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源泉徴収票と住民税:なぜ記載がないのか? 税理士が徹底解説

源泉徴収票と住民税:なぜ記載がないのか? 税理士が徹底解説

源泉徴収票を見ると、所得税に関する情報は詳しく記載されているのに、住民税についての記載がありません。なぜ源泉徴収票には住民税の情報が載っていないのでしょうか。

本記事では、源泉徴収票に住民税の記載がない理由や住民税決定通知書との違い、源泉徴収票と住民税の関係性や役立つポイントなどについて詳しく解説します。


この記事の監修者
  税理士・米国税理士・認定心理士 

源泉徴収票に住民税の記載がない理由

源泉徴収票には住民税の記載がありません。これは、所得税と住民税は別々の税金システムであり、それぞれ異なる目的と役割を持っているためです。

ここでは、源泉徴収票の本来の目的と役割、所得税と住民税の違いについて詳しく見ていきましょう。

源泉徴収票の目的と役割

源泉徴収票は、その名前が示す通り、所得税の源泉徴収に関する情報を記録するための書類です。雇用主が従業員に支払った給与の総額と、そこから差し引いた所得税額を証明する役割を果たしています。

つまり源泉徴収票は所得税に特化した書類であり、住民税に関する情報は含まれません。

所得税と住民税|別々の税金システム

所得税と住民税は、どちらも個人の所得に課される税金ですが、管理機関や方法は大きく異なります。所得税は国が徴収する国税です。一方、住民税は地方税で、各地方自治体が徴収します。

このように所得税は国が、住民税は各地方団体が徴収するため、それぞれ別々の書類で管理される必要があるのです。

源泉徴収と特別徴収|異なる徴収方法

所得税と住民税は徴収方法にも違いがあります。所得税は「源泉徴収」方式、住民税は「特別徴収」方式が一般的です。

源泉徴収は、毎月の給与から所得税を差し引く方式です。一方、特別徴収は、前年の所得に基づいて計算された住民税を、翌年の給与から差し引いています。

このように、徴収の時期や方法も異なるため、源泉徴収票には住民税に関する情報を記載することができません。


源泉徴収票と住民税決定通知書の違い

ここまで、源泉徴収票に住民税の記載が無い理由を説明してきました。では、源泉徴収票と住民税決定通知書にはどのような違いがあるのでしょうか。

以下では、源泉徴収票と住民税決定通知書の違いについて、記載内容や発行時期、活用方法の違いを詳しく解説します。

それぞれの書類の特徴と記載内容

源泉徴収票と住民税決定通知書は、記載される情報と目的が大きく異なります。源泉徴収票は所得税に関する情報を、住民税決定通知書は住民税に関する情報を記載する書類です。

源泉徴収票には、1年間の給与総額、源泉徴収された所得税額などが記載されています。住民税決定通知書には、その年度の住民税額と月々の徴収額が記載されています。

発行時期と受け取り方の違い

源泉徴収票と住民税決定通知書は、発行される時期と受け取り方も異なります。源泉徴収票は、年始(1月頃)に会社から従業員に直接渡すのが一般的です。住民税決定通知書は6月頃に市区町村から発行されます。

発行時期の違いは、住民税が前年の所得に基づいて計算されるためです。所得税の確定申告終了後、その結果をもって翌年度の住民税が計算されるため、計算に時間がかかることが理由です。

源泉徴収票と住民税決定通知書の活用方法

源泉徴収票と住民税決定通知書は、それぞれ異なる用途で活用されます。源泉徴収票の主な使用用途は確定申告で所得税の過不足を精算することに対し、住民税決定通知書は将来の請求金額を確認する時に使います。

源泉徴収票は所得税の過不足を精算する確定申告に必要です。住民税決定通知書は年間の住民税額と納付状況を確認するために使用されます。


源泉徴収票の見方|住民税に関連する情報

源泉徴収票には住民税の直接的な記載はありませんが、実は住民税の計算に関する情報が含まれています。源泉徴収票の情報を基に、住民税負担の目安を立てることが可能です。

ここでは、源泉徴収票のどの部分が住民税と関連しているのか、それらの情報を基に住民税を概算する方法などを詳しく解説します。

給与所得控除後の金額と住民税の関係

源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」は、住民税や所得税の計算における基礎情報です。給与所得控除後の金額が大きいほど、翌年の住民税額も増加する傾向にあります。おおよその住民税負担を把握する上では有用な情報となるでしょう。

