秘書業務の基本10
秘書業務シリーズ、最後は上司の執務環境の整備です。
外を飛び回っていることが多い上司であっても、じっくり考える時間や社内のために費やす時間は、自らの執務室で過ごすことが多いものです。
この執務室がリラックスできるものであり、かつ生産的に仕事ができる場であるか否かは、会社に大きな影響を与えます。
本シリーズの最後に、執務環境の整備について記しましょう。
執務室の環境整備
上司が仕事をする部屋の環境整備は快適さを保つだけでなく、必要なものが取り出しやすいように配置されているかどうか気を配ります。
ポイントは次の通りです。
- 整理整頓と清掃
- 動きやすいレイアウト
- 備品の点検と補充
- 空間のデザイン
もちろん、部屋の整理整頓や清掃は、来客応対だけでなく、上司や秘書が日常業務において清潔に過ごせるようにしておくことが望まれます。
この清掃の範囲には空気調整も含まれ、昼食後のにおいを残さない気配りや、適温であるかどうかのチェックも怠らないようにします。
個人秘書のときは、秘書の部屋を通って上司の部屋に入れるような造りであると便利です。
上司も時にはホッとする時間が欲しいものです。
できれば、秘書の過ごす部屋と上司が過ごす部屋は、璧の仕切りがある方がよいでしょう。
また、秘書の部屋がOA機器を設置してある場所から遠いときは、秘書の部屋に複合機とシュレッダーを置いていただきましょう。
秘匿性の高い情報をコピーしたり、保存期間を過ぎた文書などを破棄するとき、秘密がもれずに済みます。
情報収集
情報収集は、上司の仕事を補佐する上でとても重要な仕事です。
他社の人事に関する情報や新製品・新設備の発表、慶弔のお知らせなど、広く集める必要があります。
あふれる情報の中から取捨選択するときに重要なことは、どんな情報が必要であるか明確にしておくことです。
秘書として業務を始めたら、すぐに上司がどんな情報を知りたいのかをよく観察しましょう。
ITを使う情報収集は地域や時間を選ばずにできるため、効率よく行うことができます。
しかし、不必要な情報も氾濫していることを忘れてはなりません。
検索キーワードによっては、絞り込みが不十分で必要な情報に行きつけないこともありますが、上司と確認したカテゴリーを優先して確認しようとすると、検索キーワードの作り方も効率がよくなり、不思議なくらい必要な情報が手元に残るようになるでしょう。
ファイリング
こうして集めた情報をはじめ、秘書には多くの文書や情報をファイリングして保存することが求められます。
ファイリングの原則は、必要な文書や情報をすぐに取り出せるように系統立てて整理することです。
そのためには、
- 情報に期限を設け、不要なものは処分する
- 使用頻度の高い情報を取り出しやすく整理する
- 事後の使用を考えたファイリングをする
ことです。
フォルダーの整理
フォルダーの整理については、さまざまな方法がありますが、
【タイトル別】伝票や報告書などを表題別に分類する方法
【主題別】パンフレットやカタログの整理などを文章のテーマごとに分類する方法
【案件別】特定の行事や業務などに関する文書をプロセスに沿って整理する方法
【相手先別】相手が誰かによって分ける方法
【形式別】お礼状や案内状など、文書形式をタイトルにする方法
などが便利です。
保存年度は、法律で定めのないものは、社内で保存期間を定めましょう。廃棄処分と破棄処分の区分けについても、社内でルールを決めましょう。
名刺の整理
次に、名刺の整理についてです。
交換された名刺は会社の貴重な情報ですが、上司の名刺の管理は、数が多いだけに頭を悩ませる業務の一つです。言われたときにすぐに取り出せるようにしておかなければなりません。
方法は次の三つです。
- 名刺フォルダーを使ったファイリング
- 名刺箱を使い、カード式で整理する
- スキャナーで読み取り、データとして保管する
名刺の情報を必要とすることは頻度が高く、探す時間を短くするためには、フォルダー形式またはデータ保管が便利でしょう。
特に、データ保管は、社内のサーバーにアップロードしておくことによって、他の部署の担当者が確認することもできるため共有しやすくなります。
上司から名刺を預かったら、日付や用件、相手の特徴などを記入しましょう。
役職や配属先の変更のために新しい名刺をいただいた場合、古い名刺を廃棄し最新のものだけを保管します。
廃棄する場合は、念のため上司に確認するとよいでしょう。
新聞、雑誌、図書等の整理
新聞、雑誌、カタログ類の整理については、頻度の高い整理が必要です。
新聞はスクラップブックから必要な記事だけ切り抜きして貼り付けるというのが一般的な方法ですが、コピーを取って資料化する場合に複写がきれいにできないことが多いので、ハンギング・フォルダーでもかまいません。
記事の切り抜きだけでなく、年月日、新聞名、掲載紙面も併せて切り抜くようにしましょう。
雑誌は、最新号以外は書棚に並べます。保管期間は一年。専門誌の保管期間は三~五年。
社内で規定を設けましょう。どうしても保管が必要な雑誌は、必要な部分だけを切り離し合本を作ると場所を取りません。合本を作るときは、日次を別にコピーして冒頭に入れると見やすくなります。
その他、株主総会やパーティーなどを開催したときは、写真を撮影しておくと次回の設営の参考になります。
こういったデジタルデータは、CDやDVD、外付けのHDDやUSBメモリなどを使って管理します。
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