SBUとは? 意味や導入によるメリット、区分けの仕方を解説
SBUとは、特定の事業を中心に戦略を策定するための組織単位です。
SBUは多角化戦略を持ち合わせており、リスクの分散や意思決定のスピードがアップするなどの利点があります。
しかし、SBUの具体的な特徴や、分け方などは難しく感じますよね。
本記事では、SBUを導入したい経営者に向けて、SBUの定義やメリットやデメリット、具体的な分け方、事例などを紹介します。
この記事を読めばSBUへの理解が深まり、あなたの会社でSBUを用いた業務の効率化や、ビジネスチャンスの拡大を狙えるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
SBUとは?
SBUとは一体どのようなものでしょうか。SBUの定義やBUとの違い、既存文書との考え方の違いに触れながら解説します。
SBUの定義
SBU(Strategic Business Unit)とは、特定の事業を中心にした戦略の策定のための組織単位です。
形態は企業によって異なり、同じ製品グループから構成されるケースや、複数の事業部からも構成されるケースなどがあります。
また、事業戦略の策定や実行、業績の管理すべてをSBU内でおこなえるのが特徴です。
SBUを上手に設定できると、戦略性や戦略遂行までスピーディーに行えるというメリットがあります。
SBUとBUの違い
BU(Business Unit)とは、会社組織における部署などの事業単位のことです。
SBUとの違いは組織の役割と具体的な活動範囲にあります。
組織の役割 |
具体的な活動範囲 |
|
---|---|---|
SBU |
企業内の事業を中心に戦略を策定する組織単位 |
事業戦略の策定や実行、業績の管理などを一貫して独自でおこなえる |
BU |
企業内の製品や事業を経営するための組織単位 |
特定の事業や製品に特化した業務をおこない、製品開発や顧客関係管理などを担当する |
SBUは企業全体の戦略を策定する組織で、BUは特定の事業や製品を経営するための組織です。
S(strategy:戦略)の意味があるかないかを考慮すると、理解しやすいでしょう。
また、SBUはBUと違い、独自で活動できる点も大切なポイントです。
既存の部署との考え方の違い
SBUとBUが異なる点は既存部署との考え方の違いです。
- SBU:既存の部署に囚われない
- BU:各部署の単位のこと
SBUは製品ごとに事業単位が存在するケースが多く、その場合は既存の組織に当てはまりません。
しかし、BUは部署を割り当てているだけです。重要度の観点から見ると、SBUに劣る組織単位と考えるとよいでしょう。
また、次のような項目を基準にSBUは設定されます。
- 明確なミッション
- 独自の競合他社
- 責任ある経営者が存在
- 経営資源のコントロール可能性
- 他の事業から独立し、単体で計画を立てられる
SBUのメリット
SBUのメリットを3つ紹介します。リスク分散や経営スピードアップなどのメリットがありますので、詳しく見ていきましょう。
リスク分散
SBUには多角化戦略があるため、市場や法令などの外的要因で起こるリスクを分散できるメリットがあります。
多角化戦略とは、既存事業以外の製品や市場などに経営資源を投下し、新しいジャンルの事業を拡大することです。
リスクの分散は複数の収入源の確保につながるため、仮に1つの事業が失敗したとしてもダメージを最小限に抑えられる利点があります。
多角化戦略により既存事業との相乗効果や、未使用の経営資源などの有効活用にもつながるでしょう。
経営スピードの向上
SBUは経営資源を自由にコントロールできるため、意思決定がスムーズになり経営スピードのアップを期待できます。
BUとは異なり、SBUは事業戦略の策定から管理までを一貫しておこなえるのが大きなメリットです。
市場の変化などの外的要因に合わせた戦略も迅速に対応できるため、ビジネスチャンスを逃しにくくなります。
企業価値の向上
SBUはリスク分散による多角化経営が可能なため、市場の悩みを解決しやすく、最終的には企業価値が向上するなどのメリットがあります。
