【例文あり】稟議を上げる際の稟議書の書き方をケース別に紹介!
備品を購入したい場合や取引先と契約を結びたい場合、社内で稟議を上げる場合があります。このとき使うのが、「稟議書」です。
稟議を上げるのは「会議を開くまでではないが、検討してもらいたいこと」がある場合です。稟議書を社内で回覧し、決裁者から承認を得なければなりません。
そのため、稟議書は誰が読んでも分かりやすく、承認する意義があると思われるような書き方をしなければなりません。
稟議書の例文を「新規取引の契約」「備品購入」「システム導入の起案」の3つのケース別に解説します。
「稟議を上げる」とは
稟議(りんぎ)とは、社内で導入したい事柄が生じた際に、文書により決裁・承認を得る手続きのことです。
「会議を開くまでではないが、検討してもらいたいこと」がある場合に、実施されます。
この手続きには「稟議書」と呼ばれる書類を作成します。
そして、決裁者へ稟議書を提出することを、一般に「稟議を上げる」「稟議にかける」「稟議に回す」と言います。
稟議を上げる目的
稟議を上げる目的は、個人の判断だけでは解決できない事象が発生した際に、組織全体の合意を得ることです。
書面にまとめることで、組織内での認識の食い違いや情報の漏れを防ぎます。また、稟議を上げて対策に取り組み始めてからも、進捗状況の確認に使えます。
稟議書の計画どおりに進行しているかをチェックし、遅れがあればまた別の対策を考えられるでしょう。
稟議が必要な場面
稟議が必要になる主な場面は、次のようなケースが考えられます。
- 外部の企業と新規の契約締結
- パソコンや事務用品などの備品購入
- 従業員の採用
- エアコンや電話機といった社内設備の修理
- 広告宣伝費や接待費といった費用の申請
- 出張やそのスケジュールの申請
ただし、会社によって稟議のルールや稟議書の書き方は異なります。自社の規定や形式は、事前に確認しておきましょう。
【ケース別】稟議書の例文
ここからは、稟議書の例文を3つのケース別に紹介します。
- 新規取引の契約
- 備品購入
- システム導入の起案
どの企業でも使う機会が多いものばかりなので、ぜひ参考にしてください。
新規取引をするケース
新規取引契約の承認を得る際に必要な、稟議書の例文です。
令和〇年 〇〇月 〇〇日
〇〇部部長 〇〇 〇〇様
〇〇部 〇〇課
〇〇 〇〇 印
新規取引開始に関する稟議書
表題の件につき、ご承認いただきたくお願い申し上げます。
記
1.新規取引検討先:株式会社〇〇
2.主な事業内容:販売代理・営業代行
3.理由:
- 現在当社は首都圏を中心に自社製品の販売をおこなっているが、今後は
〇〇社との契約を通じて関西への販路拡大をはかり、売上20%アップを目指すため。 - 有力な販売代理店を3社に絞って検討したなかでも、最もコストパフォーマンスが良いうえに、トラブル対応や追跡サービスなどのアフターケアが高水準で充実しているため。
4.添付資料:株式会社〇〇の会社概要、販売代理店3社のサービス比較一覧
以上
新規取引の契約に関する稟議書を作成する際は、特に「契約の目的」「検討先の会社でなければならない理由(選定理由)」を具体的に記述しましょう。
読み手が契約のメリットを理解し、承認も得やすくなります。数字やデータを使って記載すると、より説得力が高まります。
備品購入をするケース
備品購入を願い出る際に必要な、稟議書の例文です。
令和〇年 〇〇月 〇〇日
〇〇部部長 〇〇 〇〇様
〇〇部 〇〇課
〇〇 〇〇 印
タブレット端末の購入に関する稟議書
表題の件につき、ご承認いただきたくお願い申し上げます。
記
1.品名・数量:××社製「aa001型タブレットWH」3台
2.価格:総額 14万1,000円(1台あたり 税込 4万7,000円)
3.購入理由・目的:
- 現状、営業先に関連資料をすべて携行できず、書類を厳選して持ち歩いた場合も6kgほどになっています。タブレット端末を導入できれば資料の持ち運びが容易になり、営業担当者の負担が大幅に削減できます。
- 営業先に資料を忘れる・必要なカタログが不足するといった非常時にも、タブレット端末なら対応が可能になります。
- 資料のプリントアウトが不要になるため、ペーパーレス化ができて印刷コストを15%削減できます。
- 営業回りの最中に、別件の確認作業も進められるため、概算で作業効率が20%アップすると見込まれます。
4.添付資料:「aa001型タブレットWH」商品カタログ、作業効率概算表
以上
備品購入に関する稟議書を作成する際は、「購入理由・目的」を詳しく記載して
