イノベーションとは?定義や成功している企業の特徴を解説
ビジネスにおけるイノベーションとは、今までにない新しい技術・取り組みで社会に大きな影響を与えることです。
この記事では、イノベーションに成功している企業の特徴に触れながら、イノベーションの種類やその概要を紹介します。
新規事業の開拓や、従業員の意識付けなどについて調べている方はぜひ参考にしてください。
ビジネスにおけるイノベーションの定義とは?
ビジネスシーンにおけるイノベーションとは、新しい取り組みや技術によって、社会にこれまで存在しなかった価値を創造することです。
日本では「技術革新」と訳されることもある単語ですが、ビジネスにおけるイノベーションは技術の進歩だけではなく、社会に大きな影響を与える革新的なアイデアやシステムなどを指します。
例えば、自動車やスマートフォンなどは、普及によって人々の生活スタイルや価値観などが一変したプロダクト・イノベーションの代表例です。
イノベーションは必ずしも新しい技術が必要なわけではなく、異なる分野の技術・サービスなどとの掛け合わせなどによって誕生するケースもあります。
イノベーションが注目される背景と理由
日々変化する市場に対応するために、企業は働き方や企業の方針などを柔軟に変えていく必要があります。
ここでは、企業規模や業種などに関わらずどのような企業にも当てはまる、イノベーションが必要とされる背景や理由をまとめました。
労働人口の減少や働き方の改革
少子高齢化の進行により、日本の労働人口は減少傾向にあります。
企業は限られた人材で安定した生産性を確保しなくてはならないため、状況によっては業務プロセスやビジネスモデルなどを根本から見直す必要があるでしょう。
また、近年の働き方改革により、企業は従業員の労働時間・業務負荷の軽減といった配慮も求められています。そのためには、従業員ひとりひとりの生産性向上が不可欠であるため、イノベーションによる改革に取り組む企業が増加しています。
イノベーションによる企業の成長
イノベーションによって業務成績が急激に向上し、市場での確固たる立場を築くケースは少なくありません。既存の方法や考え方にとらわれず、社会が求める新しいサービスや製品を提供することで、企業の成長に結び付けられるでしょう。
ライフスタイルや価値観が多様化している現代、新しく生まれてきたニーズを察知し、それに対応していくことが成長の鍵となります。
イノベーションに成功している企業の特徴
時代が求める価値を提供し続けるために、イノベーションは企業にとって必要不可欠です。しかし、日頃の取り組みや考え方、風潮などによってはイノベーションが起きづらい企業もあります。
ここでは、イノベーションが成功しやすい企業の特徴を項目ごとに紹介します。
DXを推進している
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、デジタル技術を用いて社会に新たな価値をもたらすことです。
2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。従来の「デジタル化」「デジタライゼーション」などとは異なり、企業内の取り組みだけでなくビジネス全体をデジタル技術で改革する意味があります。
DXは今後のビジネスシーンに大きく影響を与えるといわれており、実際に多くの企業がDXを軸に企業運営を行っています。また、自社以外の知識・技術などを取り入れて製品やサービスを開発するオープンイノベーションにおいてもDXは欠かせない要素であり、並行して実施するケースも多いようです。
過去の成功体験にとらわれない
過去の成功体験にとらわれすぎると、時代の需要や市場の変化に気付けず「イノベーションのジレンマ」に陥ってしまうこともあります。
イノベーションのジレンマとは、既存顧客のニーズを満たすことを重要視しすぎた結果、時代の変化による隠れた需要に気づかず、新たな製品・サービスに市場を奪われる現象のことです。
すでに自社で成功した商材がある場合、既存顧客のニーズを追いすぎると時代の需要を見極められない可能性があります。顧客のライフスタイルや価値観、市場の変化を正確に捉え、新たなアイデアを受け入れたり検討したりする姿勢を保つことが大切です。
心理的安全性が確保されている
「心理的安全性」とは、従業員ひとりひとりが、チームや組織の中で率直な意見を言いやすい状態のことです。
心理的安全性が低い組織は、多くの意見が集まりづらかったり、発言する人が偏ってしまったりと、新たなアイデアや対立する考えなどが生まれづらい特徴があります。
心理的安全性が確保されている組織は、個人の価値観や能力を尊重し合い、お互いに刺激を与えながら意見を交わせるため、スピーディーに目標を達成できるメリットがあります。市場の変化が激しい昨今のビジネスシーンでは、スピード感を持って課題を解決するために心理的安全性の大切さが認識されつつあります。
イノベーションが起こりやすい場が整っている
イノベーションは、会議や打ち合わせなどオフィシャルな場より、日常会話などの何気ないコミュニケーションから生まれることがあります。
イノベーションを起こすためには、オープンレイアウトの執務ルームやマグネットスペース(人が自然に集まる場所)、居心地のよい休憩スペースなど、従業員のコミュニケーションを促進するオフィス環境を整えることも大切です。
