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定期昇給とは? 考え方やベースアップとの違い、実施なしへの違法性を解説

定期昇給とは? 考え方やベースアップとの違い、実施なしへの違法性を解説

昇給とは、人事昇格や勤続年数の増加に応じて賃金が上がるシステムです。多くの日本企業は、一定期間ごとに昇給を実施する定期昇給を導入しています。

しかし、定期昇給にはデメリットや注意点があるため、担当者は正しく理解しなければなりません。

この記事では、人事部の社員に向けて、定期昇給の全体像や平均が宇、メリット、デメリットを解説します。

また、この記事の後半部分では、定期昇給の注意点をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。


この記事の監修者
マネーライフワークス  代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP 

定期昇給とは

定期昇給とは、一定期間ごとに従業員の賃金を上げる制度のことです。

タイミングや回数は企業によって異なりますが、一般的には次の通りです。

  • 昇給のタイミング:4月や10月
  • 昇給の回数:一年に一回か二回

昇給金額の考え方や制度導入の状況、定期昇給がない会社の違法性などを見ていきましょう。

昇給金額の考え方

定期昇給の金額は企業が定める昇給額をそのまま適用します。

しかし、昇給率を会社が規定している場合は、次の式を用いて昇給金額を算出します。

  • 昇給金額 = 昇給前の給与 × 昇給率

例えば、基本給が40万円で昇給率が2%の場合、昇給額は8,000円です。

制度導入の現状

2022年に賃金改定の実施もしくは、実施予定の会社と実施予定なしの会社の定期昇給の実施率を見てみると、次のようなことがわかりました。

  • 実施済みもしくは、実施予定の企業の割合:64.5%
  • 実施しないもしくは、実施予定ががない:5.8%

定期昇給制度は従業員を評価するのに優れた制度ですので、採用している企業は多いでしょう。

(出典:厚生労働省 令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況

「定期昇給なし」の違法性

昇給を義務づける規定がないため、定期昇給しない企業に法律上の問題はありません。

定期昇給は昇給機会を提供するだけですので、従業員の状況次第で昇給が見送られる場合もあります。

しかし、就業規則や労働協約が企業に昇給を義務付けている場合、定期昇給する法的義務が生じることがあります。


定期昇給とベースアップとの違い

ベースアップは、 従業員の基本給(ベース)の水準を引き上げることです。

労働意欲の向上と物価高騰の対策が目的で、勤続年数や役職などを省き、すべての従業員に適用されるのが特徴です。

それに対して、定期昇給は一人一人の従業員の労働状況に応じて、一定のタイミングで昇給する制度です。

ベースアップのように、すべての従業員に適用されるわけではありません。


【企業規模別】定期昇給の平均金額

企業規模に応じて、定期昇給の平均金額を表にまとめました。

従業員数

定期昇給の平均額とその割合

2022年

2021年

5,000人以上

6,478円

2.0%

5,202円

1.6%

1,000~4,999人

5,393円

1.8%

4,937円

1.7%

300~999人

5,658円

2.0%

4,805円

1.6%

100~299人

4,738円

1.9%

4,753円

1.6%

5,534円

1.9%

4,694円

1.6%

(出典:厚生労働省 令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況


定期昇給を導入するメリット・デメリット

定期昇給を導入する際の、メリットとデメリットをまとめました。

メリット

昇給させるタイミングや昇給金額などを事前に決めておくことで、自社の人件費の上昇を予測できます。

従業員のモチベーション維持にもつながるため、生産性の向上を見込めるでしょう。

また、従業員側には、決まった時期に給与の水準が上昇するというメリットもあります。

デメリット

従業員の業績を昇給に反映させるタイミングが難しいため、状況によっては昇給内容を反映させづらいケースがあります。

定期的に人件費が増加しますので、会社の経営状況に影響を及ぼすデメリットもあるでしょう。

また、従業員側には会社の業績によって定期昇給が見送られたり、人事評価など公平性が保たれない可能性があります。


定期昇給を実施する際の注意点

定期昇給を実施する際において、具体的な注意点をまとめました。ぜひ参考にしてください。

人件費の合計をチェック

定期昇給を実施する際は、人件費の合計額の推移をチェックしなければなりません。

会社への貢献度合いが少ない従業員でも、定期昇給は勤続年数や年齢のみで給与がアップするシステムのためです。

公平性と透明性

定期昇給はすべての従業員を昇給させる制度ではないため、昇級する理由や、昇給しない理由が適切でなければなりません。

定期昇給の判断に公平性や透明性が欠けると、労働に対する従業員のモチベーション低下などにつながるでしょう。


定期昇給についてのまとめ

定期昇給は勤続年数や年齢に応じて、企業ごとに定めた頻度やタイミングに毎年一律で昇給することです。

年功序列型など、定期昇給は日本型雇用における代表的な昇給方法です。

しかし、定期昇給にはデメリットや注意点がありますので、慎重に協議しながら導入するかどうかを決めましょう。


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監修者プロフィール

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岡崎 壮史

マネーライフワークス 代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

生命保険の営業や不動産会社の営業企画を経て、1級FP技能士とCFPを取得。

平成28年に社会保険労務士試験に合格。その翌年にマネーライフワークスを設立。

現在は、助成金申請代行や助成金の活用コンサルを中心に、行政機関の働き方改革推進事業のサポート事業や保険などの金融商品を活用した資産運用についてのサイトへの記事の執筆や監修なども行っている。

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