EQとIQとは何か? 違いやそれぞれの特徴、高める方法などを紹介
人事担当者の中には、「EQ」と「IQ」の違いを完全に把握しきれていない人もいるでしょう。
以下では、双方にどのような違いがあるのかを解説した後、それらの能力が高い人物の特徴や、企業がEQの高い人材を育成することで得られるメリット、EQとIQを高める方法などを紹介します。
EQとIQを再認識し、社内研修に活かしましょう。
EQ(心の知能指数)とIQ(知能指数)の違い
「EQ」と「IQ」には、どのような違いがあるのでしょうか。よく似た言葉なだけに、同一視しないように注意が必要です。以下では、それぞれの言葉の意味について解説します。
EQ(心の知能指数)とは何か?
EQとは、「心の知能指数」とも呼ばれている能力で、「Emotional intelligence Quotient」の頭文字を取って名付けられています。
世の中に少なからず存在するであろう、感情を理解することが苦手な人は、この能力が低い可能性があります。自身や相手の感情を把握し、その上で自身の感情をコントロールすれば、相手と良好な関係を構築できる、それがEQの基本的な考え方です。ビジネスの場において、相手と良好な関係を築けることは、大きなアドバンテージを生みます。
IQ(知能指数)とは何か?
IQとは、「知能指数」と表現される能力です。「Intelligence Quotient」の略語であり、日本では長年、多くの人々に注目され続けてきました。
この能力は、知識や学力だけでは定義できません。さまざまな場面において、合理的に対処する基本的能力こそが知能であり、IQはそれを数値として表したものです。
IQの数値は、近年では「DIQ」で表現することが多くなりました。これは、「同じ年齢の集団の中で、対象者がどの順位に当てはまるのか」を示すものです。IQは、知能の大まかな目安として捉えられますが、表れた数値は確実な評価にはなりません。その点に関しては注意が必要でしょう。
EQが高い人とIQが高い人、それぞれの特徴
EQとIQが優れた人には、それぞれ特徴があります。では、具体的にどのような特徴があるのか、下記をチェックしてみましょう。
EQが高い人の特徴
この能力に優れた人の特徴は、主に4つあります。
- 【必要以上に感情的にならない】
自己認識力が優れているため、必要以上に感情的になりにくい特徴があります。自身の長所だけではなく、短所も客観的に把握しているため、批判を受けたとしても、冷静な判断を下せるのです。 - 【寛大な心を持ち、偏見がない】
何事に対しても偏見を持たず、広い心で受け入れられます。明らかに自身とは異なる価値観であったとしても、それを否定することはありません。自分の考えを持たない人間であると感じるかもしれませんが、価値観の違いを受け止めつつ、自身の意見を伝えられる点が特徴です。 - 【傾聴力に優れている】
相手の意見に耳を傾けず、自身の意見だけをぶつけてくる人に対して、コミュニケーションは成立しないでしょう。EQに優れた人は、相手の声にしっかり耳を傾けます。ひとつの事実として意見を聞き、その上で会話を展開していける点は、EQの高さゆえです。 - 【物事のバランスを取る力がある】
自身をコントロールする能力があるため、バランスよく行動できます。例えば、趣味や仕事、家事の3つを1日でこなす場合、「今日は仕事が忙しいから、他の2つは1時間ずつやろう」などと、冷静かつ理性的な判断と行動が可能です。
IQが高い人の特徴
この能力に優れた人の特徴は、主に4つあります。
- 【論理的に話せる】
IQが優れている人は、論理的な思考が得意です。そのため、感情に流されることなく、論理的かつわかりやすい内容で、会話を展開していきます。 - 【本質を見抜く力に優れている】
膨大な情報があっても、それを素早く処理するため、物事の本質をスピーディーに見抜けるでしょう。例えば、仕事の方法を少し聞いただけで、重要な根本を見抜き、それをもとに思考をめぐらせます。 - 【理解力・記憶力・判断力が高い】
