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テクニカルスキルとは? 主な種類と具体例、スキルを高める方法とコツを伝授

監修者:officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント  宗像 陽子

テクニカルスキルとは? 主な種類と具体例、スキルを高める方法とコツを伝授

社会人に求められるビジネススキルはさまざまありますが、その1つとして「テクニカルスキル」があります。

テクニカルスキルを身に付けることには、従業員の一人一人にとって多くのメリットがあります。

今の会社でさらに活躍したい、「手に職」を叶えたいといった方は、テクニカルスキルの向上に向けて取り組んでみてはいかがでしょうか。

テクニカルスキルの概要やほかのスキルとの違い、スキルアップの方法などを解説します。


テクニカルスキルとは

「テクニカルスキル」とは、特定の職務の遂行に必要な知識や技術のことです。

アメリカの経済学者・ロバート・L・カッツが1950年代に提唱した概念で、企業のマネージャーの階級ごとに求められるスキルを3つの枠組みに分類した、「カッツモデル」に含まれます。


テクニカルスキルの種類と具体例

一言で「テクニカルスキル」と言っても、その内容はさまざまです。テクニカルスキルの種類と、その具体例を解説します。

汎用スキル

テクニカルスキルのうち、汎用スキルは多くの層に求められる基本的なスキルです。

一例として、以下のようなスキルが該当します。

  • 自社製品に関する知識
  • ビジネスマナー
  • PCの操作スキル

「汎用」という名前のとおり、社歴やポジションに関係なく広く利用できるスキルだと考えれば良いでしょう。

従業員自身での学習により身に付くものが多い点も、特徴の1つです。

専門スキル

テクニカルスキルのうち、専門スキルは特定分野の業務遂行に必要な専門的知識や技術が該当します。

職種別の専門スキルの例は、次のとおりです。

  • 営業職:商品知識、交渉力、プレゼンテーション能力
  • 事務職:事務処理能力、PCスキル
  • 製造職:商品の製造・加工に関する知識・スキル
  • ITエンジニア職:プログラミング言語に関する知識、設計力

汎用スキルとの大きな違いは、専門教育を経て身に付くものであることです。

また、個々人での学習に加えて、実務経験を積むことで身に付いていく傾向にあります。

特化スキル

テクニカルスキルにはもう1つ、「特化スキル」も存在します。特化スキルとは、特定分野の専門技術やプロフェッショナル性のことです。

特化スキルには、たとえば以下のようなものがあります。

  • 特定のプログラミング言語に精通している
  • ある精密機器を製造・整備できる
  • 広告やデザインなどのディレクションができる

特化スキルは専門スキルよりもさらに高度なスキルです。特化スキルを持つ人材は社内ではもちろん、社外でも希少性の高い人材だと言えます。


混同しやすい用語との違い

テクニカルスキルと同じく、ビジネスマンが身に付けるべきとされているスキルは以下のようなものがあります。

  • ヒューマンスキル
  • コンセプチュアルスキル
  • ノンテクニカルスキル

それぞれのスキルと、テクニカルスキルとの違いを解説します。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルは、円滑な対人関係を築くためのスキルです。

このスキルの例を挙げると、以下のとおりです。

  • コミュニケーション能力
  • 交渉力
  • 調整力

ヒューマンスキルは、社内の人間のみならず、取引先や顧客など幅広い人々と関わる際に求められます。

特定の職務遂行のために必要なテクニカルスキルと比べると、より幅広い層に必須のスキルだと言えるでしょう。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルは、抽象的な事象に情報や知識を組み合わせて概念化し、問題解決に結び付ける能力を指します。

