こんにちは。資料作成アドバイザーの山橋美穂です。前回は、資料を作成する過程でいかに「構成」が大切かをお話致しました。
もちろん、「構成」はプレゼンテーション全体としても大変重要です。同じ内容でも、構成が良いプレゼンテーションと悪いプレゼンテーションでは、聞き手の理解度合い、そして惹きつけ度合いが違います。構成が悪い、つまり流れがぎこちないプレゼンテーションは、聞き手に「今この人は何の話をしているのだろう?」と思われてしまいます。理解するのに時間を要する内容であればある程、プレゼンターと聞き手の間に距離が生まれます。そして、距離が離れれば離れる程、聞き手はそのプレゼンテーションに飽きてしまうのです。前回同様、小説で例えてみると、ストーリーの展開が不自然で、話がまとまっておらず、主人公の話なのか脇役の話なのかが分かりづらい小説を読んでいたとします。皆さんはその小説にのめり込めるでしょうか。読んだ後に「面白かった」という感想を持てるでしょうか。内容が面白かったとしても、構成が困難で読みづらい小説は「読みづらかった」という印象を強く与えてしまいます。よく、「引き込まれるように一気に読んだ」というような言葉がありますが、引き込まれるように一気に読める小説というのは、ストーリーの展開が自然でかつ面白い小説です。面白いかどうかは内容によりますが、最低限話しが流れるようにスムーズであることが、聞き手や読み手を引き込ませる条件となります。
では、実際にどうやって構成を作っていくか、今回と次回のコラムでは構成の作り方についてお教えしようと思います。
まず、プレゼンテーションやプレゼンテーション資料作成を勉強中の方には必ず念頭に置いていて欲しいことがあります。それは「論理的な構成を組む」ことです。「論理的」というと難しいかもしれませんが、最初は「話の流れがスムーズかどうか」を意識するだけで構いません。分かりやすい展開の資料を作れるようになったら、前後関係や内容の論理性を気にしてみて下さい。
では、「分かりやすい展開」とは何か。ここで重要になるのが、「プレゼンテーションの“テーマ”は何か」ということです。この「プレゼンのテーマ」を、間違えて捉えている人が非常に多いです。一番最初にテーマを固定しない限り、構成なんて組めません。
皆さんは、何のためにそのプレゼンテーションをするのでしょうか。今一度、真のテーマを考えてみて下さい。商品の良さを伝えるためですか。他社との違いを知らせるためでしょうか。もしそうなのだとしたら、それは違います。その商品、またはアイデア・企画などを「買ってもらう」ためにプレゼンをしているはずです。
もちろん、「プレゼンテーション」=「買ってもらう」だけではありません。単純に発表するだけの場合もありますし、資料のみでいうならば、研修資料や紹介資料などもあります。その、プレゼンテーションや資料の本当のテーマをしっかりと認識し、そのテーマを果たすための構成作りをしていってください。
テーマがはっきりすれば、それに沿って分かりやすい展開で構成を作成します。童話を思い出してください。童話って、実に分かりやすいですよね。例えばハッピーエンドの英雄物語である「桃太郎」。
「桃から生まれた桃太郎は、真っ直ぐとスクスク育つ」→「鬼が島の鬼たちが悪さをしていると聞き、鬼退治を決意」→「おばあさんがきび団子を持たせてくれる」→「途中で3匹の動物に出会い、きび団子と交換に仲間になる」→「桃太郎と3匹の動物が力を合わせて鬼を退治」→「鬼が持っていた宝物を持って無事に帰宅」→「みんなで幸せに暮らす」
とても分かりやすい展開です。
次回のコラムでは、実際に「Aという商品を買ってもらう」ための構成を作ってみたいと思います。
セミナー情報
タイトル
1日で習得 綺麗で分かりやすいプレゼンテーション資料作成内容
元外資系証券会社のプレゼンテーション資料作成チームで働いていた資料作成コンサルタントが、たった1日で資料作成に必要な基礎知識を全て教えます。基礎編(1)「資料作成の基本 3つのルール」
基礎編(2)「資料作成に必要なPowerPointの機能レクチャー」
基礎編(3)「資料作成に必要なExcelグラフの作り方」
中級編「論理的な資料を作る為の幹となる「構成」の作り方」
演習編「様々なスキーム図、グラフの作成」