この3つの能力が高いため、仕事の内容が難しくても、たやすく処理できます。学生の頃はもちろん、大人になっても求められるこれらの能力の高さは、大きなアドバンテージとして機能するでしょう。 - 【強い好奇心がある】
IQの数値が高い人は、好奇心が強い傾向にあります。徹底的に抱いた疑問に対する答えを求め続け、あらゆる知識を蓄えていくので、物知りとして周りの人に認識されることも多いです。
企業が従業員のEQを高めるメリット
従業員が持つあらゆる能力の中でも、EQに着目して伸ばすと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下では、従業員のEQを高めた結果、企業が得られるメリットを2つ紹介します。
組織のパフォーマンスが向上する
大きな仕事を達成するには、チームワークが必要です。
それぞれの従業員に優れたEQがあれば、強調性を持って動くことを強く意識するため、それが莫大な力となり、大きな目標でも達成できるでしょう。また、共感力が上手く作用し合うと、新たなイノベーションを生み出す可能性があります。
優秀なリーダーを育てられる
どれだけ能力が高くても、チームをまとめる力がなければ、リーダーとして失格です。
EQが優れた人は、人に気を配れるため、人望が厚く、理想的なリーダーとして活躍できます。また、ストレスを感じる場面であっても、簡単に負けることはありません。自身や部下の感情をコントロールするため、プレッシャーへの上手な対処が可能です。
EQを高める方法
EQは、努力次第で高められる能力です。心の知能指数が低い、と感じる人材がいる場合は、以下の方法を伝えてあげるとよいでしょう。
感情を書き出す
自身の感情をメモに書くことが、EQを高めるコツです。
眠る前や気付いた際など、タイミングはいつでも構いません。「楽しい」「辛い」など、どのような感情でもメモしておけば、後で客観的に自身の感情を見つめ直せます。客観的に捉え、反省点を改善していくことで、徐々に感情をコントロールできるようになります。
人の長所を見つける
周囲の人を観察してみて、その人たちの長所を見つけたら、それを直接本人に伝えてあげましょう。
「うれしい」「そうでもない」など、何らかの反応が返ってくるはずです。その反応を受け入れることにより、共感力や柔軟性を養えます。
傾聴を心がける
今、相手が抱える感情を理解するためには、まず話を聞く姿勢が必要です。
話を聞く際に、ただ聞き流すだけでは逆効果になってしまいます。相手の気持ちを予想したり、どのような言葉をかけたら喜ぶかを考えたりすることで、EQを培えるでしょう。
IQを高める方法
IQは、実は大人になってからも高められるのです。以下では、IQを高める3つの具体的な方法を紹介します。
運動をきちんと行う
運動は、記憶力と深い関係があります。無理のない程度に、運動を習慣化することにより、脳によい刺激を与えられるでしょう。
未体験なことを挑戦する
人間の脳は、未知なる体験が大好きです。新しいことを始めると、脳が刺激を受け、記憶力の向上が期待できます。
瞑想してみる
瞑想を行うと、自己認識能力や脳の柔軟性の向上に効果的です。心と脳を休ませることにもつながるので、空き時間に挑戦してみるとよいでしょう。
EQ、IQだけではない!AQとは?
EQとIQだけではなく、「AQ」という能力があることを知っていますか。この能力は、日本では「成就指数」や「逆境指数」などの名称で呼ばれています。
「Adversity Quotient」の略語であり、苦しい状況に直面した際の、精神的な強さやストレスの強さを数値で表したものです。
ビジネスにおける必要な能力として、EQやIQと同様に注目されています。
まとめ
心の知能指数であるEQと知能指数であるIQについて、概要や特長、相違点、高める方法について解説しました。双方の能力とも、ビジネスの場では重要視されるため、人材育成を行う際は、その点を意識することが大切です。
自社の人材に必要な能力を見極め、適切な研修を実施するきっかけとして、参考にしてみてください。