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ファーストペンギンとは? ビジネスにおけるメリットや具体例を紹介!

監修者:officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント  宗像 陽子

ファーストペンギンとは? ビジネスにおけるメリットや具体例を紹介!

近年、ビジネスシーンで多用される用語に「ファーストペンギン」があります。これは分野において、ほかに先駆けて行動する個人や企業を指し、敬意を込めて呼ぶものです。

基本的に群れで行動するペンギンの習性から生まれたとされる用語ですが、ビジネスの場でファーストペンギンになることをめざす個人や企業も多く存在します。

ファーストペンギンの意味や使われ方、メリット・デメリットなどを、具体的な例とともに解説します。


ファーストペンギンとは?

ファーストペンギンという言葉はどのように生まれ、どのように使われているのでしょうか。

まずは、ファーストペンギンという言葉の意味や使われ方を確認しましょう。

ファーストペンギンの意味

ファーストペンギンは、南極に住むペンギンの習性が由来とされています。

ペンギンは常に集団で行動し、魚類やイカ・タコなどを食べて生活していますが、アザラシやシャチのような天敵を怖れ、ずらっと並んで氷穴をのぞき込むだけ。

とうとう1羽が飛び込み、天敵がいないことを確認できたら、群れが追従します。

この最初の1羽になぞらえて、未踏の世界に挑む起業家を「ファーストペンギン」と呼ぶようになりました。

ファーストペンギンのビジネスでの使われ方

ビジネスの場面でのファーストペンギンは、「新しい分野であってもリスクを恐れず、先陣を切って挑戦する、ベンチャー精神の持ち主」という意味で使われます。

スタートアップ企業の起業家などチャレンジする人に対し、敬意を込めて使われる言葉です。

2015年NHK連続テレビ小説「あさが来た」で、ヒロイン白岡あさに対し、実業家の五代友厚(ごだいともあつ)が掛けた台詞で登場し、注目を集めました。

白岡あさのモデルは、明治時代に炭鉱業や生命保険、銀行、大学を手掛けた女性実業家の広岡浅子です。

ファーストペンギンはいじめられる?

危険を冒して一番手で飛び込むファーストペンギンですが、実際には本人の意思で先陣を切るわけではない可能性があります。

ファーストペンギンはほかのペンギンに押されて崖から落ち、ほかのペンギンはその生死を確認したうえで飛び込むといわれることもあります。

しかし、実際はそうではありません。

ファーストペンギンが飛び込むと、他も一斉に続きます。

群れで行動するペンギンなりの生き残る知恵で、天敵の目線を分散させる効果を狙っているのでしょう。

運悪くファーストペンギンになったとしても、いじめられているわけでもなく、逃げ切れる可能性は十分残されています。


ファーストペンギンを言い換えると?

