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勤怠とは? 勤怠管理の目的と管理項目を解説

勤怠とは? 勤怠管理の目的と管理項目を解説

社内で人事や労務の担当者になると、従業員の勤怠管理を任せられる機会が多いものです。一見すると簡単だと感じるかもしれませんが、給与の計算や従業員の体調管理、企業の存続にも関わる重要なもので、正確な管理が求められます。

この記事では、勤怠の概要から、企業が勤怠管理をする目的や、人事が管理すべき項目までを解説します。市販の勤怠管理システムもいくつか紹介しますので、勤怠管理の担当になった際はぜひ参考にしてください。


この記事の監修者
西岡社会保険労務士事務所  代表 

勤怠とは

「勤怠」の本来の意味を辞書で引くと、「仕事に励むことと怠けること」あるいは「出勤と欠勤」です。企業で使う場合は後者の意味でとらえ、従業員の出退勤などの勤務状況を指す言葉となります。

似た言葉に「出社・退社」や「出勤・退勤」もありますが、意味が少しずつ異なります。「出社・退社」は、「仕事のために会社に行くこと・仕事を終えて会社を出ること」です。また、「出勤・退勤」は、「勤めに出ること・勤め終えて帰宅すること」を指します。


勤怠管理とは

「勤怠管理」とは、従業員の出退勤の状況を把握して管理することです。

勤怠管理では、単純な出勤状況の把握以外にも残業時間や休暇の取得状況といったことまで、従業員の勤務状況に関するさまざまな情報を管理します。健全な企業運営のために欠かせないものと言っても過言ではないのです。


勤怠管理が必要な理由

企業に勤怠管理が必要とされる理由は、以下の3つがあります。

従業員の給与額を算出するため

従業員の勤務状況を正確に記録することで、給与額が正確に算出できます

従業員の給与は毎月一律ではなく、残業時間や欠勤の日数、休暇の取得状況などによって変動します。曖昧な記録を基に給与を算出してしまうと、本来払うべき給与が払えなくなるのです。

また、給与額は社会保険料や税金の金額にも関係します。給与額を誤ることで、こうした点にも影響が出てしまうのです。

特に近年はテレワーク、フレックスタイム制など多様な働き方が広がっています。出社せずに働く人材が増えた分、企業にはますます正確な勤怠管理が求められます。

長時間労働を防ぐため

従業員の勤務状況や休暇の取得状況を把握し、長時間労働や心身の不調を防ぐことも目的としています

従業員の勤務状況を正確に把握できていないと、従業員が長時間労働をしていたとしても気づけません。

長時間労働を続けると、従業員の心身に重大な影響が出ます。体調を崩し、最悪の場合は過労死にもつながるでしょう。長く働き続けることで疲労が蓄積し、生産性も低下してしまうかもしれません。

労働基準法を守るため

企業が従業員の労働時間を適切に管理することは、法律で定められた責務です

従業員の勤怠管理を正確に行い、正当な金額の給与を支払ったり、長時間労働を防いだりすることは、企業にとって必ず取り組まなくてはならないことなのです。

たとえ故意ではなくても、誤った勤怠管理により従業員に不利益をもたらした場合は、企業に罰則が課されることもあります。


勤怠で管理すべき項目とは?

勤怠で管理する項目は多岐にわたります。管理が必要な項目を、それぞれ解説します。

出勤・退勤時間

従業員が出勤・退勤した時間です。このときポイントとなるのは、出社・退社した時間ではなく、仕事の開始・終了の時間を記録することです。

また、遅刻・中抜け・早退があった場合は、その事実が分かるように併せて記録しておきましょう。

休憩時間

法律で定められている休憩時間が付与できているかも、チェックすべき点です。

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を与えることが義務付けられています。

この休憩時間は、完全に業務から離れている必要があります。そのため、休憩時間中に電話や来客の対応をした場合は、その分の休憩時間を追加で与えなくてはなりません

参考:厚生労働省「労働時間・休憩・休日関係

労働時間

従業員が働いている時間です。切り捨てをせず、1分単位で記録しましょう

労働時間は、自己申告による記録は極力避け、タイムカードやICレコーダーなどにより客観的な記録をするべきとされています。

しかし、やむを得ず自己申告制にする場合は、曖昧な管理にならないよう企業側の努力が求められます。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
労働時間の適正な把握のために 仕様者が講ずべき措置に関する基準

残業時間(時間外労働時間)

労働基準法では、労働時間は1日8時間・週に40時間までと定められています。それを超えて働かせる場合は残業(時間外労働)となり、その時間数に応じて25%の割増賃金を支払う必要があります

そのため、「残業時間(時間外労働時間)」として、通常の労働時間と分けて記録しなくてはならないのです。

深夜労働時間

22時〜5時まで労働させる「深夜労働」がある場合、通常の時間外労働時間とは分けて記録が必要です。時間外労働の割増賃金に加え、深夜労働による割増賃金の支払いが必要であるためです

深夜労働の場合、賃金の割増率は50%(時間外労働による割増率25%+深夜労働による割増率25%)となります。

勤務日数・欠勤日数

出勤した日数と、体調不良などで欠勤した日数も記録しておきましょう。

給与額の算出時、欠勤なのか休暇を取得したのかでは、扱いが異なります

ただ単に「休んだ」という記録だけでは、欠勤なのか有給休暇や振替休暇を取得したのか判別できないため、正確に記録してください。

有給休暇・振替休暇・代休

上記に関連して、有給休暇や振替休暇を取得した事実も記録しておきましょう。「欠勤」の場合は、その日数に応じて給与から控除するのが一般的です。

有給休暇を取得していたにも関わらず「欠勤」としてしまうと、給与額にも影響が出ます。給与が支給される休暇か否かは、正確に記録しましょう。

また、有給休暇の残り日数の管理も必要です。


勤怠管理の方法には何がある?

