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領収書の但し書きとは? 正しい書き方と注意点を解説【税理士監修】

領収書の但し書きとは? 正しい書き方と注意点を解説【税理士監修】

領収書の但し書きは、経理処理や税務対策において重要視される項目です。しかし、但し書きについて、よく分からないという方もいるのではないでしょうか。但し書きの正しい書き方や注意点を知らないと、思わぬトラブルを招く可能性があります。

本記事では、領収書の但し書きの意味や役割、正しい書き方や注意点について、様々なケースを引き合いに出しながら詳しく解説します。


この記事の監修者
  税理士・米国税理士・認定心理士 

領収書の但し書きとは

領収書の但し書きは、支払いの内容や取引した品目を記載する項目です。正しく記載することで、経費処理がスムーズになり、税務調査時のリスクも軽減できます。

以下では、但し書きの定義と役割、必要性と法的効力について解説します。

但し書きの定義と役割

但し書きは、領収書に記載される項目の一つです。但し書きには主に、支払内容の明確化、経費処理の根拠提供、そして税務調査時の証拠としての機能があります。

通常の役割は、領収書の「合計金額」の近くに「但し○○代として」という形式で記載され、支払いの内容を具体的に示すことです。

領収書に但し書きが必要な理由

領収書の但し書きは経費処理の面において、支出を適切な勘定科目に振り分けるための判断材料となります。税務調査の際に取引においても、正当性を示す重要な証拠です。具体的な内容が記載されていることで、支出の必要性や業務との関連性を説明しやすくなります。

但し書きがない、もしくは正確に支払い内容が記載されていない場合、経費として認められない可能性があるので注意しましょう。

但し書きと法的効力

但し書きに期待できるのは、領収書の法的証拠能力を高める効果です。領収書の但し書きが明確に記載されていることで、取引内容の証明、紛争時の証拠としての機能が高まります。

トラブルの解消法の一つとして、適切かつ分かりやすい内容で記載するようにしましょう。


領収書の但し書きの正しい書き方

領収書の但し書きを正しく記載することは、経理処理や税務対策の面で重要です。ですが、どのように但し書きを記載すれば良いのでしょうか。

ここでは、但し書きの基本的な記載フォーマットと、避けるべき表現について解説します。

基本的な記載フォーマット

領収書の但し書きの基本的なフォーマットは、「〇〇代として」という形式で具体的な内容を記載することです。例えば、「書籍代として」や「飲食代として」、「交通費として」などと記載します。

また、但し書きの具体的な記載は、経費の適切な計上と税務調査対策に不可欠です。例えば、「事務用品代として」よりも「コピー用紙代として」のように、より具体的に記載したほうが良いでしょう。

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避けるべき表現

領収書の但し書きでは、曖昧な表現や漠然とした表現は避けましょう。「お品代」「雑費」「諸経費」といった曖昧かつ漠然とした表現を使用すると、経費として認められにくいです。

支出内容が不明確で、業務への関連性や必要性を説明しにくい表現は避けるようにしましょう。


【業種別・用途別】領収書の但し書きの書き方例

ここまで但し書きの基本について解説してきました。しかし、領収書の但し書きは、業種や用途によって適切な記載方法が異なります。

以下では、一般的な商品購入、飲食費、旅費交通費、消耗品・備品の各ケースにおける具体的な記載例を紹介します。

一般的な商品購入の場合の書き方

一般的な商品購入の場合、但し書きには購入した商品名や用途を明確に記載する必要があります。具体的な記載例は以下の通りです。

  • 文房具代(ボールペン10本)として
  • パソコン周辺機器代(外付けHDD)として

上記の例のように、商品名に加えて数量や具体的な品目を記載することで、支払い内容がより明確になり、経費処理もスムーズになるでしょう。

飲食費の場合の書き方

飲食費の但し書きは、1人当たりの金額が重要となるため、目的と併せて参加人数を明記しましょう。取引先の人と会食した際は、信頼性の観点から、取引先の名義と会議の内容を記載するのが望ましいです。飲食費の但し書きの記載例は、以下の通りです。

