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アンガーマネジメントとは? 実践方法やメリットを簡単に解説

アンガーマネジメントとは? 実践方法やメリットを簡単に解説

アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング法です。ビジネスの世界でも円滑な人間関係を築くための方法として注目されていますが、どのように実践していけばよいのでしょうか。

今回は、ストレスの軽減にも役立つアンガーマネジメントの意味や実践方法、メリットやデメリットについて解説します。イライラや怒りに任せた行動で後悔することが多い方は、参考にしてください。


この記事の監修者
  キャリアコンサルタント / 外国人雇用管理士® 

アンガーマネジメントとは?

まずは、アンガーマネジメントの考え方や怒りのタイプについて解説します。

アンガーマネジメントの意味

アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれたとされる、怒りの感情をマネジメントするための心理トレーニング法のことです(一般社団法人日本アンガーマネジメント協会による定義)。

アンガーマネジメントは「怒ってはいけない」という考え方に基づくものではなく、怒らないようにする方法論でもありません。怒りの感情は私たち人間が持っている防衛本能と関係しており、自尊心や名誉を傷つけられた場合に自分を守るために必要な感情です。

しかし、度を越えるほど怒ったり、いつまでも怒りが収まらなかったりすると問題行動につながります。怒った時に必要な「怒りの感情と上手に付き合う」ことがアンガーマネジメントです。

アンガーマネジメント診断であげられる怒りのタイプ

日本アンガーマネジメント協会では、「無料アンガーマネジメント診断」で怒りのタイプを以下の6つに分類しています。それぞれのタイプの特徴について、解説します。

  • 公明正大
    正義感が強く、信念を曲げないタイプ
  • 博学多才
    論理的で合理的な完璧主義タイプ
  • 威風堂々
    華やかな存在感のある社交上手タイプ
  • 天真爛漫
    才能と愛嬌と抜群の行動力で人の心を掴むカリスマ系タイプ
  • 外柔内剛
    穏やかな雰囲気に隠された頑固な職人気質タイプ
  • 用心堅固
    石橋を叩いて渡る慎重派タイプ

公明正大

正しい行いをするという正義感が強いタイプです。相手が誰であっても、社会的なルールやマナーに違反しているのを見たり聞いたりすると、許せないという怒りを感じやすく、執拗に間違いを正そうとする言動に出る傾向があります。

博学多才

責任感が強く、物事に白黒をはっきりつけないと納得できない完璧主義タイプです。あいまいなことにはイライラを募らせてストレスを抱え込みやすく、周囲にも自分にも厳しくなってしまうため、敵を作りやすい傾向があります。

威風堂々

自分の考え方や独自の価値観を持っており、自尊心が高い半面自信過剰な面が見られます。自分の間違いを指摘されたり、自分の思い通りにならないことや自尊心を傷つけられることがあると、急に不機嫌になってしまいます。

天真爛漫

場の空気を読むことはせず、周囲に注目されることを好みます。自分の思ったことや感情をストレートに表現し行動したいので、自分と異なるタイプの人に対してイライラやストレスを感じるタイプです。

外柔内剛

普段は外からは穏やかに見える反面、内面的には自分の考えやルールに固執する傾向があります。自分の基準に合わないと周囲の意見を頑として聞き入れず、急に激しく怒りだして周りを驚かせることもあります。

用心堅固

自己肯定感が低く、周囲との付き合い方も慎重なタイプです。仕事においても常に用心深く安定感はあるものの、積極的に新しい仕事に取り組む姿勢はあまり見られません。周囲から自分がどう見られているか、を常に気にしている傾向があります。


アンガーマネジメントの実践方法

アンガーマネジメントの中ですぐに実践できるのが、怒りを抑えるために6秒間をやり過ごす方法です。具体的に怒りを感じた時にどのような行動を取ればいいのか、5つの方法について解説します。

  • ストップシンキング
    怒りに向かいそうな思考状態を停止させる
  • コーピングマントラ
    気持ちを落ち着かせる呪文(マントラ)を唱える
  • スケールテクニック
    レベル分けをすることで怒りをコントロールする
  • グラウンディング
    目の前にある物に集中し観察して意識をそらす
  • タイムアウト
    いったんその場を離れて冷静さを取り戻す

ストップシンキング

怒りに気持ちが向いてしまいそうな時、「ストップ!」「止まれ!」「考えるな!」などと自分自身に呼びかけます。脳に思考停止状態を作るように命令する感覚で行うことで、我に返って怒りを表現することを思いとどまらせる方法です。

人によっては、「真っ白の紙」や「何もない空間」をイメージすることで、思考停止状態を作りやすい場合があります。自分が思考停止状態を作りやすいものを、事前に確認しておくと良いでしょう。

コーピングマントラ

怒りを表現してしまいそうな気持ちを落ち着かせるために、あらかじめ自分で用意しておいた、「落ち着こう!」「リセットしよう!」「怒っても何も変わらない」「相手に応じるな」などの呪文(マントラ)や言葉を唱える方法です。

呪文を唱える前に大きく深呼吸をするという動作を組み合わせると、さらに効果的になります。唱える呪文が自分の「決めゼリフ」のようになれば、思い浮かべるだけで冷静さを取り戻す効果も期待できます。

