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第3回 【建設業決算変更届※事業年度終了後の変更届(決算報告)】の書き方について

著者:行政書士つばさ綜合事務所 行政書士  松野 和樹


【既存事業者】建設業の許可を受けている業者が必要な書類作成に役立つコラム
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 【建設業決算変更届※事業年度終了後の変更届(決算報告)】の書き方について

事業報告書※事業年度終了後の変更届(決算報告)

工事の完成工事高を確定する。

まず、税務署に申告した損益計算書をご用意ください。
その損益計算書に記載された売上高について、工事の売上高以外のものが含まれている場合は、その金額を除いてください。
例えば、建設業以外に物品販売の事業を行っている場合には、物品販売の売上は完成工事高からは除外し、「兼業事業売上高」に計上します。
一見、建設業の売上高に関係しそうなものでも、剪定、調査、点検、部品の交換等は原則として完成工事高とはなりませんのでご注意ください。

各業種の完成工事高を計算する

次に、③様式第3号 直前3年の各事業年度の工事施工金額の作成を行います。
まず、①で確定した完成工事高について、各業種の売上高を確定させます。
例:A建設の完成工事高
・完成工事高全体 10,000千円
内訳として
・内装工事 8,000千円
・大工工事 2,000千円
さらに、元請け(公共工事、民間工事別)と下請け別に完成工事高を確定します。
・内装工事 元請工事(公共工事 2,000千円、民間元請1,000千円)
      下請工事 5,000千円
・大工工事 全て下請工事 2,000千円
というような流れで詳細を確定します。
なお、③様式第3号 直前3年の各事業年度の工事施工金額は許可を受けた業種についてのみ記載し、許可を受けていない業種の売上高がある場合は一番右の欄にある「その他の建設工事の施工金額」に記載をします。
上記の例でA建設が大工工事の許可は受けていない場合
・大工工事 2,000千円
は全て一番右の欄にある「その他の建設工事の施工金額」に記載をします。

許可を受けていない工事をしてよいのか?という点ですが、
・建築一式以外の工事は一件の請負代金が500万円未満の工事(消費税を含んだ金額)
・建築一式工事については、一件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税を含んだ金額)か請負代金にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事(主要構造部が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供するもの)
の工事については許可を受けなくともできる工事になります。

工事経歴書を作成する

最後に②様式第2号 工事経歴書を作成します。
この書類は許可を受けている業種毎に作成する必要があります。
なお、Ⅱで説明をした許可を受けていない工事については作成不要です。
ⅰ)記載しなければいけない工事
経営事項審査(公共工事を発注者から直接請け負おうとする業者が必ず受けなければならない審査)を申請する場合と申請しない場合では記載方法が異なります。
今回は申請しない場合の方法を説明いたします。
まず、完成工事(10件程度か完成工事高の7割)について、請負代金の大きい順に記載します。
次に、未成工事について、請負代金の大きい順に記載します。

記載する際の注意点

ア)工事名について

「○○邸 内装工事」のように現場名+工事の名称について記載します。
工事の名称については、該当する業種と整合性が取れているか確認してください。
例えば、内装工事の工事経歴書を作成しているのに、「○○邸 大工工事」のような工事の名称を入れないようにしてください。
その場合は大工工事の工事経歴書に記載するか、許可のない業者でしたら「その他の工事施工金額」となり工事経歴書に記載しないことになります。
また、「○○邸 改修工事」の件名で受注した場合は、内装工事なのか?工事の名称だけでは分かりません。
このような場合、どのような工事を実際に施工したのか?見積書や仕様書で確認した上で工事の振り分けをするようにしてください。

イ)工事現場のある都道府権及び市区町村名について

この欄には工事の現場について○○県○○市まで記載します。○○県のみでは足りませんのでご注意ください。

ウ)配置技術者について

建設業許可を受けている業者は元請、下請にかかわらず、工事施工の技術上の管理をつかさどる者として、工事現場に必ず主任技術者を配置しなければなりません。

また、発注者から直接工事を請け負い、3,000万円(建築一式の場合は4,500万円)以上を下請契約する場合は特定建設業許可が必要になり、この場合、主任技術者にかえて監理技術者を配置しなければなりません。
これを前提に説明いたします。
まず、監理技術者を配置するケースは、「特定建設業許可」を持っている業者で、発注者から直接工事を請け負い、3,000万円(建築一式の場合は4,500万円)以上を下請契約する場合のみです。
該当する工事がある場合は、監理技術者にチェックを入れて配置した監理技術者の名前を記載してください。
それ以外の工事は配置した主任技術者の名前を入れます。

・国家資格等を保有している方
・実務経験を有する方(一般的に10年、卒業学科等で異なる)
のみです。(詳細は許可行政庁へ確認してください)
誰でもなれるわけではないのでご注意ください。

さらに、配置する主任技術者は、建設業許可の条件で必要な「専任技術者」と兼任することは原則としてできません。例外として営業所と工事現場が近接している場合など認められるケースもありますが、各都道府県によって詳細が異なります。
(詳細は許可行政庁へ確認してください)
なお、主任技術者、監理技術者は「公共性のある工作物に関する重要な工事」については工事現場ごとに専任でなければならないとされています。
(建設業法第26条第3項)

「公共性のある工作物に関する重要な工事」とは、請負金額が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上で、国および地方自治体が発注する工事、鉄道、道路、学校、工場、デパートなど、多数が利用する施設などの工事で、個人住宅を除き、ほとんどの工事が対象となります。
結果として、請負金額が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)のほとんどの工事は工事の期間中、配置された主任技術者、監理技術者は他の工事の主任技術者、監理技術者になることができません。
さらに、このような工事では営業所の専任技術者が主任技術者になることはできませんのでご注意ください。

<続く>

提供元:ドリームゲート

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著者プロフィール

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松野 和樹

行政書士つばさ綜合事務所 行政書士

許可手続きを単に代行するだけでなく、許可手続完了後も許可を維持するためのサポートを行うことが大きな特徴です。会社設立から建設業許可はもちろんのこと、公共工事受注に必要な経営事項審査のコンサルティング、電子入札の格付けまで、建設業に関する制度全般を幅広くサポートしています。

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