得税が課されます。
配当の源泉徴収税率は15%なので、これより低くなります(なお、比較しやすくするため復興特別所得税は除外して記載)。
住民税の申告不要制度の選択をお忘れなく!①
総合課税を選択すると、住民税も自動的に総合課税を選択したことになります。そうすると、住民税率10%から住民税の配当控除2.8%を差し引いた7.2%が適用されます。源泉徴収税率は5%でしたので、これより高くなってしまします。
これを避けるため、所得税は総合課税で申告しつつも、住民税は申告不要制度を適用するという方法があります。具体的には、申告不要の旨の申告書を、住民税の納税通知書が届く前に、各自治体に提出します。
もしくは、確定申告書第2表の「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」に〇を記入します。なお、この場合、上場株式等の配当所得等・譲渡所得等の全部を申告不要選択したことになります。
その結果、住民税の計算上、課税される所得に反映されず、5%の源泉徴収税額で完結します。
住民税の申告不要制度の選択をお忘れなく!②
総合課税又は申告分離課税によって申告を行うと、住民税の計算上、課税所得に含まれます。国民健康保険料もこの所得を算定の基礎にしているため、保険料が上がる可能性があります。
住民税に関する申告不要制度を選択すれば、保険料の計算対象に含まれないため、必ず検討したいところです。
令和4年分の申告をもって、異なる課税方式の廃止!
2022年度の税制改正により、「所得税は総合課税、住民税は申告不要」という課税の方式は、令和4年分の申告をもって終了となります。
令和5年分からは、配当等を確定申告した場合、住民税においても申告することになりますので、注意が必要です。
【配当所得 課税方式の選択基準例】
配当所得の申告選択は慎重に!
配当所得は、申告するのか、しないのか、申告方法は総合なのか、申告分離なのか、様々な選択があります。
また、選択するうえでは、ご自身の所得状況、扶養状況、社会保険なのか国民健康保険なのかなどを総合的に考える必要があります。
退職所得とは
退職所得とは、退職に起因して、勤務先から受ける退職手当などの所得をいいます。支給原因はもちろん退職で、受取方法は一時金であることが必要です。
退職所得の計算方法
退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収前の金額)– 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額
退職金は、長期の勤務に対する報償的な意味合いであったり、退職後の生計維持のために必要な資金という側面から、退職所得控除で所得控除を行ったうえ、さらに1/2したものを、退職所得(=課税対象)としています。
他の所得と比較すると、税制上、一番優遇されている所得といえます。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額は、次のように計算します。
勤続年数 |
退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 |
40万円 × 勤続年数 |
20年超 |
800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年) |
※勤続年数に1年未満の端数がある場合は、その端数は切り上げて1年とします。
【計算例】
勤続年数15年4カ月の場合 |
40万円 × 16年 = 640万円 |
勤続年数26年2カ月の場合 |
800万円 + 70万円 ×(27年 – 20年) = 1,290万円 |
退職所得の税額の計算
退職所得は原則として、他の所得と分離して、所得税額を計算します。この方法を分離課税といいます。
退職所得 × 所得税率(累進税率)= 退職金に係る所得税額
※このほか、復興特別所得税が所得税額に2.1%を乗じて課税されます。
※所得に対して10%の住民税も別途課税されます。
退職金の支払いを受ける時までに、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者に提出している人は、源泉徴収だけで課税関係が終了しますので、原則として確定申告をする必要はありません。
そうでない人は、退職金の収入金額に対して、20.42%の源泉徴収がされますので、確定申告をして精算することになります。
引用・参考:国税庁「退職金と税」
年金方式で受け取る場合
退職所得と認められる場合は、一時に受領する場合です。一方、退職金を一時に受け取らず、分割して数年間にわたって受け取る場合もあると思います。このような方式で受け取ると、退職所得とはならず雑所得に分類されます。
過去の勤務により会社などから支払われる年金は、公的年金等に係る雑所得に分類され、雑所得の金額は次の表によって算出されます。
【公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)】
※画像をクリックすると、大きな画像が表示されます。
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が2,000万円超
65歳以上の人であれば、控除額が大きいので、年金で受け取るという選択肢もあると思います。また、年金で受け取ったほうが、一時金で受け取るよりも大きな買い物をしにくくなるというメリットもあるかもしれません。
ただ一般的には、退職所得として受け取ったほうが、退職所得控除後1/2した部分にのみ課税されるため、税制上有利になる場合が多いと思われます。
引用・参考:国税庁「公的年金等の課税関係」
退職金~退職所得と雑所得の比較~
【前提条件】
- 退職金:3,000万円
- 勤続年数:25年
- 厚生年金収入:年額300万円
- 65歳退職
- 同年の扶養配偶者あり
【試算】
〈退職所得として一時に受け取る場合〉
退職所得 |
[3,000万円 –{800万円 + 70万円 ×(25年 – 20年)}] × 1/2 = 925万円 |
所得税 |
925万円 × 33% – 153万円 = 152万円 |
〈年金として20年間(年150万円の分割)にわたり受け取る場合〉
公的年金に係る収入 |
厚生年金300万円 + 退職年金150万円 = 450万円 |
雑所得 |
450万円 –(450万円 × 0.85 – 68万円)= 136万円 |
所得控除 |
配偶者控除38万円 + 基礎控除48万円 = 86万円 |
所得税 |
(136万円 – 86万円)× 5% = 2万円 |
※便宜上、計算過程における万円未満の数値は切り捨てています。
※住民税及び復興特別所得税を考慮していません。
一時金方式と年金方式、どちらが有利か?
