金銭消費貸借契約書の収入印紙の基礎〜印紙の貼り方や不要になるケースとは?〜
「金銭消費貸借契約書」を作成する際は、印紙税を収める必要があるため、収入印紙を貼り付けなければなりません。金銭消費貸借契約書の収入印紙は誰が貼るのか、印紙税額はいくらなのかなど、押さえておくべきポイントが多くあります。
この記事では、印紙税額、収入印紙の貼り方など、ビジネスで必要な収入印紙の基礎知識をわかりやすく説明します。また、収入印紙が不要になるケースも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
金銭消費貸借契約書とは
金銭消費貸借とは「金銭を借りてその金銭を消費し、同額の金額を返還すること」、分かりやすく言うと「借金」のことです。
金銭消費貸借契約書は、お金の貸し借りや、住宅ローンのようにローンを組む際などに使われる契約書です。利息付きの場合、借主は利息も含めて返還する義務を負います。
金銭消費貸借契約書は、第1号文書に該当する課税文書であり、記載額1万円以上の場合は印紙税の課税対象となります。
消費貸借契約に関わる金銭借用証書とは
「金銭借用証書」は、借主が金銭を借り入れる際、借入金額、返済期日、利率、利息の支払方法などを記載して貸主に提出する文書です。金銭借用証書も金銭消費貸借契約書と同様、課税文書であり、記載金額に応じて印紙税の課税対象となります。
金銭借用証書は、返済期日、利率、利息の支払方法などの項目が記載されていなくても課税文書となる点に注意です。
収入印紙は誰が貼る?
収入印紙とは、印紙税や登録免許税など国に対して税金や手数料を支払うために発行される証票のことです。前述の通り、金銭消費貸借契約書は課税文書に該当し、記載額1万円以上の契約書の場合は収入印紙を貼り付ける必要があります。
金銭消費貸借契約書の場合、印紙税をどちらが負担するかは法律では定められていません。しかし、契約書の中に「印紙税はローン契約者など借主が負担する」という条項が定められているのが一般的であり、その場合は借主が負担します。
金銭消費貸借契約書の印紙税額
印紙税額は、契約書に記載される金額に応じて変わります。国税庁によると、印紙税額は以下の通りです。
金額 |
印紙税額 |
---|---|
1万円未満 |
非課税 |
1万円超10万円以下 |
200円 |
10万円超50万円以下 |
400円 |
50万円超100万円以下 |
1,000円 |
100万円超500万円以下 |
2,000円 |
500万円超1,000万円以下 |
1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 |
2万円 |
5,000万円超1億円以下 |
6万円 |
1億円超5億円以下 |
10万円 |
5億円超10億円以下 |
20万円 |
10億円超50億円以下 |
40万円 |
50億円超 |
60万円 |
契約金額の記載のないもの |
200円 |
収入印紙の貼り方・消印の押し方
金銭消費貸借契約書は、印紙税額が記載された収入印紙を貼り、消印を押すことで納税したとみなされます。収入印紙は、当事者双方が署名・押印した契約書に貼る必要があります。契約書2部に署名・押印をして1部ずつ保管する場合は、2部ともに収入印紙を貼る必要があるので注意しましょう。
また、収入印紙を貼る際には消印も忘れずに押しましょう。消印は、一度使った収入印紙が再度使用されることを防ぐものです。消印は契約書に押印したものと同じでなくても有効になり、印章ではなく署名でも良いとされています。
個人間での金銭消費貸借契約書の印紙税について
家族や親しい友人同士でお金の貸し借りをする場合にも、トラブルを回避するために金銭消費貸借契約書を作成する場合があります。個人間での金銭消費貸借契約書についても、記載額が1万円以上なら同様に印紙税の課税対象となるので注意しましょう。
金銭消費貸借契約書に収入印紙を貼らないと無効になる?
金銭消費貸借契約書に収入印紙を貼らない場合も、契約自体は無効にはなりません。
しかし、収入印紙を貼ることは印紙税法で定められているため、収入印紙が貼られていない場合は過怠税の対象になります。過怠税は、本来払うべき収入印紙の3倍の税額です。収入印紙の貼り付けは忘れないようにしましょう。
金銭消費貸借契約書に収入印紙が不要となる場合
金銭消費貸借契約書を作成する場合は、収入印紙の貼り付けが不要となる場合があることも押さえておきましょう。
契約書の記載額が1万円未満の場合
前述の通り、記載金額が1万円未満の場合は印紙税の課税対象にはなりません。そのため、収入印紙の貼り付けも不要になります。
コロナ特別融資の貸し付けに際して
新型コロナウイルスやまん延防止の措置で影響を受けた事業者に対しての金銭貸付に係る金銭消費貸借契約書のうち、令和5年3月31日までに作成されるものについては印紙税が非課税となります。(令和4年5月現在)
ここでの金銭消費貸借契約書は、地方公共団体や政府系金融機関、または銀行や信用金庫などの金融機関が、他の金銭の貸付けの条件に比べて特別に有利な条件で行う金銭の貸付けに際して作成されるものを指します。
つまり、政府系金融機関や金融機関がコロナ特別融資を事業者に金銭を貸し付ける際に作成する契約書については、特例的に印紙税の課税対象にならない、ということです。
電子契約システムを利用する場合
電子契約システムを利用して金銭消費貸借契約を締結する場合、記載金額にかかわらず印紙税が非課税となります。そのため、収入印紙の貼り付けも不要です。
ただし、電子データを原本とする必要があるので要注意です。契約書の原本が紙ベースで存在し、そのコピーを電子データで交付する場合は課税対象になります。
電子契約システムの利用は、オンラインでスムーズに契約を締結できるだけでなく、印紙税が非課税になるというメリットがあります。非常に効率的でおすすめの方法です。
収入印紙の基礎を押さえ、円滑で確実な契約を
ここまで、金銭消費貸借契約書について、印紙税額や収入印紙が不要になるケースなどをお話ししてきました。印紙税の納税は法律で義務付けられています。円滑で確実な契約締結のために、印紙税と収入印紙の基礎を押さえて、正しく対応しましょう。また、電子契約システムを利用することで、記載金額にかかわらず非課税となる点はぜひ押さえてください。この記事が、金銭消費貸借契約の際に参考になれば幸いです。
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