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雇用保険とは? 加入条件や適用除外となるケース、手続きの流れを解説

監修者:マネーライフワークス 代表 / 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP  岡崎 壮史

雇用保険とは? 加入条件や適用除外となるケース、手続きの流れを解説

雇用保険は、労働者の雇用や生活を守る重要な制度です。労働者を雇用する企業にとって加入は義務となりますが、どのような労働者が対象となるのでしょうか。

今回は、雇用保険の加入条件や手続きの流れについて分かりやすく解説します。従業員が加入対象となるかどうか適切に判断し、対応するための参考にしてください。


雇用保険の基礎知識

まずは雇用保険とは何か、その目的や役割について解説します。

雇用保険とは?

雇用保険とは、労働者が「失業したとき」「育児・介護で雇用の継続が困難なとき」「教育訓練を受講するとき」等に必要な給付を行い、労働者の生活の安定および雇用の安定を図る保険です。雇用状態の是正や雇用機会の拡大、労働者の能力の開発および向上等を図ることを目的としています。

労働者が失業した場合に失業給付をもらうことができる、「失業等給付」が代表的です。

雇用保険が持つ役割

  1. 労働者の生活を支える
    雇用保険の目的の1つは、労働者が「失業時」「雇用の継続が困難なとき」「教育訓練を受講するとき」に給付を行うことで、労働者の生活と雇用の安定を図ることです。つまり、労働者が働くことができないときの収入補償としての大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
  2. 失業者の再就職を助長する
    労働者の再就職を促進することも、雇用保険の役割です。たとえば、失業給付を受給している人に対して、就職を促進するための給付や引っ越し代を支援する制度があります。
  3. 雇用の安定・能力開発を行う
    雇用保険は、雇用安定事業や能力開発事業も担っています。雇用安定事業は失業の予防や雇用状態の是正、雇用機会の増大等を図る事業であり、雇用調整助成金等が該当します。能力開発事業は、労働者の能力開発を行い、向上させることを促進するための事業です。人材開発支援助成金等が含まれます。

【基本】雇用保険に加入するための条件

雇用保険に加入するための基本的な条件は、以下の3つです。

1.雇用見込みが31日間以上であること

雇用保険に加入するための条件の1つは、「継続して31日以上雇用される見込みであること」です。

2.週20時間以上勤務していること

週20時間以上勤務をしていないと、原則として雇用保険に加入することができません。また、週20時間以上勤務する労働者は、雇用される事業場の規模によっては、社会保険(健康保険と厚生年金保険)も同時に加入する必要があります。

3.学生ではないこと

昼間の学生である場合、雇用保険の被保険者となることができません。ただし、通信教育・夜間・定時制の学生は、雇用保険の対象となります。


【雇用形態別】雇用保険に加入する条件

ここからは、雇用保険に加入する条件を雇用形態別に詳しく見ていきましょう。

1.正社員

正社員については、週の所定労働時間が40時間となるため、必然的に雇用保険の被保険者となります。

2.パート・アルバイト

パートやアルバイトのような短時間労働者の場合、「週の所定労働時間が20時間以上」の人のみ、正社員と同様に雇用保険の被保険者となります。

3.季節労働者

季節的業務に従事する労働者については、次のいずれにも該当しない場合(日雇労働被保険者となる場合を除く)に、「短期雇用特例被保険者」として雇用保険に加入することができます。

  • 4カ月以内の期間に雇用される者
  • 週所定労働時間が20時間以上、30時間未満

4.日雇い労働者

日々雇用される労働形態で雇用されている労働者については、31日以上雇用されることになった日から、日雇労働被保険者として雇用保険に加入することができます。


雇用保険の加入手続きの流れ

  1. 雇用保険適用事業所設置届を提出する
    新たに事業所を設置したときに、設置をした日の翌日から起算して10日以内に、「雇用保険適用事業所設置届出」を所轄公共職業安定所長に提出しなければなりません。
  2. 雇用保険被保険者証を労働者に渡す
    新たに労働者を雇用することになった場合、雇用した月の翌月10日までに、「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄公共職業安定所長に届け出なければなりません

取得届を提出した後に、公共職業安定所から被保険者証が郵送されます。雇用保険被保険者証は労働者へ渡すことになりますが、実際は会社で管理して、退職時に保険者へ渡すことが多いようです。


【注意】雇用保険に加入できない人・外れる対象とは?

雇用保険の適用除外となるのは、以下のような人です。

  • 国・都道府県・市区町村の公務員
  • 継続的に週所定労働時間が20時間以上とならない人
  • 同一の事業主の適用事業に、継続して31日以上雇用される見込みがない者
  • 季節的に雇用される者であって、4カ月以内の期間を定めて雇用されるもの、または1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満であるもの
  • 昼間の学生であるもの
  • 船員であって、一定の漁船に乗り組むために雇用されるもの 

雇用保険の加入によって得られる手当

従業員は雇用保険の加入によって、以下のような手当を得ることができます。

基本手当

一般被保険者が離職し、失業状態にある場合に支給される、いわゆる「失業手当」です。求職活動期間中の生活の安定を図るために、毎月一定額が支給されます。

技能習得手当

技能習得手当は、「受講手当(公共職業訓練等の受講日に支給される手当)」と「通所手当(住所等から公共職業訓練等を行う施設へ通所するための、交通費として支給される手当)」の総称です。公共職業訓練等を受ける場合、基本手当と合わせて支給されます。

寄宿手当

公共職業訓練等を受講するために、その者により生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する期間について、支給される手当です。

傷病手当

ケガや病気によって、15日以上就業できないときに、基本手当の代わりに支給されます。

高年齢求職者給付金

高年齢被保険者(65歳以上の被保険者)が失業した場合に、一時金として支給されます。

特例一時金

短期雇用特例被保険者が失業したときに、一時金として支給される手当です。

日雇労働求職者給付金

日雇労働被保険者が選択する公共職業安定所に出頭し、求職の申し込みをしたが、その日の仕事に就くくことができなかった場合に、その日ごとに支給される給付金です。

就職促進給付

就職促進給付は「就業促進手当」「移転費」「求職活動支援費」の3つがあり、就職を促すために支給される給付です。

教育訓練給付

教育訓練の受講促進のために支給される給付金です。退職していない人でも利用することができます。

雇用継続給付

高年齢や介護、育児等によって雇用の継続が困難になる場合において、雇用を継続させるために支給される給付です。


雇用保険についてのまとめ

雇用保険とは、労働者の生活の安定および雇用の安定を図ることを目的とした保険です。対象となる人を雇用する企業は、加入手続きを行うことが義務付けられています。

初めて労働者を雇用するときの「雇用保険適用事業所設置届」の提出に加えて、新たに労働者を雇用する場合には「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。雇用保険の加入条件を正しく理解し、適切に対応するようにしてください。

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監修者プロフィール

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岡崎 壮史

マネーライフワークス 代表 / 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

生命保険の営業として、生命保険や個人年金といった資産運用などに関する業務を担当する。

平成26年9月に1級FP技能士の資格を取得。その後、平成27年11月にFPの国際ライセンスであるCFPを取得。資格取得後は、保険や個人年金以外の様々な金融資産の運用や活用についてのセミナーや金融関係のサイトへの執筆・記事監修などを行う。

平成29年9月にマネーライフワークスを設立。

現在は、助成金を活用した企業の労務環境改善コンサルタントとして、労働者・事業主に対して職場環境の改善に向けた企業研修や助成金活用セミナーと保険などの金融商品を活用した資産運用についてのサイトへの記事の執筆や監修なども行っている。

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