協賛金の勘定科目はどうする? 知っておきたい仕訳方法をパターン別に徹底解説!
協賛金の勘定科目に迷った経験はありませんか?多くの経理担当者が、協賛金の取り扱いで誤った判断をしてしまうことがあります。
名称だけで科目を決めてしまうと、税務上の問題を引き起こしかねません。しかし、正しい内容の理解と適切な仕訳を行うことで、経理ミスを防ぎ、安心して処理が行えるようになります。
この記事では、協賛金の勘定科目と具体的な仕訳方法を、専門家の意見を交えながら分かりやすく解説します。この記事を読めば、協賛金の取り扱いで迷うことはなくなるでしょう。ぜひご覧ください。
協賛金の勘定科目と仕訳:支払った場合
協賛金の趣旨や目的としては、以下のようなものが考えられます。
- 宣伝効果があるものに、自社の宣伝をしていく(広告宣伝費)
- 宣伝効果はないものの、協賛金を募集している事業者との関係を良好にしたい(接待交際費)
- 宣伝効果はないものの、地域の自治体や団体等との良好な関係を築きたい(寄付金)
- 宣伝効果はないものの、自社が加入している団体へ協賛金という名目で会費を支払う(諸会費)
ここでは、協賛金を支払った場合の勘定科目と仕訳について紹介します。
①広告宣伝費
広告宣伝費とは、不特定多数の者に対して、自社の会社名や商品の宣伝効果を期待して支出する費用です。ネット広告や、新聞のチラシ広告、パンフレット、テレビCMなどがあります。
自社の会社名がアピールできるイベントへの協賛や、自社の商品をアピールできる展示会などへの協賛など、その協賛金の支払いが広告宣伝となる場合には、広告宣伝費として処理します。
広告宣伝費となる場合、その費用は全額損金(経費)となります。また課税仕入れとなるため、消費税の仕入税額控除の対象となります。
例えば、ゲーム大会のイベントに50万円の協賛金を支払い、ネット広告や会場に企業の名前を表示できる場合は、以下のように仕訳を行います。
借方 |
貸方 |
摘要 |
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---|---|---|---|---|
広告宣伝費 |
500,000円 |
普通預金 |
500,000円 |
ゲーム大会協賛金 |
②交際費
交際費は、得意先や取引先との関係を良好するための接待や贈答のために支払った経費です。得意先などが行うイベントや催し物に対して協賛金の支払いの依頼があるものなどが該当します。
得意先とのよい関係を維持するために協賛金を支払う必要があるものの、広告宣伝効果は期待できないといったものです。協賛金の支払い理由が、得意先や取引先との関係を良好にするための支出であることから、交際費として処理します。
接待交際費となる場合、その費用は下記の場合には損金(経費)となります。また不課税仕入れとなるため、消費税の仕入税額控除の対象になりません。
交際費となる場合、資本金1億円以下などの一定の要件を満たす中小企業であれば年800万円まで損金となります。例えば、得意先がイベントでスポーツ大会を開く際に5万円の協賛金を支払うのであれば、以下のような仕訳を行います。
借方 |
貸方 |
摘要 |
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---|---|---|---|---|
交際費 |
50,000円 |
普通預金 |
50,000円 |
スポーツ大会協賛金 |
③寄付金
寄付金は、企業が地域との関係をよくするために、地域の花火大会やお祭りなどのイベントに対して協賛金を支払った場合に選択します。支払先が得意先などの事業関係者の場合には、取引をよくするための支出ということで交際費として計上が可能です。
しかし、支払先が自治体やNPO法人や社会福祉団体などの地域団体の場合には、事業との関連性が低いため事業とは関連のない支出ということになり、通常寄付金として処理します。
事業に関係ないというのがポイントで、団体の活動場所で企業名が広告されるなど宣伝目的の場合は広告宣伝費として処理します。
寄付金となる場合、法人は、その費用は一定の額が損金(経費)と認められる場合があります。個人事業主の場合、寄付金は費用となりません。また、不課税仕入れとなるため、消費税の仕入税額控除の対象になりません。
例えば、地方団体が主催するゴルフ大会に対して、5万円の協賛金を支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
摘要 |
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---|---|---|---|---|
寄付金 |
50,000円 |
普通預金 |
50,000円 |
ゴルフ大会協賛金 |
④諸会費
諸会費とは、自社が加入する団体等に支払う経費です。宣伝効果が得られないものの、自社の事業と関係のある関係団体等に協賛金という名目で協賛金を支払う場合は、諸会費として処理します。
諸会費となる場合、その費用は全額損金(経費)となります。また不課税仕入れとなるため、消費税の仕入税額控除の対象になりません。
協賛金の勘定科目と仕訳:受け取った場合
ここでは、協賛金を受け取った場合の勘定科目と仕訳例について紹介します。
①雑収入
協賛金が本業以外の収益と判断する場合に、雑収入として処理します。仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
摘要 |
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---|---|---|---|---|
普通預金 |
20,000円 |
雑収入 |
20,000円 |
協賛金 |
②事業収入
ホームページへの掲載や会費など、協賛金が事業にかかる収入である場合には、売上(事業収入)として処理します。売上(事業収入)として計上するときの仕訳例は、以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
摘要 |
||
---|---|---|---|---|
普通預金 |
20,000円 |
事業収入 |
20,000円 |
協賛金 |
③寄付金収入
学校法人などでは、寄付金収入を、寄付金収入として計上する場合があります。中小企業などの場合は、受け取った協賛金は雑収入もしくは事業収入(売上)とするのが一般的です。
④協賛金収入
協賛金の管理などを目的として、協賛金からの収入であることを明らかにしたい場合は、協賛金収入の科目を追加できます。協賛金収入として処理する場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
摘要 |
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---|---|---|---|---|
普通預金 |
20,000円 |
協賛金収入 |
20,000円 |
協賛金 |
協賛金の消費税の取り扱い
協賛金の消費税の取り扱いについては、勘定科目によって変わるため注意が必要です。協賛金の課税対象になる条件は、取引の対価性があるかどうかです。
例えば、イベントの主催者が得意先で交際費に該当する場合や、地方団体への協賛で寄付金と判断できる場合には、対価性がないので消費税は課税されません。しかし、広告宣伝などの対価がある広告宣伝費は、課税対象となります。
協賛金の勘定科目についてのまとめ
協賛金は使い道によって勘定科目が異なります。仕訳の方法によって損金算入の金額は変わるので、勘定科目について正しい理解が大切です。
この記事を参考に、協賛金の勘定科目や仕訳方法を理解して、適切に処理を行いましょう。
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