挨拶状の書き方とマナー完全ガイド|シーン別で使える例文テンプレート付き
「挨拶状に何を書けばいいのか分からない…」
「ビジネスシーンで失礼のない挨拶状を作成したい」
「テンプレートがあれば簡単に作成できるのに…」
挨拶状を作成する際、こうした悩みを誰しも一度は経験するものです。
新しいビジネスの始まりや、お世話になった方への感謝の気持ちを伝える際に、挨拶状は非常に重要な役割を果たします。
しかし、何を書けば良いのか、どのような形式が適切なのか、悩むことも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、挨拶状の基本的な書き方から、ビジネスやプライベートで使える具体的な例文、そして押さえておきたいマナーについて詳しく解説します。
さらに、すぐに使える便利な無料テンプレートもご用意しました。ぜひ記事の内容とテンプレートを参考にしてみてください。
挨拶状とは
挨拶状とは、近況や業務上の連絡事項をていねいに伝えるための文書です。
挨拶状・お礼状が必要となる状況は
- 新任・退任の挨拶
- お世話になった方へのお礼
- 問い合わせのお礼
- 先方へ迷惑をかけたときのおわび
など数え上げればきりがありません。たった一通の手紙を書かなかったために、その後の人間関係を気まずくしてしまうことさえあります。
挨拶状の種類
以下のような、近況や連絡事項を伝えたいときに出す文書は、すべて挨拶状に該当します。
- 新任・退任の連絡
- 事務所移転の連絡
- 起業・開業のお知らせ
- 社長就任の連絡
- 退職の連絡
- 問い合わせへのお礼 など
最近はメールで済ませる人も増えていますが、大切な顧客への挨拶や重要な連絡事項の場合は、書面で連絡したほうが良いでしょう。
挨拶状の書き方
一般的に、挨拶状は以下の構成で作成します。
- 頭語
「拝啓」「謹啓」など、手紙で用いられる「こんにちは」にあたる言葉のこと。 - 時候の挨拶
「厳寒の候」「新春の候」など、手紙で用いられる季語や季節を取り入れた挨拶のこと。 - 内容
いきなり本題に入るのではなく、「ますますご繁栄のこと…」「平素はご愛顧いただき…」のような、相手の繁栄を祝ったり感謝したりする時候の挨拶から始める。
その後に「この度は」「さて」などの起こし言葉をはさみ、挨拶状で伝えたい近況や連絡事項につなげる。
必要な内容を書き終えたら、「今後とも変わらぬご支援ご鞭撻のほど」「ご自愛ください」など、今後の付き合いを願ったり相手の健康を祈ったりする結びの言葉で締める。 - 結語
「敬具」「謹白」など、手紙で用いられる「さようなら」にあたる言葉のこと。 - 日付
挨拶状を送付する日付を記載する。「令和〇年〇月吉日」のように、具体的な日にちは書かないのが基本。 - 差出人
差出人の自社名、役職、氏名などを記載する。会社名は略さずに正式名称を書く。 - 宛先
挨拶状を送る相手の会社名、役職、氏名などを記載する。会社名は略さずに正式名称を書く。
頭語・結語について
取引先宛ての挨拶状など、フォーマルな文書では「頭語」と「結語」を入れるのが基本です。
- 頭語:「拝啓」「謹啓」など文書の初めに入れる言葉
- 結語:「敬具」「謹白」なお文書の締めくくりとして入れる言葉
頭語が「前略」なら「草々」、「拝啓」なら「敬具」と、頭語と結語は対になっているので、「きまり」を参考にすれば悩むこともありません。
場合 | 冒頭語 | 結語 |
---|---|---|
一般に目上へ | 拝啓 | 敬具 |
拝呈 | 敬具 | |
啓上 | 敬白 | |
返信の場合 | 拝復 | 拝答 |
復敬 | 敬答 | |
前文(季節の挨拶)省略の場合 | 前略 | 草々 |
一般的に、「前略―草々」は取り急ぎ内容のみ伝えたい場合に用いられる場合が多いため、挨拶やお礼で使用するのは控えた方がよいでしょう。
時候の挨拶について
フォーマルな文書では、頭語のあとに時候の挨拶を入れます。時候の挨拶とは、「新春の候」のような季節を感じられる言葉のことです。
時候の挨拶には「漢語調」と「口語調」の2種類があり、一般的にフォーマルな文書では漢語調の時候の挨拶を使用します。
- 漢語調の時候の挨拶:「新春の候」「初夏の候」のような硬めな言葉
- 口語調の時候の挨拶:「寒さやわらぐ季節となりました」のような話し言葉に近い言葉
定番の時候の挨拶を覚えておけば、どんな言葉を入れるべきか迷うことがなくなるでしょう。
月 | 季語(時候の挨拶) |
---|---|
1月 | 厳寒の候・新春の候 例年になく寒い毎日です |
2月 | 余寒の候・節分の候 梅のつぼみのふくらむころとなりました |
3月 | 早春の候・浅春の候 日増しに暖かさを加えるころとなりました |
4月 | 春暖の候・陽春の候 花の便りの聞かれるころになりました |
