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原契約とは? 使う場面や現契約や本契約との違いを押さえよう

原契約とは? 使う場面や現契約や本契約との違いを押さえよう

契約書のなかで用いる「原契約」とは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。

特に同じ「げんけいやく」と発音する「現契約」とは、混同してしまう人も多いでしょう。

本記事では、原契約の概要や、使用する場面、原契約との違い、注意点などを解説していきます。

企業法務について学んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。


この記事の監修者
  行政書士、申請取次行政書士 

原契約とは

原契約とは、最初に交わした契約を意味する言葉です。

契約は、更新することで期間を延長したり、覚書によって内容の一部が変更されたりすることがあります。

そのような変更や修正などが行われていない、最初に結んだ時点での内容を原契約といいます。


原契約を使用する場面と意味

ここでは、原契約が用いられる代表的な場面と、それぞれの場面における意味を紹介します。

契約内容を変更した

契約の内容を覚書などで変更する場面では、変更前の契約を指して原契約といいます。

覚書とは、当事者間が合意した事柄を記載した簡易的な契約書であり、一度結んだ契約の内容を変更・修正する際にも用いられます。

覚書を用いて契約内容の変更をおこなうとき、変更前の契約は原契約と呼ばれます。

覚書には、原契約から変更があった箇所だけを記載するのが一般的です。

契約を更新した

契約期限を迎える契約を更新する場合、更新前の契約を指して原契約といいます。

契約期間以外の内容に変更がなくても、更新前の契約と、更新後の契約を区別する必要がある時、更新前の契約は原契約と呼ばれます。

個別・基本契約を締結した

原契約は、基本契約と同じ意味で使われることもあります。

契約のなかには、個別契約と基本契約がセットになっている場合も多いです。

個別契約とは、個別の取引のたびに結ぶ契約のこと、基本契約は、以降に結ぶ個別契約に共通する項目を定めた契約を指します。

基本契約を最初に結んでおけば、個別契約のたびに同じ内容を確認しあう手間を、省くことができます。

この基本契約のことを指して、原契約と呼ぶ場合があります。


原契約と現契約の違い

原契約と似た言葉として「現契約」があります。

どちらも「げんけいやく」で読み方が同じなため、混同されることが少なくありませんが、意味は全く異なります。

現契約とは、「現時点で有効な契約」を指す言葉です。契約内容や契約期間が変更された場合、変更後の内容が現契約となります。

変更前の契約は原契約であるため、読み間違えるとまったく異なる意味になってしまいます。


原契約における注意点

ここでは、現契約における注意点として、以下の3点を紹介します。

  • 複数回の更新や変更がある場合
  • 原契約の内容と本契約で矛盾が起きる場合
  • 契約書の法的効力

それぞれ見ていきましょう。

複数回の更新や変更がある場合

実際の取引では、一つの契約を何回も更新、または変更する場合があります。

この場合に「原契約」とはどの契約を指すのか、厳密な規定はありません。

よって、最初の契約を「原契約」と認識したり、最新の契約の一つ前を「原契約」と認識したりなど、人によって異なる場合も出てきます。

契約当事者の間で「原契約」の認識が異なると、トラブルに発展する可能性も出てくるため、契約当事者間では、きちんと共通した定義を規定しておく必要があります。

原契約の内容と本契約で矛盾が起きる場合

原契約を締結した後に、個別契約を締結したり、覚書を作成したりする場合があります。

この場合、個別契約や覚書の内容と、原契約の内容に矛盾する事項が記載されることも少なくありません。

契約当事者間で、矛盾する事項は原契約を優先するのか、あるいは個別契約・覚書を優先するのかを決めておかないと、トラブルに発展する可能性があります。

トラブルを未然に防ぐためには、例えば個別契約・覚書に、「個別契約(覚書)の規定が原契約に反する場合は個別契約(覚書)が優先する」などの文言を入れておく必要があります。

契約書の法的効力

法的効力において、契約書と覚書のあいだに優劣はありません。

基本契約、個別契約、覚書など、取引を行う際に相手方と交わす書面には、多くの種類があります。

表題だけを見れば、覚書よりも基本契約の方が、また基本契約よりも個別契約の方が、法的効力が高い印象を与えます。

しかし、いずれも相手方と合意した契約内容が記載され、両当事者が署名・捺印した文書ですから、法的には立派な「契約書」になります。

表題の違いは問題ではなく、両当事者が記載された内容に合意したものであることが重要です。


原契約についてのまとめ

「原契約」は、最初に交わした契約を指す言葉です。

場面によって意味するところが異なり、さらに「現契約」と混同されることもあるため、混乱を招きやすい表現でもあります。

契約書で「原契約」を用いる際には、どの契約を指しているのかを明記し、誤解が生まれないようにすることが重要です。


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監修者プロフィール

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井上 通夫

行政書士、申請取次行政書士

行政書士(平成18年度行政書士試験合格)、申請取次行政書士(令和2年1月取得)。

福岡大学法学部法律学科卒。大学在学中は、憲法・行政法ゼミ(石村ゼミ18期生)に所属、新聞部編集長を務める。

卒業後、大手信販会社や大手学習塾等に勤務し、平成20年7月に福岡市内で行政書士事務所を開業、現在に至る。

現在の業務は相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、会社設立、公益法人(社団・財団法人)関連業務、在留資格業務など。福岡県行政書士会所属。

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