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FP&Aとは? 求められる理由や仕事内容・必要スキル・資格を紹介

監修者:株式会社dacsfirm 取締役  下川 貴一朗

FP&Aとは? 求められる理由や仕事内容・必要スキル・資格を紹介

近年は外資系企業のみならず、日系企業でもFP&Aが注目され、採用されるケースが多くなりました。FP&Aとは企業の財務状況などを通じて、経営陣のビジネスパートナーとして機能する職種です。

この記事では、経営に関わる人材配置をしたい経営陣に向けて、FP&Aが注目される理由や仕事内容を解説します。

また、この記事の後半部分では、FP&Aに求められるスキルや役立つ資格を紹介しましたので、ぜひ最後までご覧ください。


FP&Aとは

FP&A(Financial Planning & Analysis)は、企業の財務状況を把握し、経営陣の意思決定を支援する職種です。

企業の財務や会計に関する深い理解を基に、経営戦略の策定などに必要な情報を収集・分析し、適切な意思決定を支援します。

次の章では、会計業務における財務会計と管理会計、FP&Aの人材ニーズが日本で高まっている理由を解説します。

財務会計と管理会計

会計業務は企業の運営においてとても重要で、主に財務会計と管理会計の2つに分類されます。

財務会計は、ステークホルダーに対して自社の財務状態を明らかにする役割があります。ステークホルダーには株主や債権者、取引先などを含みます。

一方の管理会計は、経営者が企業を効果的に運営するための内部的な会計システムです。事業活動の計画や実行、評価などの管理上の意思決定を支援するために利用されます。

財務会計は社外向けの会計で、管理会計は社内向けの会計とイメージするとよいでしょう。

日本企業から注目される理由

日本でFP&Aが年々注目される背景には、コーポレートガバナンス・コードの導入が挙げられます。

コーポレートガバナンス・コードは、企業の長期的な持続可能性や、株主価値の向上に資する規範となる原則や指針を表したものです。

2015年6月、金融庁と東京証券取引所が策定し、適用が開始されました。

コーポレートガバナンス・コードは今までに何度か改訂が実施されており、企業はステークホルダーに対する説明責任を果たすべく、より明確で高度な財務計画と分析を求める傾向があります。

したがって、FP&A人材の役割がますます重要になっています。


FP&Aが担う仕事内容

FP&Aが担う仕事内容をまとめました。

  • 現状分析
  • 経営戦略や財務計画の策定
  • 経営陣への提言と意思決定の支援

現状分析

現状分析は、経営戦略や財務計画策定の事前準備で重要なプロセスです。

経営陣が定めた目標の達成に向けて、現状とどの程度のギャップがあるのか、ギャップを埋めるためにどのような戦略や施策を実行しないといけないかは、現状分析の精度に大きく左右されます。

FP&Aは財務情報をメインに分析すると考えられがちですが、分析の精度を高めるためには財務面だけではく、事業面なども分析しなければなりません。

また、自社の分析だけではなく、競合や顧客、社会、経済といった外部にも着目しましょう。

経営戦略や財務計画の策定

現状分析を基に、目標達成を可能とする経営戦略や財務計画を策定します。

特に、FP&Aにとっては財務計画(財務モデル)の策定が重要です。経営陣に財務計画を提示し、経営陣が適切な意思決定を下せるよう、精度の高さと明確な計画がなければなりません。

損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書といった財務三表が相互にリンクした合理的なモデルを策定すればよいというものではなく、KGI(重要業績発生目標)やKPI(重要業績評価指標)、その他計画の中心となる項目が、分かりやすく整理されている必要があります。

経営陣への提言と意思決定の支援

策定した戦略や計画を経営陣に提言し、企業価値や株主価値の向上に寄与するような意思決定を下せるように支援します。

また、策定した戦略や計画が経営陣から承認され実行段階に移行したあと、その戦略や計画が予定通り上手くいっているか、実績との差異はどのくらいありその要因は何かなど、策定後のモニタリングもFP&Aの重要な仕事です。


