このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

外形標準課税とは? 対象企業の基準と構成する3つの要素を解説

監修者: 税理士・米国税理士・認定心理士  竹中 啓倫

外形標準課税とは? 対象企業の基準と構成する3つの要素を解説

資本金が1億円を超える企業には、「外形標準課税」という法人事業税の課税方法が適用されます。法人が事業活動に応じて負担するもので、税負担の公平性を確保する目的で作られた制度です。

とはいえ、そもそも外形標準課税とは何か、どのように計算すればよいのか気になる方も多いでしょう。この記事では、外形標準課税の対象基準や構成する要素とそれぞれの計算方法を解説します。


外形標準課税とは

外形標準課税とは、資本金が1億円を超える企業に適用される、法人事業税の課税方法です。法人が事業活動に応じて広く負担するものであり、税負担の公平性や事業税の性格の明確化などを目的としています。

外形標準課税は、資本金や従業員数などの外から見て判断できる基準をもとに課税されるのが特徴です。

対象企業となる基準

外形標準課税の対象企業となる基準は、資本金が1億円を超えているかどうかです。その他の要素では判断されず「資本金」の金額のみで対象になるかが決まります。

「資本金等」の金額が1億円を超えていたとしても「資本金」が1億円を超えていなければ、対象外です。そのため、判断基準には資本準備金などは含まれないので注意が必要です。

また、一般社団法人や一般財団法人は資本金が1億円を超えていても、外形標準課税の対象外です。

外形標準課税が導入された背景

外形標準課税は税負担の公正性を確保するために導入されました。

導入前は所得により税額が変わる仕組みを導入しています。そのため、所得が発生しない企業は行政サービスを受けているにも関わらず、税負担がない状態です。

黒字の企業も赤字の企業も行政サービスを受けているのであれば、費用を公平に負担すべきという指摘に応えて外形標準課税が導入されました。


外形標準課税を構成する要素

外形標準課税は、所得割・付加価値割・資本割の3つの要素から構成されます。ここでは、それぞれの要素について詳しく解説します。

①所得割

所得割の税率は次の表を参考にしてください。2020年4月1日以降から軽減税率適用法人が廃止されています。

区分

令和2年4月1日以後に開始する事業制度

               

軽減税率適用法人

年400万円以下の所得

0.495%

年400万円超え年800万円以下の所得

0.835%

年800万円を超える所得

1.18%

軽減税率不適用法人

軽減税率不適用法人

参考:東京都主税局

所得割は所得に税率をかけて算出します。軽減税率適用法人(外形標準課税の対象となる法人)は、所得割の税率が最高で1.18%です。また、軽減税率不適用法人と判断された企業も、税率は1.18%です。

②付加価値割

付加価値割の税率は1.26%です。付加価値割を算出するには、収益配分額と付加価値割には単年利益もパラメータに入っていますので、税金計算する際には注意が必要です。単年度損益を足して付加価値額を割り出します。

割り出した付加価値額に税率をかけることで付加価値割が確認できます。ちなみに、収益配分額は次の3つから計算します。

  • 報酬給与額
  • 純支払利子
  • 純支払賃借料

それぞれの計算式は以下の通りです。

報酬給与額

報酬給与額とは、報酬や給与、賃金、賞与、退職手当などの合計と、法人が役員などのために支出する企業年金等の掛け金の合計を足した金額です。

報酬給与額は次の式で計算できます。

「報酬給与額 = 報酬・給与等 + 企業年金等の掛金」

報酬給与額には確定拠出年金や派遣会社に支払う金額の75%なども含まれます。ただし、通勤手当やそもそも損金算入されないものは含まれないので注意が必要です。

純支払利子

純支払利子は支払利子から受取利子を差し引いた金額です。支払利子は借入金の利子や社債発行差金など、受取利子は預貯金の利子や国債・地方債・社債の利子などがそれぞれ該当します。

純支払利子の計算式は次のとおりです。

「純支払利子 = 支払利子 - 受取利子」

ちなみに、受取利子が支払利子を超える場合は純支払利子は0です。

純支払賃借料

純支払賃借料は支払賃借料から受取賃借料を差し引いた金額です。次の式で計算できます。

「純支払賃借料 = 支払賃借料 - 受取賃借料」

賃借料とは土地や建物とそれぞれに付属する設備等が該当します。純支払賃借料には実際に使用の有無は関係なく、賃借期間が1ヶ月以上連続した1か月以上であることが必要です。のものが含まれます。

③資本割

資本金等をもとに計算するのが資本割です。資本割は資本金等に0.525%の税率をかけて計算します期末における資本金等が対象になってきます。

資本金等は資本金と資本準備金の金額で、増資や減資が行われている場合は再度調整が必要です。


外形標準課税についてのまとめ

外形標準課税は資本金が1億円を超える企業に適用される、法人事業税の課税方法です。企業規模に応じて税率が変わるのが特徴で、原則として対象企業はどのような状況にあっても税金の支払いが必要です。

外形標準課税はそれぞれの要素によって計算方法や計上方法が違うため、経理担当者は理解しておく必要があります。この記事を参考にして、正しい計算や計上を行いましょう。


【書式のテンプレートをお探しなら】

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士

上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