秘書業務の基本6
秘書の業務は、経営層、そして関係する多くの社内外の人たちとのコミュニケーションが仕事の中心となります。
相手に快く仕事をしてもらうためには、おもてなしの気持ちが不可欠です。
また、聴くことも重要なスキルの一つです。
不確かな聴き方では、その後の仕事が意味をなさなくなります。秘書業務に欠かせないコミュニケーションについて解説します。
応対と接遇
接遇の基本の六つとは以下の項目です。
①誠実な態度で臨む
②丁寧に、笑顔で接することが基本。相手に対する敬意ある言葉遣いや感じの良い態度
③相手の気持ちを慮り、温かい思いやりの心を持つ
④公平に接するルールを設ける(先着順)
⑤正確に対応するよう心掛ける
⑥迅速に対応し、お待たせする場合にはその理由を丁寧に説明する
七大接遇用語
「七大接遇用語」は次の通りです。
①いらっしゃいませ
②ありがとうございます
③恐れ入りますが
④少々お待ちいただけますか?
⑤お待たせいたしました
⑥かしこまりました
⑦申しわけないことをいたしました
接客用語
接遇用語とは、来客応対の際に使う言葉で、敬語の使い分けが基です。
たくさんありますので、代表的なものを下記に記します。男性、女性ともに同じ表現でかまいません。
わたし/ぼく | わたくし |
取引先 | ○○社さま |
あっち/こっち | あちら/こちら |
今/あとで | ただ今/のちほど |
そんなことはない | そのようなことはないと存じます |
何の用ですか | どのようなご用件でしょうか |
残念だ | あいにくですが |
知りません | 存じません/わかりかねます |
できません | いたしかねます |
そのとおりです | さようでございます |
すみません |
申しわけないことですが 恐れ入りますが お手数をおかけしますが ご面倒をおかけしますが |
クッション言葉
クッション言葉とは、話し始めに優しい表現を添えることによって会話の印象を和らげつつ、内容を明確に伝えることができるもので、積極的に使いたい表現の一つです。
否定的なとき | あいにくですが/残念ですが |
肯定的なとき | ぜひ/喜んで |
質問するとき | 失礼ですが/お差し支えなければ |
相手の行動を促すとき |
恐れ入りますが お手数をおかけしますが ご面倒をおかけしますが ご足労をおかけしますが |
依頼形
なお、相手に行動を促すときには、指示や命令にならないようにするために「依頼形」にすることで柔らかい表現に変えることができます。
たとえば、来客記録に記入していただくような場合であれば、「ここに記入してください」とするのではなく、「こちらにご記入いただけますか?」と表現します。
肯定形
相手に配慮している自分の気持ちを伝えるためには、否定形で相手の意向は一切聞き入れないというような表現を避け、肯定形を軸にして変化させると柔らかくなります。
たとえば、「こちらでの喫煙はやめてください」ではなく、「こちらでの喫煙をご遠慮願えますか?」と表現します。
人は押し付けられることを嫌います。
自らの判断に委ねられることによって、心にゆとりができ、正しく判断しよう、優しい判断をしようと心掛けるものです。その心理を使った接遇を心掛ければ、プロの秘書として周囲の信頼を得られるようになるでしょう。
ただし、ここは絶対に譲れないという場面や、この問題では絶対に信頼を勝ち得ておく必要があるというようか場合には、あえて断定的に言い切りにした表現を用います。
話し方、伝え方のポイント
自分の価値観というフィルターを通さず、上司の話の真意を受け取り、上司の要望を正しく伝えるためには、話し方のポイントを知っていると心強くなります。
- 話す前に内容を整理し、ポイントをまとめる
- わかりやすく話す。専門用語や社内用語でも、別の表現を考えておく
- 適切な敬語で接遇用語を適度に入れる
- 明るい声で、肯定的に話す
また、日常的な会話では、
- 話題に気を付ける
- 人のうわさ話や失敗談については深入りせず、さりげなく話題を変える
- 人の話に同意したあとで自分の話を始めるなど、独占したり、横取りしない
等の配慮をすると良いでしょう。
コミュニケーションの難しさは、言葉での表現と言葉以外の表現が一致しないと相手にとって都合の良い受け止められ方をするということにあります。
したがって、話し方がうまければ秘書として十分な仕事ができるということにはなりません。
むしろ、言葉以外の態度や身ぶり手ぶり、表情や声のトーン、大きさなどによる表現が印象残ります。
そこで、次のような点に注意して、言葉を補足する伝え方ができるようにしましょう。
- お詫びや悲しい話以外は笑顔を基本に、表情豊かに話す
- 手ぶりや身ぶり、うなずきを適度に使う
- 視線はできるだけ外さないように話す
- 言葉と言葉、文と文の間に適度な「間」を作る
- 声のトーンで喜び、悲しみなどを表現する
- 楽しい話はリズミカルにテンポ良く、悲しい話はゆっくり、落ち着いた低い声で話すなどの使い分けができるように
- お悔やみごと等の場合は、動作をゆっくりにし、低めのトーンと語尾を濁すことによって悲しい気持ちを表現する
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