5月 | 新緑の候・立夏の候 若葉のすがすがしいころとなりました |
6月 | 初夏の候・梅雨の候 梅雨空のうっとうしいころとなりました |
7月 | 盛夏の候・大暑の候 夏空のまぶしいころとなりました |
8月 | 残暑の候・晩夏の候 暑さひとしお厳しい毎日です |
9月 | 秋涼の候・初秋の候 朝夕はしのぎやすくなってまいりました |
10月 | 秋冷の候・紅葉の候 日増しに秋も深まってまいりました |
11月 | 晩秋の候・深秋の候 夜寒の身にしみるころとなりました |
12月 | 初冬の候・歳末の候 今年も押しつまってまいりました |
季節を選ばない | 時下(安否を尋ねる) |
「盛夏の候」といった漢語の決まり文句は、形式的すぎるきらいがあるので仕事上の手紙には用いても良いのですが、若い人からの私信には不向きです。自分なりに季節に合わせて工夫するのもよいでしょう。
目的別の挨拶状の例文
ここからは目的別に内容のポイントと例文をご紹介します。
お礼状の例文
お礼状を作成するときは以下のポイントを意識し、何に対するお礼状なのかがわかるようにしましょう。
- 相手がしてくれたことについて記載する
- 感謝の気持ちを素直に表す
【例文】
拝啓 〇〇の候 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご愛顧を賜り厚くお礼申し上げます
さて 先日は弊社の製品をご購入頂き 誠にありがとうございました
〇〇の使い心地はいかがでしょうか
もし何かお気づきの点や疑問等ございましたら 担当の〇〇までいつでもご連絡ください
略儀ながら書中をもちましてお礼を申し上げます
またのご来店を心よりお待ちしております 敬具
新任・退任の挨拶状
異動や転勤などによる新任・退任の挨拶状は、以下のポイントを押さえて作成しましょう。
- 可能であれば異動日を記載する
- 新任する際には前任者の名前を記載する
- 退任する際には後任者の名前、自身の新任地を記載する
【例文】
拝啓 日増しに秋も深まってまいりました
平素は格別のご高配を賜り 厚くお礼申し上げます
2017年10月2日より◆◆が他部署へ異動となり 私●●が後任として担当させていただくこととなりました
よろしくご容認くださいますようお願い申し上げます
より一層皆様のご期待に沿うべく励む所存でございますので 何とぞ変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします
まずは略儀ながら書面をもちましてご挨拶申し上げます 敬具
事務所移転の挨拶状
事務所移転の挨拶状には、挨拶とともに以下のような移転先の情報を記載します。
- 移転日
- 新住所
- 電話番号・FAX番号(移転にともない番号が変わる場合)
【例文】
拝啓 〇〇の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご愛顧を賜り厚くお礼申し上げます
さて 〇月〇日より業務拡大に伴い弊社は下記の住所へ移転することとなりました
これを機に業務の充実や新サービスの開発に取り組み 皆様のご期待に添えますよう一層努力してまいる所存です
今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます
甚だ略儀ではありますが書中をもってご挨拶申し上げます 敬具
起業・開業の挨拶状
起業・開業の挨拶状では、挨拶とともに以下のような新会社をアピールする内容を記載しましょう。
- 「皆様のおかげで起業・開業できた」という感謝の旨
- 事業の開始時期
- 住所や電話番号などの情報
- 今後の意気込み
【例文】
謹啓 〇〇の候 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて この度皆様のご支援のもと新会社を設立し 令和〇年〇月〇日より業務を開始することとなりました
この日を迎えられましたことは 皆様の温かいご厚意の賜物と深く感謝するとともに 心より厚くお礼申し上げます
今後は皆様へのご奉仕に万全を期して努力してまいる所存ですので
何とぞご支援ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます 謹白
社長就任の挨拶状
社長就任の挨拶状は、以下のポイントを押さえて作成しましょう。
- 新たに就任した社長の氏名を記載する
- 今後の意気込みやお付き合いをお願いする内容を記載する
- 送り主は企業ではなく、社長個人にする
【例文】
謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて、私こと〇〇は ◯月◯日の株主総会ならびに取締役会において 代表取締役社長に選任され就任いたしましたのでここに謹んでご報告申し上げます
