レターパックの勘定科目は? 仕訳例や消費税の扱いについて解説
事業で使用するレターパックを購入したときに使用する勘定科目は、「通信費」と「貯蔵品」の2種類が考えられます。
どちらを選ぶかによって、購入時・使用時・決算時の仕訳が異なるため、一連の仕訳を理解した上で選択することが重要です。
本記事では、レターパックの購入時の仕訳方法を、ケース別に解説します。
インボイスをわかりやすく解説した特集はこちらです。
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レターパックの仕訳と勘定科目
レターパックとは日本郵便による郵便サービスの1つです。専用の封筒を使って発送するもので、入れるものの厚みに応じて370円・520円のどちらかを選んで使います。
会計処理も2種類あり、状況によって勘定科目も変わります。
購入時に通信費として計上する方法
1つ目の会計処理方法は「購入時に通信費として計上する方法」です。購入時に通信費として計上しているため、使用時の仕訳は不要です。
ただし、期末に未使用のレターパックが残っていた場合は、その振り替え処理が必要です。このケースでの仕訳の手順をまとめると、以下のとおりです。
- 購入時に「通信費」の勘定科目で仕訳をする
- 期末に「通信費」から「貯蔵品」へ振り替えをする(未使用の在庫がある場合)
- 期首に「貯蔵品」から「通信費」へ振り替えをする
それぞれのケースを、順に見ていきましょう。
(例)10月1日にレターパックを5,200円分、現金で購入した。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
通信費 |
5,200 |
現金 |
5,200 |
(例)期末を迎えたが、10月1日に購入した520円のレターパックが3枚、在庫として残っていた。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
貯蔵品 |
1,560 |
通信費 |
1,560 |
(例)期首を迎えた。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
通信費 |
1,560 |
貯蔵品 |
1,560 |
購入時に資産として計上する方法
2つ目の会計処理は「購入時に資産として計上する方法」です。
レターパックを、在庫として保有するために購入する人もいるでしょう。その場合は、以下の手順で処理してください。
- 購入時に「貯蔵品」の勘定科目で仕訳をする
- 使用時に「通信費」の勘定科目への振り替えをする
実際の仕訳例で見ていきましょう。
(例)10月1日に、520円のレターパックを30枚、在庫として現金で購入した。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
貯蔵品 |
15,600 |
現金 |
15,600 |
(例)10月3日に、520円のレターパックを2枚使用した。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
通信費 |
1,040 |
貯蔵品 |
1,040 |
使用時に振り替えを行うのは、使った分のレターパックの費用と会計上の記録を一致させるためです。つまり、在庫として購入したものを実際に使用した事実を記録します。
レターパック代を仕訳するときの注意点
レターパックの仕訳自体は難しくはないものの、消費税には注意が必要です。購入する状況や場所によって、扱い方が変わるためです。
消費税の取り扱いに注意
レターパックや郵便切手類の消費税は、通常、使用時に課税仕入れとされます。
なぜなら、レターパックは「購入した専用封筒で配達してもらう」というサービスであり、封筒を購入しただけではこのサービスは行われていないためです。
ただし、この考え方では、税務処理がとても手間になります。
そこで消費税法では、使用を目的にレターパックを継続して対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合に限って、購入時の課税仕入れとして処理することを認めています。
そのため実務上は、レターパックなどの郵便切手類を購入時の課税仕入れとして処理することが一般的です。
レターパックの購入場所によって課税対象が異なる
ただし以下のとおり、購入場所によっては購入時に課税対象になる場合があります。
非課税対象になる |
課税対象になる |
---|---|
|
|
郵便局やコンビニでの購入が非課税対象になっている理由は、消費税法上、日本郵便株式会社やその委託業務を行う施設または郵便切手類販売所等が行う、郵便切手類の譲渡のみ非課税取引と定められているからです。
レターパックの勘定科目に関するよくある質問
最後に、レターパックの勘定科目で疑問に思う人が多い点を解説します。
個人事業主がレターパックを経費にする場合の勘定科目は?
法人ではなく個人事業主がレターパックを経費にする場合も、仕訳方法は変わりません。購入時に「通信費」、または「貯蔵品」で計上し、使用した分は「通信費」、在庫分は「貯蔵品」に計上されるように振り替えます。
レターパックでの商品発送に関する勘定科目は?
通常は「通信費」を使います。しかし、何らかの商品を発送する際に使用した場合は、「荷造運賃」という勘定科目で処理しなければなりません。
通信費と荷造運賃は混同されやすい勘定科目ですが、以下のように考えると区別しやすいでしょう。
- 通信費:領収書や請求書といった書類を送る際に使用する
- 荷造運賃:販売した商品を送る際に使用する
機械的に処理するのではなく、どちらに該当するかを判断してから仕訳をしてください。
レターパックの勘定科目についてまとめ
レターパックは購入時には非課税扱いですが、使用する際に課税対象となるため、仕訳処理に注意が必要です。また、用途や購入頻度だけではなく、購入した場所や発送するものによっても、勘定科目が変わります。
管理表を作るといった工夫をして、正確な管理に努めてください。
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