BIツール導入がもたらす5つのメリット|デメリットも紹介

データ分析の重要性が高まるなか、従来の手作業によるデータ分析では、人的エラーや分析結果の一貫性の欠如といった問題が発生しやすいです。
そのなかで、BIツールはデータの収集や分析、可視化を自動化し、意思決定を支援する重要な役割を担っています。
本記事では、BIツール導入がもたらす5つのメリットと、導入時の留意点について詳しく解説します。導入やツール選びのコツも紹介しますので、BIツールの導入を検討している方はぜひ参考にし、業務に役立ててください。
BIツール導入がもたらす5つのメリット
BIツールは、データ活用の効率化を実現し、ビジネスの意思決定をサポートします。
ここでは、BIツール導入がもたらす5つの主要なメリットを詳しく見ていきましょう。
- リアルタイムな可視化とレポーティングができる
- データに基づく意思決定が実現できる
- データの一元管理と分析が効率化できる
- 高度な分析機能による深いインサイトが獲得できる
- 専門スキルがなくてもデータ分析が可能になる
リアルタイムな可視化とレポーティングができる
BIツールの強みは、データのリアルタイムでの可視化と、レポート作成の自動化を実現する点です。
従来の手作業によるデータ集計や可視化では、情報の分析に時間がかかり、迅速な意思決定が難しいことがありました。しかし、BIツールを活用することで、事業の状況をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定や施策の実行が可能になります。
また、定期的なレポート作成の手間と時間を大幅に削減できるのも大きなメリットです。BIツールのレポート自動作成機能により、必要な情報を適切なタイミングで関係者に共有できます。
これにより、企業は市場の変化や課題に素早く対応できる経営を行えるのです。
データに基づく意思決定が実現できる
BIツールは、組織全体でデータに基づく意思決定を支援します。
従来、データ分析は一部の専門家に任せきりで、現場の意思決定はデータと乖離しがちでした。ところが、BIツールを活用することにより、経営層から現場の担当者まで、必要なデータにアクセスし、分析結果を意思決定に活かせるようになるのです。
さらに、BIツールは、PDCAサイクルの最適化をもたらします。データの可視化や効果計測がスムーズになることで、Plan(計画)の策定、Do(実行)の効果検証、Check(評価)に基づくAction(改善)が迅速に行えるのです。
データの一元管理と分析が効率化できる
企業のデータは、さまざまなシステムに散在しているのが一般的です。
各システムに点在するデータをBIツールに集約し、一元管理することでデータの重複や矛盾を排除し、信頼性の高い分析結果を得られます。
また、BIツールのETL(※)機能により、データの前処理や加工の自動化も可能です。手作業によるデータクレンジングや加工に費やしていた時間を大幅に削減し、分析作業の生産性を向上させられるでしょう。
※ETL:「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(書き込み)」の頭文字を取ったもの
高度な分析機能による深いインサイトが獲得できる
BIツールはデータマイニング、OLAP(オンライン分析処理)、What-if分析など、高度な分析機能を備えています。
これらの機能により、大量のデータから隠れたパターンや関係性を発見し、ビジネスの改善や新たな施策の立案につなげられます。従来の集計や可視化だけでは得られなかった、課題や知識の獲得が可能です。
さらに、BIツールは、予測分析や機械学習との連携により、分析の高度化に寄与します。過去のデータを学習することで、将来の予測を立てながらの意思決定が実現するでしょう。
専門スキルがなくてもデータ分析が可能になる
近年、セルフサービス型BIツールの登場により、専門スキルがないユーザー自身によるデータ分析が可能になりました。
セルフサービス型BIツールは、分析に必要なデータの取得や加工、可視化などの作業を、専門知識がなくても直感的な操作で行えるのが特徴です。
BIツールの直感的な操作性と豊富な可視化オプションにより、データ分析のハードルが大きく下がります。ドラッグ&ドロップ操作でのデータ可視化や、多様なグラフ・チャートの利用により、ユーザーの分析をサポートします。
データの利用が進むことで、組織全体のデータリテラシーの向上につながるでしょう。
BIツール導入のデメリット
BIツールは多くのメリットをもたらしますが、導入にあたっては、デメリットも理解しておく必要があります。
ここでは、BIツール導入の主なデメリットと、その対策について解説します。
- 導入・運用コストがかかる
- データ連携や統合に手間がかかる
- 運用体制の整備が必要になる
- 高度な分析にはスキルが必要になる
導入・運用コストがかかる
BIツールの導入には、一定のコストがかかることを理解しておかなければなりません。
初期費用は、ツールのライセンス費用やインフラ整備費用など、システム設定に必要な費用が含まれます。また、ツールの運用・保守にも継続的なコストが発生するため、中長期的な投資対効果を見極めることが重要です。
特にオンプレミス型の場合、システムの導入・運用に専門的な人材が必要となり、人件費も発生します。
コスト面での課題は、クラウド型BIツールの活用や、段階的な導入により軽減できます。費用対効果を慎重に見極め、自社に最適な導入プランを選択することが肝要です。
データ連携や統合に手間がかかる
BIツールを導入しても、社内のさまざまなシステムからデータを収集・統合する必要があります。
システム間のデータ連携や統合には、専門的な知識とスキルが欠かせず、設定に時間と労力が必要です。また、データの品質や整合性の問題があると、BIツールの分析結果の信頼性が損なわれるリスクもあります。
データ連携・統合の課題は、BIツールの選定時に連携の容易さを重視することで軽減が可能です。ツールの機能や、連携を支援するサービスを利用し、スムーズなデータ統合を実現しましょう。