また、打ち合わせで訪れた外部の人も利用しやすいオフィスカフェなど、企業外部・内部を問わずコミュニケーションできる場所を設けるのもよいでしょう。偶発的なコラボレーションや新たなアイデアが生まれるかもしれません。
イノベーションの種類
イノベーションの内容は製品やサービスだけではなく、市場の開拓やシステムの確変など、さまざまなものがあります。
ここでは、3人の学者が提唱する代表的なイノベーションの種類をまとめました。
シュンペーター「5つのイノベーション」
シュンペーターは、イノベーションは製品やサービスだけではなく、それらを含む5つの方法があると提唱しました。
プロダクト・イノベーション
「プロダクト・イノベーション」とは、今までにない新たな製品・サービスを開発することです。
革新的な製品を開発して差別化を図る「商品イノベーション」、利便性の高い素材や部品などを開発する「素材・部品イノベーション」などが挙げられ、製品そのものの革新を意味します。
プロセス・イノベーション
「プロセス・イノベーション」とは、製品の生産やサービスを提供する過程や工程において、革新を起こすことです。
製品そのものは変化しませんが、ベルトコンベアやAIロボットの導入など、業務プロセスを抜本的に改善し、生産性や効率性を向上させる取り組みを指します。
マーケット・イノベーション
「マーケット・イノベーション」とは、新たな市場や消費者を開拓することです。既存の製品・サービスでも、これまでとは違う市場に向けて展開することで、新たな価値やニーズが生まれることもあります。
例えば、ゲーム業界がテレビゲームからスマホゲームへ移行したことで、どこでも暇つぶしにゲームを楽しめるようになり、幅広い層を新たに顧客として取り込みました。
サプライチェーン・イノベーション
「サプライチェーン・イノベーション」とは、製品の製造の過程で、原材料やその供給ルートなどを新たに確保することです。
流通業者や仕入業者などを見直したり、提携の方法を変更したりすることで、効率化やコスト削減、生産性の向上などを目指します。
オーガニゼーション・イノベーション
「オーガニゼーション・イノベーション」とは、組織やシステムに革新をもたらし企業や業界に大きな影響を与えることです。組織運営の方法を根本的に見直すことはもちろん、社内ベンチャー制度の導入など、新しい組織の実現を意味します。
クリステンセン「イノベーションのジレンマ」
「イノベーションのジレンマ」とは、クリステンセンが著述した企業経営の理論のことです。
クリステンセンは、企業が成長を続けるためには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」の2つの性質を理解し、適切に使用することが重要だと提唱しました。
持続的イノベーション
「持続的イノベーション」とは、既存の製品・サービスを、既存顧客の要望に沿って改良していくことです。性能や利便性などの改善は行うものの、基本的には方向性やコンセプトなどは大きく変えずに価値の向上を目指します。
例えば、車や電化製品、化粧品などは年々性能がアップグレードされ、トレンドに合うものが発売されていることでしょう。製品やサービスなどを扱う企業は、市場の変化によって持続的イノベーションを繰り返し、消費者に求められるものを開発しています。
破壊的イノベーション
「破壊的イノベーション」とは、既存の市場のルールを破壊し、今まで見過ごしていたところに焦点を当てて新しい価値を創造するイノベーションのことです。破壊的イノベーションには2種類あります。
ひとつ目は、値段が比較的高くて新規参入が難しいとされている市場に、低価格で利便性の高い製品・サービスを展開する「ローエンド型破壊的イノベーション」です。
ふたつ目は、圧倒的な技術やアイデアによって開発された新製品を既存市場に展開する「新市場型破壊的イノベーション」があります。
どちらも既存企業のシェアが大幅に低下するなど、市場に大きな影響を及ぼしてきました。
ドラッカー「イノベーションのための7つの種」
ドラッガーはイノベーションを成功させるには7つの視点があるとし、以下の項目を提示しました。
- 予期せぬもの
- ギャップ
- ニーズ
- 産業構造の変化
- 人口構造の変化
- 意識の変化
- 発明発見
これらは上からイノベーションが創出しやすい順に並べられています。
市場調査をする際は、「注目していなかった市場に予期せぬビジネスチャンスはないか」「市場のニーズと提供されている製品にギャップはないか」など、項目に沿って仮説を立てるとよいでしょう。
まとめ
イノベーションとは、革新的なアイデアやシステムなどによって、社会に大きな影響を与えることです。
企業が成長を続けるには、社会や市場の変化に対応するために、製品・サービスや組織、業務プロセスなどを根本的に改革しなければならないタイミングがあります。
自社や自社製品の現状に満足しすぎず、イノベーションの種類や成功するための視点などを参考に、市場調査や分析を続けることが大切です。
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