  • 会議費(昼食代4名分)として
  • 取引先接待(夕食代3名分)として

旅費交通費の場合の書き方

旅費交通費の但し書きは、交通手段や出張目的を具体的に記載することが重要です。これにより、その支出が業務に関連した費用であることを明確に示すことができます。

旅費交通費の但し書きの記載例は、以下の通りです。

  • 東京出張交通費(新幹線往復)として
  • 取引先訪問代(タクシー代)として

消耗品・備品の場合の書き方

消耗品・備品の但し書きは、品目と用途を明記し、消耗品か備品かを区別できるようにする必要があります。消耗品・備品の但し書きの記載例は、以下の通りです。

  • 事務用消耗品(コピー用紙5箱)として
  • 備品(オフィスチェア5脚)として

インボイス制度下での領収書の但し書きの書き方

2023年10月1日から開始されたインボイス制度により、領収書の但し書きの記載方法にも変更が生じています。仕入税額控除を適用させるには、領収書形式の適格請求書における但し書きについて十分な理解が必須です。

ここでは、インボイス制度下での但し書きの要件と、適格請求書としての領収書における記載事項について解説します。

インボイス制度における但し書きの要件

インボイス制度下での但し書きは、従来よりも取引内容を詳細に記載し、税率ごとに品目を区分することが求められます。複数品目を取引した場合は、軽減税率対象品目と標準税率対象品目を明確に区分して記載してください。

適格請求書としての領収書における但し書きの記載事項

インボイス制度下で但し書きを記載する時は「軽減税率の対象品目である旨」といった新たな記載事項に注意しましょう。以下が具体的な記載例です。

  • 弁当代(軽減税率対象)として
  • 文具代(標準税率対象)として

適格請求書についてより詳しく知りたい方は、下記の記事を参照してください。


特殊なケースにおける領収書の但し書きの書き方

通常の取引とは異なる特殊なケースでは、但し書きの記載方法に特別な注意が必要です。

ここでは、相殺取引と電子記録債権の2つのケースにおける但し書きの書き方を解説します。これらのケースでは、適切な但し書きを記載することで、印紙税の回避に繋がるので参考にしてください。

相殺取引の場合の但し書きの書き方

相殺取引とは、双方の債権と債務を打ち消す形で行われる取引のことです。「相殺金」と明記して取引の詳細を記載することで、印紙税が不要になる可能性があります。

この際、但し書きには「相殺金」という表現を使用します。例えば「○○代金との相殺金として」というように記載しましょう。

電子記録債権の場合の但し書きの書き方

電子記録債権の但し書きには、電子記録債権であることを明記しましょう。そうすることで相殺取引と同様に、印紙税の課税を避けることができます。

「上記金額を電子記録債権で受領しました」というように明記してください。


経理処理における但し書きの重要性

領収書の但し書きは、単なる形式的な記載ではなく、経理処理において重要となる部分です。経理担当者や税務調査官は、但し書きを見て支出の正当性を判断します。

ここでは、但し書きによる適切な経費計上と、税務調査時における但し書きの役割について詳しく解説します。

但し書きによる適切な経費計上

正確な但し書きは、適切な勘定科目への振り分けをする上で重要な要素です。経理担当者は但し書きに記載されている取引内容や品目を確認して、適切な勘定科目に振り分けます。

例えば、交際費、旅費交通費、消耗品費というように振り分けなければならないため、領収書の但し書きはできるだけ何に使用したお金か明確に記載しましょう。

税務調査時の但し書きの役割

但し書きは、税務調査時に取引の正当性を示す重要な証拠となります。税務調査官が、領収書の但し書きを確認し、その支出が本当に事業に必要なものだったかを判断する可能性があるからです。具体的な但し書きがあることで、経費としての必要性や業務の関連性を説明しやすくなります。


正しい領収書の書き方で適切な経費処理をしよう

本記事では、領収書の但し書きの定義や役割、正しい記載方法、特殊なケースでの対応まで幅広く解説しました。適切な但し書きは、正確な経理処理と税務対策の基礎です。具体的で明確な但し書きを心がけることで、スムーズな経理処理と税務調査対策が可能となります。

現在では、適格請求書となる領収書を受領するケースや、電子記録債権を取引するケースも増えてきています。そのため記載法を揃えたい場合や、記載漏れを防ぎたい方は、ビズオーシャンの「領収書テンプレート」を活用してみてください。ツールを効果的に導入しながら、適切な経費処理のために但し書きの正しい記載を心がけましょう。


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監修者プロフィール

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竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士

上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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