ホワイトカラー・ブルーカラーとは? 仕事内容や将来性、給与面での違い
ビジネスで用いられるホワイトカラーやブルーカラーは、色ではなく業種や職種を分ける言葉です。
ホワイトカラーは事務職や専門職などの頭脳労働を指し、豊富な知識が求められます。それに対して、ブルーカラーは製造業や建設業などの肉体労働を意味します。
この記事では、人事やキャリアプランを学ぶ企業の社員に向けて、ホワイトカラーとブルーカラーの概要や職種例、特徴などを解説します。
また、記事の後半部分では、ホワイトカラーとブルーカラーの将来性や、これら以外の職種をわかりやすくまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
ホワイトカラー・ブルーカラーとは?意味と由来
ホワイトカラー(白い襟)はワイシャツを指し、事務作業といったスーツを着用して働く職業を意味します。それに対して、ブルーカラー(作業服)は、作業着を着用する肉体労働全般の職業を指します。
言葉の誕生にはイギリスの産業革命が関係しており、1800年代のヨーロッパやアメリカなどでは一般的に使用されていました。産業革命をきっかけに肉体労働の需要が高まり、ブルーカラーが増加したのです。
また、1950年前後には、第二(第三)次産業の需要が高まり、ホワイトカラーの職業が広がりました。それぞれの職業の需要の増加とともに、ホワイトカラーやブルーカラーが一般的な言葉として定着します。
ホワイトカラー・ブルーカラーの職種例
ここからは、ホワイトカラーとブルーカラーの職種例を紹介します。
ホワイトカラーの職種
ホワイトカラーに該当する職業の一部を、紹介します。
- 管理職
- 研究職
- プログラマーなどのソフトウェア作成者
- 弁護士や司法書士などの法曹
- 金融や保険、経営などの専門職
- 記者や作家
- 受付や秘書などの一般事務職
- 小売店などでの販売店員
- 金融業の従事者
ブルーカラーの職種
ブルーカラーに該当する職業の一部は、こちらです。
- 製造業
- 建設業
- 農林水産業
- 鉱山資源を採掘する鉱業
- トラック運転手などの運輸業
- インフラや自動車整備などのサービス業
ホワイトカラー・ブルーカラーの特徴
ホワイトカラーとブルーカラー、それぞれの仕事内容の特色を解説します。
ホワイトカラー:頭脳労働
ホワイトカラーはデスクワークなどの頭脳労働ですので、身体的に安全な業務内容が多いのが特徴です。現場作業がメインのブルーカラーとは異なり、労働災害が少ないでしょう。
また、ホワイトカラーでは専門知識や高度なスキルを求められる職種が多いため、平均賃金はブルーカラーより高いことがポイントです。
しかし、金融業や管理職など、ブルーカラーの職種よりも長時間労働が多くなる傾向があります。
属人性の高い業務に従事する従業員は代替が難しく、業務内容の高度化により却って多忙になることもあるためです。
また、仕事上の重責や人間関係などで大きなストレスを抱えたり、精神的な疲労を感じる人も多いでしょう。
ブルーカラー:肉体労働
ブルーカラーは肉体労働と一部技能が必要ですが、ホワイトカラーのような専門的スキルや、高度な知識が不要なケースが多いでしょう。
また、資格試験をサポートする企業が多いため、未経験からでも始めやすいのが特徴です。
例えば、トラックの運送業に勤めながら、大型二種免許の獲得を目指すケースが考えられます。免許を取得するまでは普通免許でも運転できるトラックで勤務できます。
勤務先の免許取得の支援制度を利用すれば従業員の金銭的な負担が減るうえ、企業側にとっても、長期的な戦力になるでしょう。
ただし、3Kと呼ばれる体力的に厳しい仕事は、若い人達に避けられる傾向にあります。
例えば、運送業や建設業などでは人手不足が常態化し、社会問題となっています。
ホワイトカラー・ブルーカラー以外の〇〇カラー
ホワイトカラーやブルーカラーなどと似たような言葉が、いくつかあります。
- グレーカラー
- ゴールドカラー
- メタルカラー
- ピンクカラー
- シルバーカラー
- オレンジカラー
