秘書業務の基本7
秘書業務を行う際に、指示や命令、注意や忠告などを聴くとき、感情で聴いてしまうと仕事になりません。
秘書にとって、聴き方がうまいかどうかは、話し方以上に大切な要素です。
今回は、秘書の聴き方、来客応対、電話応対について解説していきましょう。
秘書の聴き方
聴き方のポイントは以下の通りです。
- 積極的に聴く聴き方、傾聴を心掛ける
- 相手が話しやすくなるよう、聴く姿勢を整える
- 言葉の背景にある相手の感情や状況などを想像しながら聴く
- メモを取る
- 相手の言葉を待ってから質問する
- 仕上がりのイメージを伝えながら、求められる結果のイメージを確認することを忘れない
- 伝わったかどうかを確認することを忘れないようにする
指示・命令の聴き方
秘書の仕事は多くの場合、指示や命令を受けてから始まります。
指示を受けるときは、次のことに注意しましょう。
- 呼ばれたらメモを持って上司のところへ
- 話は最後まで聴く
- 質問する
- 復唱する
- 命令が重なった場合の優先順位を相談する
来客応対
心を込めて、おもてなしの気持ちを動作で示しましょう。
そのために、お辞儀の角度に気を配ることはもちろんですが、スマートなお出迎えに始まり、名残惜しい気持ちでのお見送りまで、すべてに緊張感を持って対応することが望まれます。
来客応対の流れとポイント
- お出迎え・受付(玄関、受付などでお出迎え)
あらかじめアポイントメントのあるお客さまの場合は、その時間を見計らって玄関や受付にお迎えにうかがっておくとスムーズな取り次ぎができる。
受付係がいる場合は、必ず時間とお客さまの名前を伝えておく。
- ご案内(会議室や応接室など)
お越しいただいたねぎらいなどを伝え、会議室や応接室など上司に指示された部屋にご案内する。
廊下や階段、エレベーターなどを使う場合は、マナーを守る。
- 取次(上司に来客を告げる)
上司も時間までには仕事のキリをつけてお待ちいただけることが多いが、電話など予期せぬ対応に追われることがあるので、確認し、できる限りお待たせしないようにする。
- 接遇(お茶や食事でのもてなし)
日本茶やコーヒー、紅茶などをタイミング良くお出ししてもてなす。
暑い日でも、冷たいお茶やコーヒーが良いとは限らないので、注意する。
昼食や夕食を伴うときは、先方の秘書を通じて好みをうかがい、嫌いなもの、苦手なものやアレルギーの対策を講じると良い。
- 見送り(玄関や駐車場にて、ご出発まで)
名残惜しい気持ちを持って、玄関や駐車場に出る。
カーナビのセットなどがあるので、先方が「ここで」とおっしゃる場合は、車が走り出す前に、深く一礼してお見送りとする。
すぐに出発される場合は、車が動き出すまで、ゆっくりお辞儀をして見送る。
お見送りを終えたら、すぐに応接質や会議室の片付けにかかりましょう。食事をした場合は、残り香に注意し、次にお招きするお客さまに不快な思いをさせないようにします。
最後に、お客さまリストを作成します。初めてのお客さまはもちろん、定期的に訪ねてくるお客さまの場合でも、情報をバージョンアップするために、必ずリストの更新を行いましょう。
企業名、氏名、日時、要件などのほか、嗜好、交通手段などをまとめておくと、想いだし作業が効率良く行えるほか、次のお迎えの計画が立てやすくなります。
電話応対
電話は、声の表情だけで内容を伝えるという特殊な業務です。
それだけに、声の表情作りにはいつも気を配り、工夫をするようにしましょう。明るい笑顔で出す声が基本です。
基本的に、すべての場合において、判断は相手に委ねるので、「~~いかがいたしましょうか?」という応対をしましょう。
すぐに取り次げる場合では、「お待ちください」と軽い命令形を使わず、「お待ちいただけますか?」と明るい声でお願いするような伝え方をすると、イメージアップにつながります。
上司の代わりに先方の役員など上位者に電話をかけるときは、まず相手の会社の秘書宛てに電話をかけ、事情を説明します。
すぐに取り次いでいただける場合は、相手の電話が保留中に、こちらも上司に代わっておき、お互いの保留を解除するときには、当事者同士で話ができるようにします。
クレームなどの電話が、社長はじめ上位者に回ってくる場合があります。
客さまは怒りにまかせて、「社長を出せ!出さないと訴える」など、激高した中でのやりとりは言葉が過ぎることが多いものですが、こんなときこそ秘書の腕の見せどころです。
相手の感情に振り回されず、まず不快な環境にさいなまれたことに対して誠実にお詫びし、相手の感情の高ぶりが収まるまで、お詫びの言葉を相づちのようにしてはさみながら、話を聴きましょう。
落ち着きを取り戻されたら、事情を改めて聞き取り、どんな対処が望ましいか検討するためには時間が必要であることを伝え、次回連絡する日時を確認して電話を切りましょう。
その場で解決しそうなときは、「お電話では失礼かと存じますが……」とマナーを意識した言葉を用いながらお詫びして解決しましょう。
お詫びに向かわなければならないと判断された事案は、秘書が先方に謝罪とともに、訪問の約束を取り付けるための電話をかけることがあります。
この場合、「改めてお詫びにうかがいますが、まずはお詫び申しあげます」と謙虚な気持ちを伝えましょう。
このとき、謝罪はお目にかかってするので、電話では何もかもを伝えようとせず、謝罪の気持ちを持っていることと約束を取り付けることを目的とした簡潔なものとするよう心がけると良いでしょう。
秘書にとって、交際業務は特に緊張する場面でしょう。
しきたりやマナーを知らないばかりに結果として上司に恥をかかせることになりかねません。
また、地域事情の違いを知らないことから失敗につながることもあります。日頃から感心を持って学習しておくと良いでしょう。
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