運用体制の整備が必要になる
BIツールを導入しても、それを有効活用するための運用体制や社内ルールを整備しないと、十分な効果が得られません。
データの更新頻度や精度の管理、セキュリティ対策など、運用面での負荷が増加します。また、BIツールの活用を組織に定着させるには、トップダウンの推進体制の構築と、データ活用文化の浸透のための教育が不可欠です。
経営層のリーダーシップの下、関連部門が連携し、体系的な教育プログラムや管理体制を用意することが求められます。運用体制の整備に注力することで、BIツールの真の価値を引き出せるでしょう。
高度な分析にはスキルが必要になる
セルフサービス型BIツールの登場により、データ分析のハードルは下がりましたが、高度な分析を行うには一定のスキルが必要です。
具体的には、統計学の知識やデータ分析スキルに加え、ビジネス上の課題を分析に落とし込む力や、分析結果を解釈・活用する力が求められます。
高度な分析スキルの習得には、社内での育成と外部人材の活用が欠かせません。データサイエンティストなどの専門人材の確保・育成と、ビジネスユーザーへの教育を並行して進めることが大切です。
BIツール導入で失敗しないための選定ポイント
BIツールは数多くの製品が存在し、自社に最適なツールを選ぶのは容易ではありません。
ここでは、BIツール選定の際に押さえるべき5つのポイントを解説します。
- 自社に必要な機能とスケーラビリティを見極める
- 導入コストとランニングコストを総合的に評価する
- データ連携と統合の容易さを確認する
- ユーザビリティと学習コストを吟味する
- 運用サポート再生とベンダーの安定性を見極める
それぞれのポイントを、詳しく見ていきましょう。
自社に必要な機能とスケーラビリティを見極める
BIツールの機能は製品によって異なるため、自社のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
現在の業務に必要な機能だけでなく、将来の拡張性を考慮することが求められます。事業が成長するなかでユーザー数の増加やデータ量の拡大が見込まれる場合は、スケーラビリティの高いツールを選びましょう。
また、高度な分析機能や、他のシステムとの連携機能など、自社の分析ニーズに合わせた機能を備えているかも、確認すべきポイントです。
そのため、PoC(概念実証)を行い、実際の業務データを使って機能を検証することをおすすめします。特に、業務のなかで最も重要なデータ処理や分析のシナリオを中心に検証し、ツールのパフォーマンスや操作性、インターフェースの使いやすさを確認しましょう。
導入コストとランニングコストを総合的に評価する
BIツールの導入コストは、ライセンス体系や料金プランによって大きく異なります。ツールを選ぶ際は、初期費用だけでなく、ランニングコストも含めた中長期的な費用を試算し、予算に見合っているかをチェックしてください。
また、クラウド型とオンプレミス型では、コストの構造に違いがあります。クラウド型は初期費用が抑えられる一方、ランニングコストが高くなる傾向があるため、自社の予算や運用体制に合わせて、最適な形態を選択しましょう。
加えて、ツールの導入費用だけでなく、教育費用や運用・保守費用なども考慮するのを忘れてはいけません。トータルコストを総合的に評価し、費用対効果の高いツールを選定することが肝要です。
データ連携と統合の容易さを確認する
BIツールを導入する際は、自社の既存システムとのデータ連携・統合の容易さを重視しましょう。具体的には、さまざまなデータソースからのデータ取り込みや、連携する際のカスタマイズの柔軟性を確認します。
また、ツールに用意されているコネクタやAPIの充実度も、連携の容易さを左右する要因です。導入する前に、主要なデータソースとの連携実績や、APIの開放度合いを確認しておくことをおすすめします。
ユーザビリティと学習コストを吟味する
BIツールの導入効果を引き出すには、ユーザーがツールを使いこなせる状態でなくてはなりません。選定の際は、直感的な操作性や、豊富な可視化オプションを備えているかなど、ユーザビリティを入念に評価しましょう。
また、導入後の学習コストを最小限に抑えられるかどうかも重要な評価基準です。ユーザー向けのトレーニングプログラムや、充実したドキュメントが用意されていると、学習負担が軽減され、ツールのスムーズな導入が可能になります。
運用サポート体制とベンダーの安定性を見極める
導入後の運用サポートは、ツールの定着や問題解決に欠かせません。選定の際は、ベンダーの運用サポート体制を入念にチェックしましょう。
ツールの導入支援やトラブル発生時の対応力は、特に重視すべきポイントです。このようなサポートがなければ、問題が解決せずに業務の効率が低下してしまう恐れがあります。
また、ユーザー向けの教育プログラムや、FAQ・ナレッジベースの充実度も確認しておくことをおすすめします。手厚いサポート体制があれば、円滑な運用と活用が期待できるでしょう。
加えて、ベンダーの事業継続性や、製品ロードマップも見極める必要があります。長期的な視点で製品の開発・サポートが行われるかどうかは、重要な選定基準の1つです。
BIツールを導入して、データ活用力を高めよう
本記事では、BIツールがもたらすメリットと、導入時の留意点について詳しく解説しました。
BIツールはデータ分析の効率化、リアルタイムな可視化、データに基づいた意思決定など、多くのメリットをもたらします。これらを最大限に活かすことで、ビジネスの競争力強化と成長につなげられるでしょう。
一方で、BIツールの導入にはコストや運用面での課題が伴います。これらの課題を乗り越えるためには、適切な運用体制の整備や自社に適した製品の選定が不可欠です。
適切な体制の構築とスキル習得により、これらの課題を乗り越え、BIツールの真価を引き出すことが求められます。自社のビジネス課題を踏まえ、BIツールの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。