たとえば、以下のようなスキルが該当します。

  • 論理的思考力(戦略的思考力)
  • 問題解決力
  • 応用力
  • 創造力

テクニカルスキルは特定の職務を完遂するためのスキルですが、コンセプチュアルスキルは漠然とした事象のなかから問題点を見つけ出し、解決にまで導くものです。

創造性が求められ、より高度なマネジメントを行う人々に、特に重視されるスキルです。

ノンテクニカルスキル

ノンテクニカルスキルは、職務内容や職場での地位などを問わず、多くの人に必要とされる能力です。

具体的には、以下のようなスキルが該当します。

  • コミュニケーション能力
  • 状況認識・判断の力
  • チームワーク

ノンテクニカルスキルは、前述のヒューマンスキルともよく似たスキルです。特定の職務遂行のために必要とされるテクニカルスキルとは、対になる能力だと言えます。

テクニカルスキルが必要となる人

テクニカルスキルは、職場での地位を問わずすべての層に必要です。

もともと、テクニカルスキルやカッツモデルの提唱者であるカッツは、それぞれのスキルを身に付けるべき層を以下のように定義していました。

この図のとおり、テクニカルスキルはロワーマネジメント層(いわゆる係長・主任、現場のリーダークラス)に最も重要だとされていたのです。

そして、マネージャーとしての階級が上がるほど、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルといった高度なスキルが重視される傾向にありました。

しかし近年では、マネジメント層にとどまらず現場で働く一般社員の一人一人も、こうしたスキルは持つべきだとされています。

背景には複数の要素が関係していますが、人々の生活スタイルや働き方の変化があり、一般社員の層にも経営層同様のスキルが求められ始めているのでしょう。


テクニカルスキルを高めるメリット

従業員がテクニカルスキルを高めることには、以下のようなメリットがあります。

  • 社内で重宝される人材になれる
  • 顧客満足度が向上する
  • 周囲とのコミュニケーションが活発になる

それぞれ解説します。

社内で重宝される人材になれる

テクニカルスキルを高めることで、業務を確実に遂行する力を高めます。その結果、できる業務の幅が広がり、社内で重宝される人材になれるでしょう。

確実に業務を遂行できる状態で仕事に当たれるため、自信も付くはずです。モチベーションアップになり「仕事に自分の考えを反映させてみよう」と前向きに仕事に取り組めるようにもなります。

この姿勢が評価されてまた新たな仕事に挑戦できるチャンスが来たり、周りから「この人に任せれば安心だ」と信頼・期待を寄せられたりするかもしれません。

顧客満足度が向上する

自身が担当、または関係する顧客の満足度が向上するのも、メリットの1つとして挙げられます。

テクニカルスキルを身に付けることで、丁寧かつスピード感を持って顧客対応に当たれるようになります。テクニカルスキルの習得によって業務が効率的に進められ、生産性が高まるためです。

顧客からも一目置かれる存在になれば、会社の枠を超えて活躍できる人材になる可能性も高まります。顧客満足度の高さは会社の業績アップにつながるため、周囲からの高評価にも期待できるでしょう。