- グリーンカラー
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
グレーカラー
白と黒の間の色を意味するグレーカラーは、頭脳労働か肉体労働かに分類しにくい職種を指します。
1900年代に起きた大規模な技術革新により、頭脳労働と肉体労働が混合した職種ができたのがきっかけです。
具体的には、製造業や建設業の管理職などが挙げられるでしょう。
ゴールドカラー
ゴールドカラーは企業に属さず、高度な専門知識や管理能力、さまざまなスキルを用いた頭脳労働を指します。
ゴールドカラーは、アメリカの経営学者のロバート・E・ケリーが提唱した造語です。
具体的には、次のような職種が該当します。
- 経営者
- 各種コンサルタント
- 研究職
- 技術開発のスペシャリスト
メタルカラー
メタルカラーは、ブルーカラーよりも高度な専門性とクリエイティブさが求められる職種を指します。
ノンフィクション作家兼ジャーナリストの山根一眞によって、メタルカラーは提唱されました。
メタルカラーに当てはまる職種の一部を紹介します。
- 人工知能の開発者
- ITなどの最先端技術の開発者や研究者
- 鉄鋼や自動車、半導体製造業などの開発者や研究者
ピンクカラー
ピンクカラーは女性が多い職種を指しています。社会評論家のルイーズ・カップ・ハウが提唱した造語です。
具体的には、看護師などの看護業務や託児業務が当てはまります。
ピンクカラーの職種には華やかさがあり、女性に人気があります。
しかし、実際には低賃金や長時間労働など、多くの課題が残っている職種が多いです。
シルバーカラー
シルバー世代の「シルバー」から成り立つシルバーカラーは、65歳以上の人たちが対象のサービスや福祉業務の職種を表します。
具体例の一部を紹介します。
- 老人ホームの従業員
- 高齢者向けの医療サービスや宅配サービス
- デイサービスの従業員
- 訪問介護の従業員
- 介護職全般
オレンジカラー
オレンジカラーは、ホワイトカラーやブルーカラーに属さない働き方を指す場合と、具体的な職種を指すケースの2パターンに意味が分かれます。
- 働き方を指す場合:趣味を仕事にするという意味
- 職種を指す場合:携帯ショップや家電量販店などの販売店員
グリーンカラー
グリーンカラーは環境に関連する職種に従事する人のことを指します。
具体的には、リサイクル事業やエネルギー開発、林業などで働く従業員が当てはまります。
ホワイトカラー・ブルーカラーの将来性
ここからは、ホワイトカラーとブルーカラーの将来性について解説します。
ホワイトカラーの将来性
ホワイトカラーの仕事内容は、大きく変わることが予想されます。AIの発達により、定型化された業務はAIが代替するようになるためです。
一般事務などの単純作業は将来的に不要となり、それらの業務に携わる人は仕事を失う可能性があるでしょう。
一方、専門性の高い仕事や創造的な仕事ができる人には、引き続き需要があります。
また、AIなどの技術革新の進展に伴い、AI開発者やシステムエンジニア、プログラマーなどの需要は現在よりも強くなるでしょう。
ブルーカラーの将来性
ブルーカラーの仕事も、需要が高まる職種と低下する職種が出てきます。
工場労働者は産業ロボットなどの機械化によって、減少傾向です。
また、農業や漁業などに携わる人も長期的に見て減少しており、第一次産業、第二次産業は今後も需要は低下するでしょう。
一方、建設業や運輸業などは人手不足が恒常化しており、働き方改革による長時間労働の是正により、人材の需要はより高まると予想されています。
ブルーカラーは労働条件が厳しく人気がない職種も多いため、今後とも一定の需要が見込めます。
(出典:国勢調査 産業)
ホワイトカラー・ブルーカラーについてのまとめ
ホワイトカラーは頭脳労働を、ブルーカラーは肉体労働を指します。
グレーカラーやゴールドカラーなどの似たような言葉もありますので、それぞれの意味や違いを把握しましょう。
従業員にやりがいを持たせるためにも、企業側は適切な人員配置や教育、社内制度の支援が大切です。