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秘書業務の基本9

秘書業務の基本9

秘書の業務の中心となるスケジュール管理について、前回は、年間、月間、週間、そして日々の予定表について紹介しました。

今回は、スケジュール自体の作成と管理のポイントについて解説します。

スケジュールにも様々な種類があります。出張から日常業務まで、そのポイントです。


この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

スケジュール作成・管理のポイント

予定はすべて上司の意向によって決めます。スケジュールを作るための優先順位は次の通りです。

  1. 社内会議・行事への出席
  2. 出席義務のある業界団体の会合や地域の会議
  3. 日常業務(デスクワーク)

社外会議への出欠は案内状が届いた時点で上司に確認しますが、定期的な会合等は上司が出席した席上で次の開催日の都合を聞かれて内諾の返事をしている場合があります。

外出から戻られたら早めに次の予定日の確認を行い、他の予定と重なっていないかどうかを確認し、重なっている場合はどちらを優先することが望ましいか上司の指示を仰ぐようにしましょう。

日常業務を効率よくこなすためには、できる限りリズミカルに決まった時間帯をまとめて確保したいものです。

定例的に開催する社内の会議は、同じ曜日、同じ時間帯にするように調整すると、他部署の出席者も予定が作りやすくなります。

また、効率よく予定を立てるためには、関係者の協力が必要不可欠です。

業界や団体の役員をお引き受けになる場合は、できる限り固定した曜日・時間になるよう、秘書と事務局が打ち合わせできる機会を設けていただくとよいでしょう。

来客応対の場合であれば、ごあいさつだけなのか、打ち合わせや商談などの会議を伴うものなのか、内容によって前後の時間の作り込みが変わります。

ごあいさつなどの表敬訪問等の場合は、30分あるいは60分で調整しますが、会議などの場合は前後にゆとりを持たせておかないと、次の予定が詰まってしまいトイレに立つ暇もなくなるということになりかねません。

移動を伴う場合は、曜日、時間帯、移動距離、移動先(方向)などについても事前調査を怠らないようにしておきます。

中心部を通らなければならない移動の場合、金曜の夕方、5日と10日の朝と夕方は渋滞に巻き込まれやすくなります。

出張手配は、気配りの見せどころでもあります。

定宿がある場合は、いつもと同じお部屋になるように予約を入れ、ご自宅に戻ったようなくつろぎを感じていただく。

また、フロントでの手続きも、できる限り簡略化していただけるようにして、少しでも早くリラックスできる環境になるようご協力いただくこと。朝食やホテルを出た後の移動に関する手配などについてもスムーズに運ぶようにするとよいでしょう。

秘書が同行しない場合、上司は煩わしい手続きをご自身でしなければなりません。ホテルや旅館のフロントの方との連携が必須ですから、同行した折によき協力関係を作っておくことを忘れないようにしましょう。

同行出張の場合、さまざまな手続きや手配を現地ですることになりますが、よく困るのが、タクシーを手配する際、タクシー会社の電話番号がわからず、調べる間、上司を待たせなければならなくなることです。

「当然、駅にタクシーがいる」と思い込むのではなく、下車した駅でタクシーが待機していないことを想定して、あらかじめ電話番号を調べる等、出張に出る前の下調べを念入りにしておきましょう。

また、お客さまが駅に迎えに来てくださる場合があります。列車の到着時間が遅れる場合は、遅延がわかった時点で先方に連絡を入れ、不必要にお待たせしないように心掛けましょう。

これらの情報を効率よく管理するために、出張の折には旅程表等を別に作るとよいでしょう。


スケジュールの変更

こちらから予定変更を申し入れる場合は、

  • 丁寧なお詫びと、開示できる限りの 事情説明
  • 先方の予定の空き状況を確認し、改めて日時の設定
  • 上司に確認後、予定表に記入し必要な資料等の準備

などを行います。

先方より予定変更を申し込まれた場合は、

  • 上司との相談
  • 先方からの予定の確認を受ける
  • 上司の内諾を得て、予定表に記入する

ことになります。

このとき最初の予定を削除せず、二重線で消し、履歴を追跡できるようにしておくと便利です。

当日の予定変更は、目立つ色のボールペンなどを使って確認し、思い込みで行動しないようにしましょう。


出張への対応

出張に伴う業務については、準備中、出張中、出張後に秘書がどう行動するかによって、上司の仕事の効率が左右されます。

出発までに、急ぎの決裁の完了、出張中の代理者の有無、留守中の業務の指示を仰いでおきます。

また、出張中の報告・連絡・相談のルールを確認しておきましょう。時間や内容に基準を設け、できる限り出張先の業務に専念してもらうように環境整備することが望まれます。

出張中は、指示された業務を優先的に行います。このほか、留守中の記録を取り、いない間の情報をもれなく伝えられるようにします。

受信文書の整理と保存は通常業務と同じですが、決裁や確認を急ぐものを最初しておくなどの工夫をしておくと便利です。長期出張の場合、受信文書が届いた旨の文書を秘書名にて発信し、改めて返事が必要なものは上司に確認ができてから行います。

また、お礼状などについては、文書を作成し発送準備まで行っておき、戻って確認ができ次第すぐに発送できるようにしておくとよいでしょう。

出張後は、関連部署に連絡します。場合によっては、すぐに社内会議の設定の指示を受けることがありますので、出張後の予定の作り込みは、ゆとりを持たせておくことが望ましいでしょう。

出張明けの出社後、できる限り早く報告、連絡、相談の時間を持ちましょう。また、出張先でのようすをうかがい、出張報告書を作成します。

留守中の出来事は一覧にまとめ、すぐにわかるようにして渡しながら報告すると、お互いに理解が深まります。旅費などの精算を行うため、領収証やカードの支払い控えなどをまとめて提出します。

出張先に持ち出した資料、出張先でもらった資料等を所定の場所に戻します。

名刺交換をされて預かってきた名刺を整理します。名刺の情報に変化があれば、古いものと入れ替えます。

出張先でお世話になった人や会社への礼状は、すぐに作成し、確認後発送しましょう。


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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

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