FP&Aに求められるスキル

FP&Aに求められるスキルを紹介します。

  • 財務や会計の深い知識
  • ビジネスパートナーとしてのビジネス能力
  • ハイレベルなソフトスキル

ぜひ参考にしてください。

財務や会計の深い知識

FP&Aは企業の経営状況を正確に理解し、経営層に適切にアドバイスするため、財務や会計に関する深い知識が必要です。

また、財務報告だけでなく、予算策定や収益予測のアップデートなどの経営企画スキルも重要です。

企業の財務状況を包括的に分析し、その結果を基に経営戦略や財務計画を策定、ブラッシュアップします。

ビジネスパートナーとしてのビジネス能力

FP&Aには、経営陣のビジネスパートナーとして相応のビジネス能力が求められます。

したがって、財務などの一部の担当領域の知識や経験のみならず、事業や組織、顧客、競合などに対する総合的な理解が必要不可欠です。

また、経営陣だけでなく、投資家や債権者などステークホルダーの期待値を正確に把握し、適時適切なフィードバックを提供することも重要です。

ハイレベルなソフトスキル

FP&Aは財務計画や分析能力だけではなく、以下のような優れたソフトスキルが必要です。

  • 社内外の人間関係の構築
  • コミュニケーション能力
  • 問題解決能力

特にFP&Aは経営陣のビジネスパートナーとしても機能するため、良好な人間関係を築く力を求められます。

また、業績の予測や計画の立案などを行うため、問題解決能力や判断力も重要視されます。

語学力

FP&Aに限ったことではありませんが、外資系企業に所属していたりステークホルダーに日本語を話せない外国人がいる場合、英語などの語学力は必須となります。

また、企業の特色や事業の状況に応じて、対象市場の言語を理解し、より精度の高い分析や適切な意思決定を可能にしなければなりません。

ITスキル

企業の経営戦略の策定や意思決定の支援において、具体的な情報を分析するためにITスキルを大いに活用します。

特に、WordやExcelなど、基本的なソフトウェアは自由自在に使えるようにならなければなりません。

また、データ分析ツールの使用経験や、複雑なソフトウェアを扱う能力などが求められるでしょう。

ITスキルを身につけることで、データを効率的に分析し、その結果を経営陣やステークホルダーと共有しやすくなります。


FP&Aの業務に役立つ資格

FP&Aの業務に役立つ資格をまとめました。

なお、資格はあくまで自分の能力を客観的に示すだけで、優れたFP&Aであるかどうかは、ビジネスパートナーとしてのビジネス能力の高さに左右されます。

MBA

MBA(Master of Business Administration)は、ビジネス管理に関する包括的な知識とスキルを修得する大学院レベルの学位で、FP&Aの職務を遂行するうえで有用な資格です。

MBAのプログラムには次のようなものが含まれており、FP&Aの仕事との関連性も高いです。

  • 経済学や経営学
  • マーケティング
  • 財務
  • 人事
  • 管理情報システム管理

USCPA

USCPAは米国公認会計士の資格で、米国の会計基準(US GAAP)に関する深い理解と知識が必要です。

グローバルな規模で事業を展開する企業にとって、USCPAの有資格者は財務・会計、ある程度のビジネス英語の読解力において信頼できる専門家と見なされています。

USCPAの資格を持つFP&Aは、戦略的な決定を下す際の信頼性や影響力を高められるでしょう。

公認会計士

公認会計士は会計や監査の専門家で、高度な財務や会計の知識と理解を証明します。

財務状況を監査して企業の信頼性を証明する業務は、公認会計士の独占業務です。その他にも、税務やコンサルティングなどの幅広い業務内容があります。

つまり、公認会計士は企業の健全な経済活動を支える中心的な存在ですので、FP&Aと非常に相性の良い資格です。


FP&Aについてのまとめ

FP&Aは企業の財務がどのような状況になっているかリサーチし、経営陣のビジネスパートナーとしての役割を担う職種です。

高度な財務・会計の知識やビジネス能力が求められるため、企業にとって非常に良い影響を与える人材になるでしょう。

この記事を参考にしながら、経営陣の皆様はFP&A人材の採用を考えてみてはいかがでしょうか。


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監修者プロフィール

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下川 貴一朗

株式会社dacsfirm 取締役

国内中堅証券、監査法人系コンサル、独立系FA・PEファンドを経て、2019年12月より現職。得意領域は経営戦略の立案・実行・管理の全般。

常勤先の株式会社キャムでは、取締役としてコーポレート・マーケティングの2部門を新設し、現在はマーケティング部門を管掌。

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