具体的には、市場規模が伸びそうなジャンルを見つけたら、独自のSBUを立ち上げ、既存の部署との連動性を高めながら新事業を進められます。
SBUのデメリット
SBUのデメリットであるコスト面と、経営が非効率的になる点を解説します。
コストがかかる
現在のビジネスには関係のない新製品の開発や、事業拡大には大きなコストがかかります。
SBUでどれほど経営資源をコントロールして分配できたとしても、新しく調達しなければならないものが必ず出てくるでしょう。
シナジー効果が発揮できるまでは経営が非効率になる
単独で事業を行う場合、大量の材料や設備などの共有で経営効率が向上します。
しかし、複数の事業を展開するSBUは、軌道に乗るまでシナジー効果を発揮できず、経営が非効率的になる可能性があります。
各SBUに応じて、材料や設備などの調達が必要になるためです。
SBUの分類の仕方
SBUの分類方法を3つにまとめました。「自社ならどのように分類できるか」というイメージを持ちながらご覧ください。
顧客や市場
まずは、顧客や市場でSBUを分けてみましょう。
顧客や市場が抱える問題が明確になるためです。具体的には次のように分けられます。
- 法人と個人
- 大口顧客と小口顧客
- 市場規模
- 顧客の属性(年齢や性別、居住地など)
SBUを作るときに何をやれば良いかわからないと考える方は、顧客と市場で分けると既存事業との関連性なども見えてくるでしょう。
サービスや商品の内容
サービスや商品内容でSBUを分けるには、市場や顧客がどのように価値を感じるのかに注目しましょう。
「誰が、どんな悩みを、どのようにして解決するのか」にサービスや商品を当てはめると、同じ業界やジャンルでも大きく異なります。
簡単な具体例を挙げると、コンサルティング業界の場合、顧客の悩みを洗い出す方法と解決方法にサービスの内容に違いが生まれます。
また、自社のサービスや商品が、市場や顧客からどのように見られたいのかを考えると、より具体的にSBUを分けられるでしょう。
ライバルの有無
SBUを考える際、ライバル有無とライバルの強さの把握は欠かせません。
競合他社が強いほどSBUが細かく配置されており、配置の仕方に大きな意味があるためです。
事業や商品を作る際に競合他社をリサーチするのと同じように、SBUを分ける際もライバルのリサーチが大切です。
SBUを導入している企業
SBUを導入している企業を紹介します。実例を見ると、よりSBUの大切さや理解が深まるでしょう。
三菱重工業
三菱グループの大手重機メーカーの三菱重工業は、2013年にSBUを導入しました。
9つの事業本部から構成される組織体制を、「エネルギー・環境」「交通・輸送」「防衛・宇宙」「機械・設備システム」の4つの事業ドメインに集約し、2023年2月時点では3ドメインの4セグメントで運営されています。
SBUを導入する際は、各SBUを事業の段階と収益などに応じた事業ポジションに分け、その事業ポジション相応のリターン設定と経営資源の配分を行いました。
三菱重工業全体のリソースを最適化し、企業価値の向上を期待できます。
出典:三菱重工業 事業ドメイン
株式会社IHI
株式会社IHIは日本の三大重工業の1つです。2017年の組織改定では、1事業の8セクターを廃止し、「資源・エネルギー・環境」「社会基盤・海洋」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4セグメントをそのまま事業領域と称する組織にしました。
経営力の加速や実行体制の強化などが目的です。
また、事業領域のリスク管理機能と連携する「プロジェクトリスクマネジメント部」も新設されました。分散していた大型受注工事などの機能を集約するためです。
SBUについてのまとめ
今回は経営者に向けてSBUメリットやデメリット、分け方、事例などをまとめました。
SBUには、会社経営をよりよくする要素がたくさんあります。
本記事を参考にしながら、ぜひSBUによる多角化戦略で、あなたのビジネスを成長させましょう。
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