ファーストペンギンの類義語として、パイオニアが挙げられます。

パイオニアは、他に先駆けて物事を始めた「開拓者」「先駆者」を意味します。

一方で、ファーストペンギンは、新分野へのチャレンジにより利益を得た人を指します。

違いは、一番最最初であるかどうかです。

パイオニアは最初に物事を始めた人を指しますが、ファーストペンギンは必ずしも「一番最初」とは限りません。


ファーストペンギンになるメリット

ビジネスではファーストペンギンになることで、以下のようなさまざまなメリットがあります。

  • 注目される
  • 優位性を保てる
  • 収益構造が早期に獲得できる
  • 先行者利益を獲得できる

それぞれを詳しく解説しましょう。

注目される

リスクを冒してまで新たなチャレンジをするファーストペンギンには、多くの人から注目を集められるメリットがあります。

手がけた商品やサービスへの注目度が高まれば、宣伝効果がもたらされてターゲットとなる顧客の目に留まりやすくなり、売り上げアップにつながります。

通常、新規の商品やサービスをアピールするには広告宣伝費にコストをかけなければなりません。

しかし、ファーストペンギンとして注目度が高まれば、それだけで広告宣伝費を補うことも期待できます。

優位性を保てる

いち早く商品やサービスをローンチすることで、市場での優位性を確保できるようになるのも、ファーストペンギンになるメリットのひとつです。

だからこそ、その市場や分野での知名度を獲得し、指名されるポジションを得ることが大切になってきます。

市場の代名詞のような存在になるために、あらかじめ勝ち筋を描いておくのが重要です。

単純に「最初に参入した人」にとどまらないために、どのような位置取りをしていくのかまで、検討しておきましょう。

収益構造が早期に獲得できる

収益構造を早期に獲得できるのも、ファーストペンギンになるメリットです。

ファーストペンギンとして市場に参入した場合、同様のサービスや商品を展開する企業はほとんどありません。

価格競争を行うライバルが存在しないので、価格の基準に対し、ファーストペンギンが決定権を持つことになるのです。

ただし、同様の商品やサービスを複数展開された場合、時に価格競争が生まれる可能性がある点には注意する必要があります。

先行者利益を獲得できる

新しい市場に最初に参入したり、新製品を最も早く導入したりすることで得られる利益を「先行者利益」と呼びます。

ファーストペンギンになれば、この先行者利益を獲得できるのもメリットです。

ファーストペンギンは、事業の失敗や倒産のリスクを冒してでも挑戦するので、ライバルは不在です。

顧客をいち早く確保できたり、価格競争を回避できたりといった状況が生まれ、後発者よりも多くの利益が得られる可能性を秘めています。


ファーストペンギンになるデメリット

ファーストペンギンになることにはメリットがある反面、以下のようなデメリットもあります。

  • リスクがある
  • 手腕に掛かってくる

それぞれを詳しく解説しましょう。

リスクがある

ファーストペンギンになることには、さまざまなリスクがあります。

新たな分野への挑戦では参考になる前例がなく、やり方によっては失敗に終わるかもしれません。

また、想定を上回るダメージを受ける可能性があったり、市場に受け入れられなかったりすることも、それぞれリスクです。

「右肩上がりの分野か」「確かなニーズが存在する市場か」など、勝算の有無をよく分析したうえで、市場開拓していくことが不可欠です。

手腕に掛かってくる

成功が経営者の手腕に大きく掛かってしまうのも、ファーストペンギンのデメリットのひとつといえます。

参考となる商品やサービスはありませんから、当然、前例を参考にすることはできず、ゼロベースでのスタートです。

前年ベースや競合事例、利益の上昇フェーズや経営計画の立案など、すべての事項を手探りで推進しなければなりません。

戦略や戦術を描くことを含め、経営者自らが判断しなければならず、掛かる負担は自然と大きくなってきます。


ファーストペンギンと言われる人物・事業

実際にファーストペンギンとして成功を収めた人物や企業には、以下のような例があります。

【人物】

  • スティーブ・ジョブズ
  • 三木谷浩史

【企業】

  • ソニー
  • ホンダ

それぞれの例を見ていきましょう。

スティーブ・ジョブズ

米国の実業家であるスティーブ・ジョブズは、アップル社の共同創業者の一人です。

1977年に、世界で初めて個人向けコンピュータの大量生産、大量販売に乗り出しました。

個人がコンピュータを持つなど考えもしなかった時代から「Macintosh」を生み出し、その後も「iPod」「iPhone」「iPad」などを次々と誕生させて、アップル社を世界を代表する企業に押し上げました。

アップル社の製品は、機能はもちろん、洗練されたシンプルなデザインで多くの人を魅了し続けています。

三木谷浩史

三木谷浩史氏は、楽天グループの創業者であり、現在も代表取締役会長兼社長を務めています。

インターネットで商品を買うという文化が浸透していなかった時代に、「インターネットが世界のインフラになる」と予測。

店舗主体のサイト「楽天市場」を、日本で初めてのインターネットショッピングモールとして創設しました。

ほかにも「創業8年で楽天を時価総額1兆円企業に急成長させた」「プロ野球球団を設立し、9年目で日本一を達成」など、その功績は枚挙にいとまがありません。

ソニー

音楽を持ち運んで聞くスタイルを当たり前にしたのが、ソニーのウォークマンです。

かつて、音楽はオーディオセットを用いて、ゆったりとリビングで聞くものでした。

しかし、ソニーは1979年、携帯して音楽を手軽に聴ける電化製品としてウォークマンを開発しました。

「録音機能なしでは売れない」という社内外の声を押し切り、ウォークマンは初回生産分が2カ月で完売する大ヒット商品に。

社内からの批判や反対、さらには売れるかどうか未知数だったリスクを乗り越えて大きなヒットにつなげ、新たなライフスタイルを創造しました。

ホンダ

四輪自動車や小型ジェット機など、複数の事業を展開するホンダは二輪車にも強く、2019年には世界生産台数が4億台を突破しています。

しかし、二輪車で米国市場に進出した時には、3カ月で170台しか売れず、大苦戦しました。当時のアメリカ市場では、ハーレーダビッドソンのような大型車が主流だったからです。

そこでホンダは、業務やレジャーで利用されていたスーパーカブを、スポーツショップや釣具店などで販売開始しました。

従来のバイク販売店への教育を徹底した結果、米国進出3年後には現地法人の年間総販売台数は4万台を超えるほどまでに成長したのです。


ファーストペンギンについてまとめ

天敵が多く存在する大海に、仲間に先駆けて単身飛び込むペンギンの姿から生まれた用語「ファーストペンギン」。

企業家精神を持って新たな分野に挑む個人や企業を指し、敬意とともに用いられている言葉です。

ビジネスにおいて、ファーストペンギンになることには大きなメリットがあります。

反面、リスクを孕んでいることも事実です。

そのメリット・デメリットや成功に欠かせないポイントをよく理解し、ファーストペンギンとしての大きな成功をめざしましょう。


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監修者プロフィール

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宗像 陽子

officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、地方新聞社のスポーツ記者などを経て、キャリアコンサルタントに転身。

公共機関や都内私立大学で学生や既卒者の就職支援に当たった後、フリーランスとして独立。

現在は、「その人のありのままを受け止める」姿勢を大切に、複数の大学で学生のキャリア支援に従事するほか、氷河期世代や高校生向けの講座への登壇、ライティングと幅広い活動を展開している。

新聞記者経験で積み上げた文章力を活かした応募書類作成や講座が得意。

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