周囲とのコミュニケーションが活発になる

円滑に業務を遂行できれば、自分自身にも余裕が生まれます。周囲とのコミュニケーションも活発になり、新たなアイディアやイノベーションが創出できるでしょう。

ひいては、企業の成長力やブランド力の向上に貢献する可能性を秘めています。


テクニカルスキルを高めるデメリット

テクニカルスキルを高めることには、以下のようなデメリットもあります。

保有するスキルに偏りが出る

まず、自身のスキルに偏りが生まれます。

たとえば新聞記者やライターの場合、記事の作成にはライティング力や調査能力といったテクニカルスキルが必要不可欠です。

しかし、良質な記事にするには、取材相手と円滑にコミュニケーションを取る力も求められます。

つまり、テクニカルスキル以外のスキルも伸ばさなければ、望む成果を挙げられないと言えるのです。

自分のキャリアの方向性を考えながら、コミュニケーションスキルやコンセプチュアルスキルといった、ほかのスキルをバランスよく向上させていくことが求められます。

日常の業務の進捗に支障が出る

社内での研修に参加してテクニカルスキルを身に付ける場合、当然ですがその時間は業務が進みません。

頻度が高ければ高いほど、日常の業務との両立には工夫が必要です。また、もし社外のセミナーに自主的に参加する場合は、その参加費もかかるでしょう。

もし、研修に参加する場合、周囲に仕事のフォローを頼む、無理なく仕事ができる体制作りを上司に相談するといった工夫が必要になるかもしれません。


テクニカルスキルを高める具体的な方法

テクニカルスキルを高める方法はいくつもあります。

自分が身に付けたいスキルや職場との兼ね合いなども考えながら、どういった方法を選ぶか検討してみてください。

OJT(職場内訓練)やOff-JT(職場外訓練)を受ける

最も身近な方法としては、職場で実施される「OJT」や「Off-JT」を通じて学ぶことが挙げられます。

「OJT」は、上司や先輩社員から指導を受け、実務を通じて知識やスキルを身に付けていく方法です。入社時や部署異動時に、経験したことのある方も多いでしょう。

「Off-JT」は「Off-the-Job Training」の略称で、実務の場ではなく職場外で、特別に時間を設けて実施される訓練を指します。eラーニング、座学での研修など方法はいくつかありますが、会社側が主導する訓練であることには違いがありません。

OJTやOff-JTは、社内で求められるスキルの向上にぴったりです。しかし、自分のタイミングや希望する内容で行えない点はネックです。

外部のセミナーやスクールで学ぶ

テクニカルスキルを個人的に身に付けたいなら、社外で実施されているセミナーに参加したり、専門学校やビジネススクールに通ったりして学習する方法もおすすめです。

学べる内容は多岐にわたるため、まずは自分がどういったスキルを身に付けたいのかをはっきりさせておくと良いでしょう。

近年は、オンラインで参加できるものも増えてきています。仕事の通勤時間や帰宅後の時間、休日などを活用すれば、次第にスキルアップできるはずです。

勉強や資格取得をする

身に付けたいテクニカルスキルに関連した内容を、独学する方法も良いでしょう。また、特定の資格の取得を目指して、テキストを使って学ぶ方法も考えられます。

ただし独学では知識に偏りが出る、モチベーションを保つことが難しいといったケースもあります。明確な目標を設ける、勉強する場所や時間を工夫するなどの対策が必要でしょう。


テクニカルスキルを向上させるコツ

テクニカルスキルを向上させるには、単に知識を学ぶだけでなく実践もする必要があります。スキルは座学で学ぶだけではなく、きちんと身に付けて初めてできるようになるためです。

まずは、テクニカルスキルの向上によって自分がどのような成果を挙げたいかを考えます。

そのうえで、成果を挙げるために必要なスキルと、自分の現状のスキルをリストアップし、理想と現実のギャップを見つけましょう。そのギャップこそ、自分が向上すべきスキルです。

この力を高めるために、行動計画を作成して取り組みます。ポイントは、自分の主観に頼らず、客観的な意見を取り入れることです。

上司や先輩と定期的に面談する機会を設け、サポートや助言をもらってみてください。向上すべきスキルの優先順位付けや、行動計画の作成もしやすくなります。


テクニカルスキルのまとめ

かつてテクニカルスキルはマネジメント層に必要なスキルだと言われていましたが、今日では全社員に必要とされています。

テクニカルスキルは実務を通じて自然と身に付くものもあれば、自らの努力やトレーニングが必要なものもあります。

テクニカルスキルを伸ばしたいと感じたら、まずは自分が伸ばすべきスキルがどういったものかを把握するところから始めてみましょう。

ただし、日常の業務に支障が出ないよう、注意して取り組んでください。


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監修者プロフィール

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宗像 陽子

officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、地方新聞社のスポーツ記者などを経て、キャリアコンサルタントに転身。

公共機関や都内私立大学で学生や既卒者の就職支援に当たった後、フリーランスとして独立。

現在は、「その人のありのままを受け止める」姿勢を大切に、複数の大学で学生のキャリア支援に従事するほか、氷河期世代や高校生向けの講座への登壇、ライティングと幅広い活動を展開している。

新聞記者経験で積み上げた文章力を活かした応募書類作成や講座が得意。

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