労務担当者必見!運送業ドライバーの労務管理方法について解説
2019年4月より、日本において働き方改革が施行されました。働き方改革が打ち出されたことにより、少なくない数の企業が社員の働き方について見直しを行っています。しかし、運送業においては人手不足や、需要の拡大などが重なり、働き方改革を導入できていない企業が多いことも事実です。運送業を支えるドライバーの多くが、厳しい労働環境の中におかれています。長時間労働や残業といった問題も多く見受けられます。
運送業におけるドライバーの厳しい状況を招く原因の一つとして、労務管理が挙げられます。労務管理を正しく行うことで、ドライバーの負担が軽減されたというケースも少なくありません。そこで本記事では、ドライバーの労務管理が難しい理由について分かりやすく解説した上で、ドライバーの労務管理を行う際の7つのポイントを紹介します。
運送業におけるドライバーの労務管理が難しい理由2選
運送業におけるドライバーの労務管理が難しい理由として以下の理由が挙げられます。
- 労務はドライバーの状況を把握しにくい
- 労務はドライバーの勤怠時間を正しく把握できない
以下、上記二つの理由について説明します。
理由1:労務はドライバーの状況を把握しにくい
ドライバーの勤務形態上、労務はドライバーの内情について把握することが容易でないといえます。ドライバーは勤務日においても会社に顔を出さず、直行直帰というパターンも多いです。そのため、労務はドライバーが悩んでいることや、ドライバーが現場で置かれている状況を知る機会があまりありません。
ドライバーは主に社外で仕事をするため、労務はドライバーの心身の状況についても確認しがたいといえるでしょう。顔色の悪いドライバーや、日常的に倦怠感を感じているドライバーがいたとしても、そうした様子を実際に見る機会があまりないため気づけないというケースも多く見受けられます。
理由2:労務はドライバーの勤怠時間を正しく把握できない
ドライバーの勤務時間については、自己申告に頼らざるを得ないという企業も多くあります。そのため、労務は直行直帰をしているドライバーの勤務時間を実際に確認することはできません。特に、長距離の輸送においてはタイムカードによる出勤退勤の確認も行えないでしょう。
ドライバーが渋滞などで輸送が大幅に遅れた場合でも、労務はその事実を知らず、ドライバーは翌日以降の輸送を予定通り行わなければならないケースも多くあります。ドライバーは本来の勤務時間以上に働き、予定されていた休息時間を取れていないため、心身ともに疲労感が増大します。
運送業でドライバーの労務管理を行う7つのポイント
運送業でドライバーの労務管理を行う7つのポイントについて説明します。
- 各種労務手続きを効率化
- 運転日報の導入
- デジタルタコグラフの導入
- 社内ルールの共有
- コミュニケーションをとる
- 社員は「4大経営資源」であることを忘れない
- 法改正やガイドラインを遵守
詳しく見ていきましょう。
ポイント1:各種労務手続きを効率化
社内の労務管理手続きを効率化することにより、ドライバーにとっても労務にとっても仕事の負担が軽減されます。例えば、紙ベースでの労務手続きから電子ベース申請に変更することによって、ドライバー、労務ともに事務作業の負担が軽くなります。また、電子ベースは社外からの労務手続きも可能にするため、出社する機会の少ないドライバーとも相性がよいといえます。
ポイント2:運転日報の導入
運転日報とはドライバーの氏名、運転の日時、走行距離などを記入する日報です。運転日報を導入することにより、労務はドライバーの勤務時間を正確に把握し、負担の多いドライバーに対して適切な対応をとれるようになります。
ポイント3:デジタルタコグラフの導入
デジタルタコグラフとはデジタル式の運行記録計を指します。5トンを超えるトラックには搭載が義務化されていますが、5トン以下のトラックには搭載されていないものも多いです。
トラックにデジタルタコグラフを搭載すると、ドライバーの運行時間、運行距離、運行状況などを正確に記録できるのです。ドライバーの勤務状況を客観視する上での有効なツールとなるといえるでしょう。
ポイント4:社内ルールの共有
社内ルールを就業規則や労使慣行によって規定し、社内で共有することにより、業務におけるトラブルや行き違いを回避できます。業務がスムーズに進めば、残業もおのずと少なくなります。社内ルールの共有において重要な事柄については、貼り紙で通知するなど徹底することが重要なのです。
ポイント5:コミュニケーションをとる
労務には社員の労働状況の管理や、各種手続きのほか、社員の問題発生を未然に防ぐ役割もあります。社外で主に働くドライバーは労務と顔を合わせる機会が少ないというケースも多いです。状況に応じて、会議を設けるなどの対策が必要です。
ポイント6:社員は「4大経営資源」であることを忘れない
企業の4大経営資源は「人・物・金・情報」といわれています。労務は社員あっての企業であることを忘れてはいけません。社員の不満は企業の経営不振にも繋がるため、経営層や労務は各社員を大切にするよう心掛ける必要があります。
ポイント7:法改正やガイドラインを遵守
法改正やガイドラインの改正は毎年、もしくは数年単位で行われるものです。労務は法改正やガイドラインの改正について注意を払い、改正があればすぐに従わなければなりません。企業における法改正やガイドラインの遵守は社員からの信頼のみならず、世間からの信頼にも関わる問題です。
運送業におけるドライバーの労務管理には適切な方法を導入する必要がある
各世帯における通販の利用者数増加も関係し、運送業界は人材不足に悩まされています。運送現場で働くドライバーの多くが、厳しい労働環境の中で働いています。過酷な状況に疲弊したドライバーの中には、退職や転職を検討する人も少なくありません。
ドライバーの勤務管理は適切な労務管理によっていくらか改善することもあります。本記事で紹介したように、労務管理の方法はいくつかあります。自社にとってベストな方法を見つけることがドライバーの労働環境を改善する上での一歩といえるでしょう。