ください。備品の詳細だけでは、購入の必要性がうまく伝わらない可能性があります。
現場で見られている課題や、購入することで期待できる会社側のメリットなども併記すれば、購入にも前向きになってもらえるでしょう。
システム導入をするケース
システム導入を起案する際に必要な、稟議書の例文です。
令和〇年 〇〇月 〇〇日
〇〇部部長 〇〇 〇〇様
〇〇部 〇〇課
〇〇 〇〇 印
セキュリティシステムの導入に関する稟議書
表題の件につき、ご承認いただきたくお願い申し上げます。
記
1.サービス名・数量:
××社 ××サービス「Aプラン」を営業部の外勤8名に導入
2.費用:年額 48万円(1名あたり利用料 税込6万円)
3.導入理由:
【導入によるメリット】
- 新規セキュリティシステムの導入により、業務効率が改善され、作業工数を従来の60%に削減できる見通しです。
- クラウド型のシステムに変換することにより、管理コストは年間約20万円削減可能となります。
【導入によるデメリット】
- モバイル端末で閲覧可能な顧客データが増加するため、情報漏洩のリスクが高まります。(※ただし、導入が実現した際は、データ取得権限の制限およびセキュリティ教育を実施予定です)
- 添付資料:作業工数削減一覧、管理コスト概算表
以上
システム導入を起案する稟議書を作成する際は、正確かつ偏りのない記載を意識しましょう。
新規システムを導入する際、既存システムとの兼ね合いがあったり、新たにリスクが生じたりする場合も珍しくありません。
そういった懸念点もあらかじめ伝えておくことで、稟議はもちろん、導入決定後もスムーズに進行できるはずです。
「導入によるメリット・デメリット」といった項目を立てて記載すると、分かりやすくなります。
稟議を上げる順序
稟議書を上げるフローは、次のとおりです。
- 発案者が稟議書を作成する
- 上長へ稟議書を申請する
- 役職の低い人から高い人へ回覧・承認をとる
なお、実際に稟議を上げて承認されるまでには、一定の時間がかかるものです。稟議に上げたいことがある場合は、早めに準備を進めてください。
稟議のメリット・デメリット
稟議を上げることには、メリット・デメリットの両方が存在します。
これから解説する点も踏まえて、稟議を上げるかどうかを判断してください。
メリット
稟議を上げるメリットは、以下の3点です。
文書のため事実確認がしやすい
稟議は要望を書面化しておこなうため、事実確認がしやすくなっています。
口頭で伝えるよりも情報の不足がなく、社内での認識のすり合わせもしやすくなるでしょう。
稟議に上げて承認された要望に対応していてトラブルや不具合があった場合も、後から稟議の内容を見直して対策ができます。
組織の課題整理がしやすくなる
稟議により、組織の課題整理に取り組みやすくなります。
現場の課題に優先度を付けられて、対策も効率よく進められるでしょう。まだ上層部が把握していない、新たな課題も発見されるかもしれません。
書面で承認をとるため会議の必要がない
稟議は書面上で決裁者の承認を得るため、会議や説明会を開く必要がありません。
課題解決にかかる時間や労力が、大きく削減できるでしょう。
デメリット
稟議を上げることには、以下のようなデメリットもあります。
承認までに時間がかかる
稟議では複数の決裁者の承認を順番に得ていくため、全員から承認を得るまでに時間がかかるケースが少なくありません。
特に大規模な組織では確認する人数が多くなり、それぞれの意見調整にも時間が必要になるでしょう。
スピーディーな判断が欲しい場合には、不向きかもしれません。
情報漏洩のリスクがある
稟議書には、機密性の高い情報が含まれる場合があります。不適切な取扱いや不正アクセスがあった場合、情報が漏れるかもしれません。
承認段階でも複数の決裁者が関与するため、慎重な管理が必要です。
責任の所在が不明瞭になる
稟議は複数人が関わるものである分、誰が最終的な責任を負うのかが不透明なまま進行するケースもあります。
承認された後に問題が発生しても、対応が困難になったり、決裁者の「責任逃れ」が生じたりする可能性もあります。
まとめ
稟議書は、社内のさまざまなシーンで求められることのある書類です。稟議書を読む人数によっては、承認されるまでに時間がかかることもあります。
読み手がスムーズに内容を理解し、承認の判断ができるよう、明確かつ説得力のある書き方を意識してください。
もしうまく書く自信がない場合は、今回紹介した例文を参考にするのもおすすめです。