甚だ微力ではございますが 一意専心 社業の発展に全力を尽くす所存です
何卒 前任者同様格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもって就任のご挨拶を申し上げます 謹白
退職時の挨拶状
退職時にこれまでお世話になった方々に送る挨拶状には、以下のような内容を記載しましょう。
- これまでお世話になったことに対する感謝の気持ち
- 可能であれば退職日
【例文】
拝啓 〇〇の候 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
さて この度私こと〇〇は 一身上の都合により〇月〇日付けで株式会社〇〇を退職いたしました
在職中は公私にわたり色々とお世話になりましたことを厚く御礼申し上げます
皆様のお陰で大過なく勤めさせていただいたことを感謝しております
今後とも何卒よろしくご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます
まずは取り急ぎ書中をもちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます 敬具
問い合わせへのお礼を兼ねた挨拶状
顧客からの問い合わせに対し、お礼を兼ねた挨拶状を送る際には、以下のような情報をわかりやすく記載します。
- 問い合わせに対するお礼
- 担当者名と問い合わせ先
- 問い合わせ内容に対する今後の対応・流れ
【例文】
拝啓 〇〇の候 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
この度は当社の〇〇についてお問い合わせをいただき 誠にありがとうございました
株式会社〇〇の〇〇担当 〇〇と申します
さて お問い合わせいただいた〇〇についてですが 本日中に資料をお送りいたします
ご不明な点等ございましたら お気軽に下記の連絡先にお問い合わせください
季節の変わり目 どうぞご自愛くださいませ 敬具
挨拶状を書く時のマナー
失礼のない挨拶状を作成できるように、挨拶状を書く時のマナーについて理解しておきましょう。
ビジネスシーンでは縦書きが基本
ビジネスシーンで作成する挨拶状は、縦書きが基本です。レイアウトは以下の見本を参考にしましょう。
- 頭語
- 時候の挨拶
- 内容
- 結語
- 日付
- 差出人
- 宛先
横書きでも基本構成は同じ
最近はパソコンで挨拶状を作成したり、メールで送付したりする機会が増え、横書きの挨拶状を作成することも多くなっています。横書きの場合でも、縦書きの挨拶状と基本構成は変わりません。
ただし、横書きの場合は、日付・差出人・宛先などを本文よりも先に持ってくるのが一般的です。
- 日付
- 宛先
- 差出人
- 頭語
- 時候の挨拶
- 内容
- 結語
気軽な挨拶状ならハガキでも良い
転勤のお知らせなど気軽な内容の挨拶状の場合は、ハガキで作成しても問題ありません。
ビジネスシーンでの挨拶状の場合は、ハガキであっても基本構成は同じです。縦書きのレイアウトを参考に、挨拶状を作成しましょう。
親しい相手や、仕事上とプライベートのどちらでも付き合いがある相手などに送る挨拶状の場合は、後付けを省いてもかまいません。
句読点は使わない
挨拶状の文章には、句読点を使わないようにしましょう。句読点は「縁切り」を連想させるためです。
気にしない人もいるかもしれませんが、とくにビジネスシーンでの挨拶状を作成するときには、相手に失礼だと思われないよう注意しましょう。
挨拶状を出すタイミング
挨拶状を出すタイミングは、挨拶状の目的によって異なります。
- 新任・退任の挨拶状:新任・退任してから2ヶ月以内
- 事務所移転の挨拶状:移転の1ヶ月前まで
- 起業・開業の挨拶状:起業・開業の1ヶ月前まで
- 社長就任の挨拶状:社長就任後1週間以内
- 退職時の挨拶状:退職後すぐに(定年退職の場合は退職後3ヶ月以内)
- 問い合わせへのお礼を兼ねた挨拶状:できるだけ早く(遅くとも1週間以内)
挨拶状を出すタイミングが早すぎたり遅すぎたりすると、失礼だと思われることもあるので、目安の期間内に出すようにしましょう。
まとめ
文の言い回しを考えたり、決まりを覚えたりするのが難しい場合には、シーンに合わせたテンプレートを使って文章を編集して利用すると便利です。以下にテンプレート例を挙げていますので、参考にしてみてください。
しかし、一番大事なのは相手を思って文章を作成することです。失礼のない挨拶状を送って、円滑な人間関係を保ちましょう。
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