所得控除の額と住民税への影響

源泉徴収票に記載されている所得控除額も、住民税額の計算に影響を与えます。所得控除は、所得税だけでなく住民税の計算にも適用されるのです。一般的に、所得控除額が大きいほど課税所得が減少し、結果として住民税も減少する可能性が高くなります。

源泉徴収税額から読み取る住民税の概算

源泉徴収票に記載されている源泉徴収税額(所得税額)を参考に、住民税のおおよその金額を推測することも可能です。一般的に、源泉徴収税額の7割から1.3倍程度が翌年の住民税額の目安となることが多いと言われています。


よくある疑問|源泉徴収票と住民税に関するQ&A

ここまで、源泉徴収票と住民税の関係について解説してきました。その中で、いくつかの疑問を持った方もいるでしょう。

そこで、源泉徴収票と住民税に関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。住民税の仕組みを交えながら詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。

源泉徴収票がなくても住民税は課税される?

住民税は、源泉徴収票の有無に関わらず、一定以上の所得がある場合に課税される仕組みです。源泉徴収票が無くとも、給与支払報告書、確定申告書などの情報に基づいて計算・課税がされます。また、住民税は前年の所得税の課税結果に基づき、翌年に課税されることから、課税期間にずれが生じることも一因でしょう。

源泉徴収票の内容が住民税にどう反映される?

源泉徴収票の所得情報は、住民税の課税基準として市区町村に報告され、反映されます。給与支払者は源泉徴収票の情報を基に給与支払報告書を作成します。そして、市区町村はこの給与支払報告書の情報を基に住民税を計算する仕組みです。

源泉徴収票と住民税決定通知書の金額が違う理由

源泉徴収票と住民税決定通知書の金額が異なるのは、所得税と住民税の計算方法や控除の適用範囲に違いがあるためです。所得税には無い税額控除が住民税にあるケースや、所得控除の額が異なるケースによって税額差が生じます。


源泉徴収票と住民税|注意点とアドバイス

ここまで源泉徴収票と住民税の関係について理解を深めてきましたが、実際の生活や税金管理にどのように活かせばよいのでしょうか。

以下では、源泉徴収票の取り扱いや住民税との関連性を踏まえた注意点とアドバイスを解説します。

源泉徴収票の保管の重要性

源泉徴収票は税金と収入に関する書類であり、様々な状況で必要となるため、適切に保管しましょう。特に、確定申告や住民税に関する問い合わせの際に提出が必要です。

源泉徴収票は、最低でも5年間は保管することが推奨されています。もし紛失した場合は、速やかに会社に再発行を依頼してください。

源泉徴収票の記載内容と住民税の関連性を理解する

源泉徴収票の情報が住民税にどのように影響するかを理解することで、自身の税金の全体像を把握できます。所得控除の内訳を確認し、住民税でも同様の控除が適用されるかチェックすることも大切です。所得額と各種控除の内容を参考に、翌年の住民税額のおおよその見込みを立てることができます。

自身の財務状況を正確に把握し、計画的な税金管理を行うためにも、源泉徴収票の内容を十分に理解しましょう。

源泉徴収票と住民税に関する疑問は専門家に相談を

税金に関する複雑な問題を抱える方は、税理士のような専門家に相談をしてみてください。特に、複数の収入源がある場合や特殊な控除を受ける場合は、個人の手には余るでしょう。専門家に相談するのが有効です。

専門家の助力を得ることでトラブルを未然に防ぐことができます。


源泉徴収票と住民税の関係を正しく理解しよう

源泉徴収票には住民税の記載がありません。これは、源泉徴収票が国税である所得税に関する書類であり、地方税である住民税は住民税決定通知書などにその内容を記載するためです。住民税は給与支払報告書や確定申告書などに基づいて算出されるため、源泉徴収票が無くとも課税されます。

源泉徴収票は住民税に直接的に関係はないものの、確定申告や住民税の問い合わせの際に必要な書類です。また、住民税などの税金を概算し、計画的な税金管理を行う上でも役立つ書類です。そのため、源泉徴収票は適切に保管し、内容を十分理解して、自身の税金管理に活用してみましょう。


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監修者プロフィール

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竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士

上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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