「幸いです」の正しい使い方は? 例文と言い換え表現・注意点を紹介
「幸いです」は、「~してもらえるとうれしいです」という意味を持ちます。
何かの依頼や催促をする時に使うことで、相手の対応への感謝も一緒に伝えられる丁寧な表現です。
上司や取引先のような目上の相手でも、要求を伝えやすい言葉として用いられます。
しかし、いつでも使えるというわけではありません。
本記事では、「幸いです」の意味や正しい使い方を解説します。
使用するシチュエーションに悩んだときには、注意点や言い換え表現を参考にしてみてください。
「幸いです」の意味
「幸い(さいわい)です」は「~していただけると、ありがたい」といった意味を持ちます。
依頼やお願いをする際に、相手の行動を促しつつ、感謝の気持ちも一緒に伝えられます。
ビジネスシーンでは「~してくれるとうれしい」「相手に~をしてほしい」といったニュアンスで、特にメールや文書に用います。
「幸いです」の使い方・例文
「幸いです」の使い方を、以下の3つのシチュエーションに分けてみていきましょう。
- 返信期日を設定して連絡する場合
- 取引先や上司と連絡をとる場合
- こちらから贈りものをする場合
返信期日を設定して連絡する場合
「幸いです」は、ビジネスメールや文書で、返信期日の設定をして連絡するときに活用できます。
急がせずに丁寧に催促できる表現です。
期限を設定する際は、「お忙しい中、恐縮ですが」といった言葉を添える気遣いも重要です。
謙虚な姿勢でお願いできるため、相手に好印象を持たれやすくなります。
注意点としては、期日までの余裕がある時の方が比較的適しています。
緊急時には「お願いいたします」のようにストレートな表現を選びましょう。
- 恐れ入りますが、明後日までに折り返しのご連絡をいただけますと幸いです
- お手数ですが、今週中にご返事いただければ幸いです
- ご多忙の中恐縮ですが、2月中にご返信いただければ幸いです
取引先や上司と連絡をする場合
取引先や上司など目上の人に連絡をする際は、「幸いです」に「存じます」といった謙譲語を添えると良いでしょう。
「幸いです」は丁寧な言い方ではありますが、敬語ではないとされています。
また、単体で使うことで、判断を相手に一方的に委ねる印象も与えかねないものです。
- お忙しいところ恐縮ですが、2月1日までにご判断いただけますと幸いに存じます
- お手数ですが、ご返信いただけますと幸いに存じます
こちらから贈り物をする場合
相手にお中元やお歳暮、お土産や新商品などの贈り物をする際も、「幸いです」が使えます。
「幸いです」は贈り物をする際に使用すると、「好みに合うか分かりませんが、喜んでもらえたらうれしい」といった控え目なニュアンスを伝えられるでしょう。
手紙やメールだけではなく、会話でもよく使われます。
- 旅行のお土産なのですが、ご笑納いただけますと幸いです
- 心ばかりのものですが、お口に合えば幸いです
- 弊社の新商品をお送りいたしますので、お受け取りいただければ幸いです
「幸いです」の言い換え表現・類語
「幸いです」には、言い換えができる表現や、似た意味の類語があります。
ビジネスメールや文書で、「幸いです」ばかり使ってしまっているときなど、コミュニケーションで困った際に使用してみてください。
幸甚です
「幸甚(こうじん)です」は、非常にありがたく、幸せなことを意味する言葉です。
相手に感謝や幸福感をより力強く伝えられます。
「幸いです」と意味は似ていますが、「幸甚です」のほうがより丁寧で堅い印象です。
そのため公的な文書を書く際や、目上の人に敬意を示す際に適しています。
ただしかしこまった言い方のため、ビジネス以外ではあまり用いられません。
- 弊社セミナーにご参加いただけますと、講演者一同幸甚に存じます
- このような式典にお招きいただき、幸甚の至りです
助かります
「助かります」はお願いや感謝を伝える、少し砕けたニュアンスの言葉です。
同僚や部下とのコミュニケーションに用いられます。
- 資料の確認を12日までにしていただけますと大変助かります
- 先ほどの資料を、追加で10部用意していただけると助かります
少し気軽な言い回しのため、目上の人や取引先への使用は控えましょう。
この場合は、「~をお願いいたします」といった表現のほうが適しています。
どうぞよろしくお願いします
「どうぞよろしくお願いします」は、相手に敬意を示しつつ、依頼やお願いをする際に使います。
特に、同僚や部下とのコミュニケーションで好まれるカジュアルな表現です。自己紹介や手紙などでも使えます。
- ご参加とご協力のほど、どうぞよろしくお願いします
- 今日から入社しました。これからどうぞよろしくお願いします
「幸いです」をビジネスで使う際の注意点
「幸いです」は丁寧な表現ですが、使用に適さない場面もあります。
上司や取引先とのミスコミュニケーションにならないように、ビジネスで使う際の注意点を把握しておきましょう。
急を要する依頼には使用しない
「幸いです」は、急ぎの依頼をする時には適していません。
この言葉はやや控えめな表現で、相手に対する強制力が低くなってしまうためです。
緊急性が高く、迅速な対応が求められる場合は
「早急に確認していただけないでしょうか」「ご対応をお願いいたします」のように、明確で直接的な表現を選ぶのがおすすめです。
会話では使用しない
「幸いです」は、基本的にビジネスメールや文章に適している言葉です。
会話で使用すると、相手にやや堅苦しいイメージを与えることがあります。そのため、会話で使うのは避けたほうが無難です。
会話では「お願いいたします」と言うほうが、相手にシンプルで自然に伝わります。
まとめ
「幸いです」は、上司や取引先に対して柔らかく依頼やお願いをする際に使う表現です。
相手に対して謙虚な姿勢も示せるため、期日を設けた対応のリマインドや、贈り物を渡す際にも使えます。
一方で強制力はそれほどないため、緊急性のある依頼や、会話での使用には適していません。
直接的な表現が必要な場合には、言い換え表現を参考にして使い分けてください。
「幸いです」を使うべきかどうかは、自分と相手の状況や、関係性によっても変わります。
注意点や言い換え表現、例文も参考にしながら、適切な表現でコミュニケーションをとりましょう。