取引条件変更の文書と例文
取引条件とは、企業間で行われる業務の提供や商品の価格、納期、納入方法、支払方法や支払期限など、取引に関わる一連の条件のことを指します。
契約時に取り交わした条件で業務が進むことが基本ですが、時として、先方に条件変更を申し出ないといけない事象の生じることがあります。その場合は、取引条件変更の文書を提出することになります。特に支払条件などを改善したい場合などでは、先方を納得させるための事実を書き込んだ書類が必要です。
ここでは、それらについてケースごとに見ていくことにしましょう。
取引条件変更でトラブルが起きやすい項目と対処法
どのような条件変更でもそうですが、こちらの一方的な理由だけを伝えればよいというものではありません。取引先の事情なども考慮に入れながらお願いするといった姿勢が大切です。トラブルが起こりやすい条件変更について対処方法を列記していきましょう。
価格に関する変更
商品などを納入する側の場合、価格変更、つまり値上げは、先方にとっては経営計画自体が変わってしまう変更です。このような場合は、原材料の高騰や人件費の上昇などでやむを得ず価格を変更してもらいたいと申し出て先方に理解してもらうのがもっともスムースに交渉を進めるポイントです。逆に商品などを納入してもらう場合の価格変更、つまり値下げ交渉の場合、利益率の拡大のためというような「こちらの理由」は通用しないことは当然です。営業諸経費の高騰や価格競争の激化などを丁寧に説明して理解を求めるようにしましょう。ただし、先方に余裕がない場合は交渉が長引く場合もあります。また、最悪の場合は契約解除という事態も想定しておいたほうがいいでしょう。それくらいの覚悟を持って交渉に臨んでください。
締め支払など支払条件に関する変更
自社が支払を受ける側にいる場合、継続した取引でも、締め日の変更や支払方法の変更が出てくる場合があります。特に数十日先に設定された約束手形での支払を、翌月払いの銀行振込や小切手などの現金支払いに変更してもらいたいという変更の申し出はトラブルが発生する確率が高いものです。取引実績を元にした粘り強い交渉が必要でしょう。自社が支払う側にいる場合、支払日の延長などを安易に申し出るのは控えましょう。自然災害時の営業活動停止などによる売れ行きの激減など正当な理由があれば納得してもらえるでしょうが、そうでない場合は自社の信用まで失い、次回の納入がストップするというような最悪の事態を招いてしまう恐れもあります。正当な理由を真摯に述べて納得してもらうように心掛けてください。
契約内容に関する変更
当初取り交わした納品に関しての契約は守るべきものですが、不慮の事故や原材料の入手が遅れてしまった、あるいは、急激に需要が高まったため生産が追いつかないなどの理由で契約した納期に間に合わないという事態も考えられます。そんな時にはできるだけ早い段階で取引先に状況を説明して、新たに納品数や期日について取り決めます。しかし、生産現場の怠慢などによる遅延や品質低下などは正当な理由にはなりません。あくまでも予想外の出来事による事象によるものと限定してもいいでしょう。このような変更が生じた場合、口頭で伝えた後、速やかに、「取引文書」や「依頼書」など数多く用意されているテンプレートを活用して適切かつ真摯な態度の文書を送り、了承してもらいましょう。
依頼文書の参考例とテンプレート活用術
どのようなことであれ、取引条件を変更したいと取引先に依頼することは非常に気を使う仕事です。当然、こちらの要望を先方に納得してもらうための文書作りにも気を使います。そんな時には、極めて多く用意されているワード形式の「取引文書」や「依頼書」のテンプレートを活用しましょう。ケースに合わせて非常に多くの依頼書が用意されているため、適切なものを探し出すのに時間が掛ると感じるかもしれませんが、アレンジを加えれば適切なテンプレートが見つかります。活用範囲の広い「取引条件変更の依頼書」などを加工して使用するといいでしょう。
ちなみに、どんな場合でも変更理由はネガティブなものではなくポジティブなものにしましょう。テンプレートに記載されている例文をヒントにして文面を書き替えれば、品質低下などのネガティブな理由も、品質向上に向けたチェック体制の強化を図ったためというようにポジティブな理由にすることが可能です。
支払方法など支払条件を変更する時の依頼書参考例
現金決済を手形決済に変更したいとか、支払期日を変更したいなど支払条件の変更を依頼しなければいけないケースはしばしば起こるものです。そんな時は「支払条件変更のお願い」や「支払条件変更依頼書」などを活用して失礼のない文書を作成しましょう。テンプレートに記載された変更理由のコメントも適切な文書加工のヒントになります。
≫支払方法変更の依頼書008
契約内容を変更する際の依頼書参考例
災害や事故、原材料の入手遅延、需要の急拡大などやむを得ず納品数が減ってしまうこともあります。そのような時には『bizocean(ビズオーシャン)』でケース別に用意された「納期遅延のお詫び状」などのテンプレートを活用しましょう。変更理由やそれに対するお詫びを述べた後、新たな納品数や納期などを明記し、混乱を最小限に抑えるような構成で作成しましょう。
納品数を減らすときの文例
○○月○○日にご依頼いただいております商品についてのお詫びとご相談でございます。こちらの商品におきましては、大変ご好評をいただいており、当初予定しておりました納品数の確保が困難な状況になりました。そのため、現在納品が可能な数への変更のご依頼をさせていただきたく存じます。貴社のご要望に添うことができず誠に申し分けございませんが、納品数の変更をご検討いただけますと幸いです。 大変ご好評をいただいており、申し訳ありませんが当初予定しておりました・・・
≫取引条件変更の依頼書
≫価格の交渉状003
≫納期遅延のお詫び状001
交渉が成立したら覚書の作成や原本の変更を
取引条件の変更を申し出ればそれだけで、交渉がまとまったわけではありません。依頼をして交渉し、成立へという筋道を踏んでこそ取引です。取引先との交渉が成立したら覚書や契約文書に修正を施し、再度契約を締結します。交渉内容にもよりますが、一時的な変更であれば覚書を取り交わすことで成立しますが、以降の取引全般に亘った変更なら契約文書の再締結と考えておけばいいでしょう。下記にそれぞれの要点を列記しておきます。
覚書について
それまでの契約書に記載された条文のなかで変更する箇所を取り出し変更後の内容を記載し、それぞれの会社の社名、住所、代表者名を列記した文書を二部用意します。それぞれに社印を捺印して取り交わせば交渉成立です。『bizocean(ビズオーシャン)』に用意された「覚書雛形」などのテンプレートを利用すれば間違いのない文書が作成できます。
≫覚書雛形
原本を変更する際の手続き
原本を変更する場合は新たな条件に書き直した文書を二部用意したうえでそれぞれに社印を捺印すれば取引先との交渉は締結しますが、原本変更時には社内での稟議も必要になります。『bizocean(ビズオーシャン)』に用意されたテンプレートを活用して、社内での共通認識を確定させるようにしましょう。