KSF(重要成功要因)とは? その重要性や分析に役立つフレームワークを知ろう
KSFとは重要成功要因のことで、企業の事業成功のために必要な要因です。KGIやKPIとは一本の線のようにつながっており、関連性が非常に高いのが特徴です。
この記事ではKSFを用いて事業を成功させたい経営層に向けて、KSFの重要性やKGI、KPIとの具体的な関連性を解説します。
また、本記事の後半部分では、おすすめのフレームワークや企業事例などを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
KSF(重要成功要因)とはなにか
KSF(Key Success Factor)とは重要成功要因のことで、事業を成功させるのに必要な要因です。KSFは外部要因と内部要因に分けられます。
- 外部要因:市場や業界の動向や、競合の参入もしくは撤退など
- 内部要因:自社の強みやKGI(重要目標達成指標)達成に必要な要素など
また、経営者のリーダーシップ力や資金力、プロダクトを作る技術力などもKSFに含まれています。
一方、設定したKSFは技術進化などの外的環境を受け、日々変化するでしょう。
継続的な事業の成功を収めるためには、KSFの変化に合わせたビジネス戦略の組み立てが必要不可欠です。
KSFの重要性
KSFはなぜ重要なのでしょうか。3つの理由に分けて解説します。
効率的な事業戦略
KSFを設定すると、企業のKGI(重要目標達成指標)と現状にどれだけのギャップがあるのか把握できます。
KSFを定めなければ、KGIに向けてやるべきことが曖昧になり、非効率的な施策を選定しかねません。
KSFを正しく設定できれば、逆算思考で事業の目標を考えられますので、効率的に業務をおこなえるでしょう。
事業に一貫性が生まれる
KSFは事業成功のために必要なことがわかるため、社内の従業員それぞれが自分のやるべき仕事を理解でき、共通認識が生まれます。
KSFに基づいた業務を継続できると、事業全体の軸が定まり、事業に一貫性が生まれるでしょう。
また、事業に一貫性があるとリスク軽減やリスク分散効果も期待できます。
マーケティングで重要な項目
KSFによって浮き彫りになった自社の強みや弱みは、マーケティングで重要な項目です。
市場や顧客のニーズと照らし合わせ、競合他社に負けない自社の強みを活かしたマーケティング施策を実行できるためです。
自社の課題を解決し、成果につながるマーケティング戦略を組み立てるためには、KSFは非常に重要です。
KSFとKGI・KPI・CSFの関係性
KSFに対して、KGIやKPI、CSFは次のような関係性があります。
用語 |
意味 |
KSFとの関係性 |
---|---|---|
KGI |
重要目標達成指標 |
KGIを選定したあとにKSFを決める |
KPI |
重要業績評価指標 |
KSFを分析したあとにKPIを決める |
CSF |
重要成功要因 |
KSFと同じような意味で使われる |
KGIやKPI、CSFをそれぞれ詳しく説明します。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)とは重要目標達成指標のことで、企業が目指す最終的な数値目標です。
そして、KGIを決めたあとに具体的なKSFを選定します。具体的には、次のような流れです。
KGI:新しく立ち上げたSNSマーケティング事業で来年の年商3,000万円を目指す
KSF:年商3000万円を達成するために競合他社の分析、SNSマーケティングの活用が求められている市場をリサーチする
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)とは重要業績評価指標のことで、プロセスの達成度合いを評価する指標です。
KGIに対して設定したKSFを対象に、KPIを決定します。
例えば、3ヵ月100万円のSNS運用代行サービスを、月に3件成約するというKSFを設定したとします。
これに対するKPIは、1日あたりの営業数や成約率などが該当します。
CSFとは
CSF(Critical Success Factor)とは、重要成功要因のことです。成功に関わる要因を指し、企業が事業で成功を収めるのに必須な要因です。
KSFと同じような意味合いで使われるケースが多いでしょう。CSFやKSFには、さまざまなフレームワークがあります。
KSF分析に役立つフレームワーク4選
KSF分析に役立つフレームワークを4つ紹介します。
3C分析
3C分析は3つの分析項目の頭文字を取った分析です。
- Customer(顧客と市場)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
まずは、市場の現状や顧客の潜在的なニーズをリサーチします。