勤怠管理の方法に法律で定められたものはなく、企業によって異なります。

よく採用されている4つの方法について、メリット・デメリットとともに解説します。

紙の出勤簿

出勤簿を紙に印刷し、出退勤の時間を手書きして管理する方法です。紙とペンがあれば使えるため、運用コストは非常に低く抑えられます

また、1枚のシートで多くの従業員の出勤状況が把握できることもメリットとして挙げられます。

しかし、集計に時間がかかる点はネックです。記入欄のズレや記入ミス・漏れも起こる可能性もあるでしょう。

簡単に修正ができる分、手書きしたデータの改ざんが起きるリスクもあります。企業にとっては、長期間の保管が難しいことも懸念されます。

紙の出勤簿を使う際は、明確な記入ルールや、ミス・データ改ざんをした際の対策まで考えておきましょう。

タイムカード

出退勤時にタイムカードをレコーダーに差し込んで、正確な時間を打刻させる方法です。レコーダーとタイムカードさえあれば誰でも使えるため、運用コストは低く抑えられます。

レコーダーにタイムカードを挿すだけのシンプルな手順であることから、誰が使ってもミスが起こりにくい点も魅力です

ただし、結局のところタイムカードという紙に記録する方法であるため、集計には時間がかかります。また、外回りやテレワークなど、レコーダーのある場所に出社しない場合は打刻できません

そのため、出役や直帰したときの時間管理や休憩時間を管理できる工夫が必要です。

エクセル

エクセルで作成した入力フォームに、従業員に出退勤時間を入力させて管理する方法です。社内にエクセルがあれば作れるため、追加のコストがかかりません。

また、データでの管理となる分、紙の出勤簿やタイムカードより集計もしやすいでしょう

ただし、自分で入力したり、後から修正ができたりする分、虚偽の申告もできてしまいます。

勤怠管理システム

市販の勤怠管理システムを導入する方法もあります。従業員のパソコンやタブレットなどで出退勤・休憩時間を打刻できるため、社外で働く従業員にとっても扱いやすいはずです。データは一元管理できるため、集計も簡単です。

デメリットとしては、導入コストが高くなりやすい点が挙げられます。また、従業員によっては使いこなすのが難しく、うまく打刻できない可能性もあるでしょう。

勤怠管理システムには費用や特徴の異なるものが多数あります。さまざまな勤怠管理システムを比較し、自社に合ったものを導入しましょう。以下に、代表的な勤怠管理システムをいくつか紹介します。

豊富な打刻方法を用意「KING OF TIME」

「KING OF TIME」は、導入している企業が多い勤怠管理システムです。2022年時点で全国4万7,000社、利用者数にして277万人を突破しています。

KING OF TIMEの特徴はさまざまありますが、特筆すべきは以下の3点です。

  • 対応している打刻方法が多い
  • チャットやメールなどで無料サポートを受けられる
  • 初期費用無料で、利用料金も低額

まず何より、打刻方法が非常に豊富です。スマホ・タブレットでも使える専用アプリや指紋認証・顔認証などから選べます。

導入や運用をサポートする体制も整っており、メールやチャット、電話のほか、活用方法を解説する動画も多数用意しています。

システムの導入に初期費用はかからず、従業員の人数に応じて費用が発生する従量課金制である点も魅力的です。

多数のシステムと連携可「マネーフォワード クラウド勤怠」

「マネーフォワード クラウド勤怠」は、さまざまなバックオフィスソフトを提供している「マネーフォワード」が手がけています。大きな特徴としては、以下が挙げられます。

  • 多様な就業形態に対応
  • 任意項目での集計ができる
  • 多くのソフトとの連携ができる

一般的な勤務制に加え、シフト制・裁量労働制・フレックスタイム制・裁量労働制など、さまざまな働き方に対応可能です。「在宅勤務の回数」といった任意の項目でのデータ集計も自動で行えます。

また、同社の「マネーフォワード クラウド給与」を始めとした各種ソフトはもちろん、他社の労務管理ソフト・給与管理ソフトとの連携も可能です。すでにマネーフォワードを利用している、あるいは利用検討中の企業は、特に便利でしょう。

必要な機能だけを選べる「ジョブカン勤怠管理」

カスタマイズ性の高さを求める企業には、「ジョブカン勤怠管理」が良いでしょう。以下を始めとした、ユニークな特徴が多くあります。

  • 必要な機能だけを組み合わせて利用できる
  • 一部の機能は無料でも使える
  • 外国語表記も可能

「出勤管理」「シフト管理」「休暇・申請管理」「工数管理」の4機能が用意されており、自社に必要なものを1~4個選んで利用できます

中小企業の場合、料金も利用する機能の数に応じて設定されます。一部の機能だけなら、無料で利用できる点も特徴です。

加えて、英語・韓国語など7カ国語での表示も可能です。外国人従業員が多い企業でも役立つでしょう。


まとめ

「勤怠」という言葉には2つの意味がありますが、企業で使う場合は従業員の勤務状況を管理することです。

そして、「勤怠管理」は従業員の健康だけではなく、企業自身を守るためにも重要です。

勤怠管理で扱う項目は多岐にわたります。どれも正確な管理が必要なため、人事担当者になった際は各項目の意味をよく理解しておきましょう。市販の勤怠管理システムを使うと、スムーズに管理しやすくなります。


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監修者プロフィール

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西岡 秀泰

西岡社会保険労務士事務所 代表

生命保険会社に25年勤務し、FPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。
2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
得意分野は、人事・労務、金融全般、生命保険、公的年金など。

【保有資格】社会保険労務士/2級FP技能士

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