スケールテクニック

怒りを感じるたびに、怒りのレベルに点数をつける方法です。たとえば、1~10まで10段階で(3点不愉快、5点憤慨、10点最大級で制御不能な怒り)自分の怒りを評価します。

点数をつけただけでは怒りは収まらないため、各点数に応じて対処方法をあらかじめ決めておきましょう。たとえば、「5点以上の場合はタイムアウトする」などのように、点数と対処方法をあらかじめ組み合わせておくことで、悩まずに行動できます。

グラウンディング

怒りの感情が込み上げてきた時に、携帯電話や時計、本など目の前にある物に意識を集中させます。

たとえば、怒りに意識が引っ張られそうになったら、目の前にあるスマートフォンに意識を集中し、じっくり観察します。

全体の形状、内臓カメラの位置、マイクの位置、画面内のアイコンの数、一つひとつのアイコンの色や形状など、怒りとは別のものに意識そらし、怒りが増すような原因を考えない状況を作る方法です。

タイムアウト

相手と議論が激しくなり、怒りが込み上げて爆発しそうな時などには、一旦その場を離れて、冷静になる時間を設けることも効果的です。

「落ち着いて話し合いたいので、一旦タイムアウトにしませんか。〇時になってお互いに落ち着いて議論できそうな状況であれば、議論を再開しましょう。」と、一時的にその場を離れること、必ず戻ってくること、タイムアウトの目的を相手に伝えて合意を得ます。

これにより、自分や相手の感情を勢いに任せて爆発させない状況を作ることができます。


アンガーマネジメントを身につけるメリット・デメリット

ここからは、アンガーマネジメントを身につけるメリット・デメリットの両方を解説していきます。

メリット

  • 自己分析ができる
    自分の怒りの傾向を知り、より客観的に自分を理解できるようになる
  • ストレスが減少する
    不要な怒りに振り回されることが減る
  • 人間関係が良くなる
    怒りを適切にコントロールできるため、人間関係を壊すリスクが減る

自己分析ができる

アンガーマネジメントのスキルを学ぶと、自分がどのようなことに対して怒りを強く感じるのかを知ることができます。また、怒りに適切に対処するにはどのようなテクニックが有効なのかも判断でき、自己分析と自己理解を深めることができるでしょう。

ストレスが減少する

怒りによる自分が感じるストレスを減少させることができる点は、最大のメリットです。アンガーマネジメントでは、怒りを感じることを否定せずどう扱えば良いかを学べるため、不要なストレスに悩まされずに済みます。

人間関係が良くなる

怒りを感じた場合に、以前なら爆発させて周囲の人に好ましくない影響を与えてしまっていた場面でも、怒りの感情をより適切にコントロールできるようになります。より円滑な人間関係を保てるようになるメリットが期待できます。

デメリット

  • 怒りを無理やり抑えてしまう
    怒りを覚える自分を否定したり、常に怒らないようにしようとする。
  • 都合のいい人になってしまう
    アンガーマネジメントを意識するあまり、必要な時にも怒れなくなる。
  • 感情のエネルギーが減少する
    感情に対する抑制が効きすぎて、喜怒哀楽全体の感情のレベルが落ちる

怒りを無理やり抑えてしまう

特に、学びたての時期は、「怒りを感じてはいけない」「怒りを感じる自分はダメだ」と無理やり抑えてしまう場合があります。怒りを感じた時に自分を冷静に見つめるマネジメントスキルが育たないことは、デメリットと言えるでしょう。

都合のいい人になってしまう

アンガーマネジメントを学ぶと、周囲に対して怒りの感情を表現しづらくなる傾向があります。相手との関係性によっては何を言っても怒らない人のような印象を与え、都合のいい人と思われるケースがあるかもしれません。

感情のエネルギーが減少する

アンガーマネジメントのスキルを学ぶと、おのずとセルフモニタリングのスキルが向上します。怒りの感情のコントロールだけでなく、他の感情も無意識に抑えてしまい、喜怒哀楽の感情全体のエネルギーレベルが落ちることが考えられます。


アンガーマネジメントについてのまとめ

ここまでの話をまとめます。

  • アンガーマネジメントは、怒りの感情と上手に付き合うためのトレーニング法
  • 怒りを感じた時に6秒間やり過ごす5つの方法は、すぐに実践できる
  • ストレスの減少だけではなく、自己分析や人間関係の改善にも役立つ

アンガーマネジメントは、一朝一夕に身につけることは難しいスキルです。

しかし、すぐに実践できる方法もありますので、怒りを抑えられずに困っている方は、この記事を参考に試してみてください。

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監修者プロフィール

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木村 千恵子

キャリアコンサルタント / 外国人雇用管理士®

2度のアメリカ留学経験をはさみ、20年以上外資系IT企業を渡り歩きグローバルプロジェクトに従事したのち、2016年にキャリアコンサルタントとして活動を開始。

現在は中小企業の従業員のキャリア、メンタルヘルス、テレワークに関する課題解決支援、外国人留学生の就職支援、個人向けキャリアセミナーなどを中心に活動中。

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