次に、競合他社を分析し、競合の強みと弱み、プロダクトの質などをリサーチします。そして、自社の状況を把握し市場や競合と比較しながら、自社ならではの魅力を訴求できるKSFを選定します。
SWOT分析
SWOT分析は次の4つの視点から分析します。
- Strengths(強み):内部環境
- Weaknesses(弱み):内部環境
- Opportunities(機会):外部環境
- Threats(脅威):外部環境
内部環境には自社に要因が、外部環境には他社に要因があります。
機会や脅威のあとに、自社の強みと弱みを分析するとよいでしょう。分析後は差別化や自社の魅力を抽出して設定してください。
PEST分析
PEST分析は次の4つの要因を分析します。
- Politics(政治):法秩序
- Economy(経済):景気や株価
- Society(社会):人口やトレンド
- Technology(技術):技術革新や最新技術
PEST分析は自社と社会対比できる分析手法ですので、市場の動向やトレンドなどを把握しながら、自社のストロングポイントを訴求できるメリットがあります。
5F分析
5F分析次の5つの外部環境を分析します。
- 業界内競合:業界の成長性や競合のブランド力
- 売り手:原材料費の高騰で利益低下の恐れがある要因
- 買い手:買い手が原因で商品の価格が低下するリスク
- 代替品:自社のプロダクトの代わりになるサービスや商品
- 新規参入:自社の脅威になる危険性
この5つを分析すると自社が属する業界全体の構造を根本的に理解でき、自社が優位性を持てるようなKSFを決められます。
KSFを設定した企業事例
KSFを設定した企業事例を3つ紹介します。
トヨタ自動車
トヨタ自動車のKSFは、高品質な自動車を競争力のある価格で販売し、それを支える生産方式「トヨタ生産方式」にあるといえるでしょう。
トヨタ生産方式とは、生産工程で異常が発生した際に機械が即停止する「自働化」と、各工程で必要な部品などを停滞なく流れるようにする「JIT(ジャスト・イン・タイム)」を大きな柱とした生産方式です。
トヨタ生産方式により、高品質な自動車を競争力のある価格で販売できることは、トヨタ自動車の強力なKSFと考えられます。
コカ・コーラ
コカ・コーラのKSFは、ブランド力とブランディング力にあると考えられます。
サンタクロースといえば「赤い服に白いひげを生やした老人」をイメージするでしょう。
実は、このサンタクロースのイメージは、1931年にクリスマスキャンペーン用のコカ・コーラの広告から定着したといわれています。
古い例ではありますが、このような広告キャンペーンや、スポーツスポンサーなどによる継続的なブランド戦略は重要なKSFでしょう。
任天堂
任天堂のKSFは、革新的なゲーム体験を提供するなどの独自のコンテンツ開発力でしょう。
例えば、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)のような据え置き機と、携帯機の双方の特徴を持ったハードの開発、それに付随する様々なソフトの開発など、幅広い年代が楽しめるコンテンツ開発力が優れているといえます。
KSFを設定する際の注意点
KSFを設定する際の注意点は3つです。詳しく見ていきましょう。
内部要因と外部要因の両方を考察する
KSFを設定する際、内部要因と外部要因をバランスよく考察しなければなりません。
どちらかの対策に不備があると、それが企業の弱点になり事業の成長速度が遅くなる可能性があるためです。
先ほど紹介したフレームワークを用いて、考えられる要因をすべて考慮しながら、KSFを設定しましょう。
KGIとKPIの関係性を理解する
KSFはKGIやKPIと強く関わり合っているため、3つすべてを理解し設定しましょう。
まずは、最終目標のKGIを決め、それを達成するのに必要なKSFを抽出します。
そして、KSFに則したKPIを立てる流れが鉄則です。それぞれ3つの役割や関連性を意識しながら、1つの流れとして捉えましょう。
KSFの設定をゴールにしない
KSFはあくまでKGIを達成するのに必要な要因ですので、KSFの設定自体が目的にならないようにしましょう。
KSFを設定するのには、ある程度の時間と作業量を要しますので、KSFを定めることがいつの間にか目的になっているケースも少なくはありません。
KSFについてのまとめ
KSFで具体的な成功要因を見つけることは、KGIの達成や具体的なKPIを決める際に欠かせない作業です。
本記事で紹介したフレームワークを使いながら、ぜひ自社の事業成功のために役立ててみてはいかがでしょうか。
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