源泉徴収票に雇用保険料の項目は含まれる? トラブル防止のための基礎知識
雇用保険は社会保険の一つであり、源泉徴収票では社会保険料に含まれます。一定の条件を満たす方は、必ず加入しなければなりません。
今回は、雇用の安定や労働者の生活を守ることが目的の雇用保険について、従業員とのトラブルにならないために知っておきたいことを解説します。源泉徴収票を発行する人事担当者の方は、参考にしてください。
源泉徴収票に雇用保険料は含まれる?
源泉徴収票は、年間の収入金額と社会保険料、所得税額等が記載された書類のことです。従業員の収入金額の証明として、企業が作成・交付します。
源泉徴収票の社会保険料には、給与・賞与から天引きされた健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の合計が記載されています。
源泉徴収票に含まれる項目
ここからは、源泉徴収票に記載されている項目について解説します。
源泉徴収票には、主に以下の項目が記載されています。
- 支払金額
- 給与所得控除後の金額
- 所得控除の額の合計額
- 源泉徴収税額
- 社会保険料等の金額
- 生命保険料等の各種控除額
- 扶養親族の情報
年間の収入や所得税、社会保険料だけではなく、年末調整で従業員が申告した生命保険料等の各種控除額や、扶養親族の情報も記載されます。また、年の途中で退職した従業員には退職日も記載されます。
源泉徴収票の社会保険料の項目
雇用保険料は社会保険料の一つです。ほかに健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料も含まれる、社会保険料のそれぞれの項目について解説します。
健康保険料
健康保険料は病気やケガの治療費や出産費用、休業手当等に充てられる保険料です。国が運営する医療保険の一つであり、公的医療保険とも呼ばれています。
企業に雇用される一定の基準を満たす方が加入します。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は、老後もしくは障害・死亡の際に給付する、老齢・障害・遺族厚生年金の財源に充てられる保険料です。企業に雇用される一定の基準を満たした、70歳未満の方が加入します。
雇用保険料
雇用保険料は、失業時や育児休業時等に雇用の安定や労働者の生活を守る目的で支給される、給付金に充てられる保険料です。
雇用保険は原則、下記に該当する方以外は全員が加入します。
- 個人事業主
- 法人役員
- 家族従業員
- 1週間の所定労働時間が20時間未満の人
- 31日間以上働く見込みがないの人
- 学生
条件を満たした人は年齢や雇用形態に関係なく、加入が義務付けられています。加入した場合、給与・賞与から保険料が天引きされます。
介護保険料
介護保険料とは、介護費用や介護サービスの費用に充てられる保険料です。保険料を支払う対象者は40歳以上の方が該当します。
雇用保険料が未払いだと、トラブルになる可能性がある
雇用保険料が未払いの場合、従業員が雇用保険に関連する給付が受けられなくなります。
雇用保険に関連する主な給付は以下のとおりです。
- 失業保険
- 育児休業給付金
- 介護休業給付金
- その他、就業促進に伴う給付金
雇用保険は失業時の生活や雇用の継続に必要な保険のため、未払いが発生すると、従業員の生活に影響が出てしまいます。
特に、従業員の雇用形態や身分の変更により、雇用保険の加入条件が変更になる場合は、雇用保険の対象となるかの確認を怠らないようにしましょう。
対象者は必ず雇用保険の加入手続きを
雇用保険料は、源泉徴収票に記載された社会保険料に含まれています。雇用の安定や労働者の生活を守る目的で支給される給付金に充てられる保険であり、一定の条件を満たした人は必ず加入しなければなりません。
雇用保険料が未払いの場合、従業員は雇用保険に関する給付金が受けられなくなり、トラブルになる可能性があります。雇用保険の対象となる従業員が未加入になっていないか、確認を怠らないようにしてください。