【所得税の視点から】
退職金を一括して受け取る場合に、退職所得控除を引いた残額がゼロ円の場合、一時金として受け取ったほうが有利と思われます。年金として受け取る場合には、厚生年金等の公的年金も合算して課税所得に含まれるため、注意が必要となります。
【国民健康保険料等の視点から】
退職したのちの健康保険は、社会保険から国民健康保険へ切り替わることが一般的ですが、国民健康保険等に関しては、所得を基に計算される部分があり、年金として受け取ることにより、健康保険料等も増加する可能性が考えられます。
退職金額、勤続年数、その他の年金の金額など、条件によって有利になったり、不利になったりもします。退職前にそれぞれの前提条件が判明することが多いため、いずれの方式で受け取るか迷っている場合には、まず試算することが重要です。
死亡退職金は退職所得?
死亡退職された場合に、退職金が支給される場合があります。このような退職金は退職所得にはなりません。所得税法上の取り扱いから外れ、相続税の課税対象になります。
死亡後3年以内に支給が確定した退職金も同様です。
なお、死亡退職金には一定の非課税枠があり、その非課税枠を超えない限りは相続税がかかりません。なお、非課税枠は(500万円)×(法定相続人の数)となっております。
引用・参考:国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
一時所得とは
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
一時所得の具体例
一時所得には次のようなものがあります。
- (1)懸賞や福引きの賞金品
- (2)競馬や競輪の払戻金
- (3)生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等
- (4)法人から贈与された金品
- (5)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
上記のうち、個人が一時的に受け取るものが対象であり、業務に関連して受け取るものを除きます。主として、一時的、偶発的に発生するものが、一時所得に分類されています。
一時所得の計算方法
一時所得は次のように計算されます。
総収入金額 – 収入を得るために支出した金額(注) – 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額
(注)その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。
税額の計算方法
一時所得は他の所得とは違い、一時所得を計算した後に、その金額を1/2します。その後、他の給与所得や事業所得、その他の所得と合算して総所得金額を計算し、税額を算出します。
退職所得も1/2しますが、退職所得は1/2後の金額が退職所得であるのに対し、一時所得は1/2前の金額が一時所得です。
実務上は、保険の解約返戻金を申告することがほとんどですが、50万円を引いた後に、1/2された後の金額が課税される所得なので、かなり優遇された所得です。
【一時所得の計算例】
保険の解約返戻金 |
1,000万円 |
解約返戻金に対応する払込金額 |
900万円 |
一時所得 |
(1,000万円 – 900万円)– 50万円 = 50万円 |
課税される一時所得 |
50万円 × 1/2 = 25万円 |
引用・参考:国税庁「一時所得」
ふるさと納税の返礼品も一時所得です!
このコラムをご覧になられている方で、ふるさと納税をされた方も多いのではないでしょうか。最近ですと、寄付に対する返戻率はおおむね3割に制限されていますので、この返戻率を前提に考えると、例えば10万円寄付すると、3万円相当の品がもらえることになると思います。
実は、この返礼品も一時所得になります。とはいえ、50万円の特別控除があったりして、申告義務がないケースがほとんどだと思います。
ただ、その年に保険の解約などにより解約返戻金を受け取り、かつ、ふるさと納税を行って返礼品等を受け取ったケースなどは、一時所得として申告義務が生じる場合がありますので、注意が必要です。
競馬のはずれ馬券は経費にできるのか
競馬の払戻金は基本的に一時所得になります。例えば10万円に対して100万円の払い戻しがあった場合、40万円の一時所得が発生しますので、申告が必要になります。
ところで、競馬を営利活動として行っていた場合はどうでしょうか。
営利活動として行われていた場合には、はずれ馬券も必要経費にできないと困りますね。例えば、10レースで、投資金額の10%の利益を狙っていく場合、分散投資などをして、総合的に利ざやが取れればいいと思います。ちなみに筆者は競馬をやりません。あくまでも想像です。
しかし、一時所得では、収入に対して直接な経費しか引くことができないので、はずれ馬券は紙くずとなってしまいます。
仮に、雑所得であれば、事業活動全体の経費として、はずれ馬券も収入から引くことができます。この違いは大きいですね。
裁判に至ったケースもあり、その中で平成29年12月25日の最高裁判決では、雑所得に該当するとして、はずれ馬券を経費として認める判決を下しました。これを受けて国税庁は下記見解を示しました。
【国税庁の見解】
競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。
具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。
なお、上記に該当しないいわゆる一般の競馬愛好家の方につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できませんのでご注意ください。
ソフトウエアを駆使して、年間を通じてほぼすべてのレースの馬券を購入して、回収率が100%を超えるように馬券を購入してきたことが客観的に明らかな場合は雑所得に、という見解のようですが、現実的にはかなり高いハードルです。
基本的には一時所得に該当することは変わりませんが、購入の状況によっては雑所得になるため、検討は必要です。
なお、このような取り扱いは、過去にさかのぼって適用されますので、国税庁の見解を参考に、営利活動として馬券を購入してきたけれど、配当金を一時所得で申告してきた人などは、税金を返してもらえるか、検討したいところです。