クレドとは? 企業が導入するメリットや作成方法を解説
クレドとはラテン語で志や信条などの意味を持ち、企業の価値観や従業員への行動指針などを示した言葉です。
自社にクレドを導入すると、従業員のモチベーションアップや、競合他社との差別化につながる利点があります。
今回はクレドの概要や導入するメリット、具体的な作成方法、事例などをまとめました。
経営層の方は、本記事が自社でクレドを作るきっかけになるはずですので、ぜひ最後までご覧ください。
クレドとは
クレドとはラテン語で志や約束、信条という意味を持ち、企業活動が拠り所とする価値観や行動指針を表現した言葉です。
アメリカの大手企業ジョンソン・エンド・ジョンソンが考案し、世界中で広がりました。
クレドと経営理念は同じような意味合いですが、クレドは従業員への共有や浸透などを意識して使われており、経営理念よりも業務活動や行動に応用しやすいでしょう。
クレドを作り、企業の従業員一人ひとりがクレドを周知することで、従業員の主体性アップや育成によるモチベーションアップにつながります。
クレドを導入するメリット
クレドを導入するメリットを4つ紹介します。
1.従業員の意識が変わる
クレドを導入すると、従業員の意識改革につながり、モチベーション向上を期待できるでしょう。このサイクルが循環すると人材育成にも効果的で、企業の長期的な利益獲得も期待できます。
また、組織のコンプライアンス遵守にもつながるのもポイントです。クレドを規律の遵守や行動改革などの目的で導入する企業も少なくはありません。
2.企業の理念やゴールが明確になる
クレドは企業理念やゴールが明確化され、目的達成するための行動が細かくわかるようになっています。
クレドは企業や従業員の努力の方向性を示しているためです。抽象的になりやすい企業の経営理念に対して、クレドは企業や従業員が何をすべきかを明確にしてくれます。
3.他社との差別化につながる
クレドは従業員のモチベーションアップや行動指針を示しているため、独自サービスや事業のアイディアが思い浮かび、他社との差別化も図れるでしょう。
また、クレドによって高い意識を持って働く従業員が多い分、企業の競争力も強化され、業界全体のよい方向へ向かっていきます。
競争力が高い企業には優秀な人材が集まるということも期待できます。
4.組織内のパフォーマンス向上に期待ができる
先述の通り、クレドは従業員のパフォーマンス向上に期待ができます。
また、組織やチーム内で共通の行動指針や価値観を共有するため、個人のパフォーマンス向上のみならず組織全体でのパフォーマンス向上も期待できます。
クレドの作成方法
クレドの作成方法を5つにまとめました。ぜひご覧ください。
プロジェクトチーム編成
まず、クレド作成はプロジェクトチームの編成から始まります。経営層だけではなく、従業員もチームメンバーに加えるのが、効果的なクレドを作成するコツです。
経営と現場の両方の声を反映させたクレドができるでしょう。クレドを作る理由やスケジュール間隔、目標などを決めます。
経営層と従業員へヒアリング
アンケートなどを用いて経営層と従業員へヒアリングしましょう。立場によってクレドに対する思いが違うためです。
- 経営層:経営理念を具体的な行動指針として落とし込む
- 従業員:従業員たちが企業に対してどのように考えているか
なるべく具体的にヒアリングすると、精度の高いクレドが出来上がります。
クレド作成
経営陣と従業員からヒアリングした内容をもとに、クレドを文章化しましょう。従業員の行動指針になりますので、ビジネスで用いる契約書のような書き方ではなく、わかりやすく簡潔な文章で書くことを意識するとよいです。
イメージのしやすさや自分事と思えるような言葉選びがポイントです。
フィードバック
作成した文章を経営層と従業員に見せ、どのように感じたかフィードバックをもらいましょう。
思い描いていたクレドと差異はないか、会社と経営層、従業員が共通意識をもって頑張れるかどうかが注目のポイントです。
社内広報
社内広報を通じて、完成したクレドを会社全体で共有しましょう。
クレドは作成して終わりではなく、具体的な行動指針をすべての従業員に理解してもらい、日々の業務に役立てることが目的のためです。
クレドの注意点
クレドの注意点を3つにまとめました。
作成して終わりにしない
効果的なクレドを作っても、全従業員に浸透しなかったり、指針に応じた行動を起こさなければ無意味になってしまいます。
社内広報を使った発信や、経営層が直接アナウンスするなどして、クレドが使われるように工夫するのが大切です。
具体的には、朝礼や定例会議で伝えたり、会社内に張り紙を張ったりするとよいでしょう。
行動につながる指針にする
クレドは従業員の行動指針を鮮明にしていますが、現実的でない行動指針はかえって逆効果です。経営の理想は唱えながらも、従業員が自ら実践しようと思えることが大切です。
特に経営層は現場や従業員の意見に耳を傾け、実際の行動につながるようなクレド作成を心がけましょう。
目的や意味を共有
行動指針だけを伝えても、根本的な従業員のモチベーションアップにつながらないため、クレドの目的や意味を共有しましょう。
一方的な押しつけは従業員のやる気をなくしかねません。
なぜクレドを作るのか、クレドを作成しどのようになりたいのかを、プロジェクトチーム発足時に決めるのがおすすめです。
クレドの導入事例
クレドの導入事例を3つ紹介しますので、詳しく見ていきましょう。
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
クレドの発祥企業であるジョンソン・エンド・ジョンソンの、クレドを抜粋して紹介します。
(出典:ジョンソン・エンド・ジョンソン 我が信条)
ジョンソン・エンド・ジョンソン特有の上品さや顧客への愛情を感じられるでしょう。
特に、社員一人ひとりが個人として尊重されるという文言においては、企業がいかに社員を大切に思っているかを示しています。
株式会社ニチレイフーズ
冷凍食品でお馴染みのニチレイフーズでは、次のようなクレドを発表しています。
ニチレイフーズのクレドは非常にシンプルで、覚えやすいのが特徴です。丁寧な言葉でクレドの目的がわかりやすく伝わってきます。
楽天グループ株式会社
楽天市場や楽天銀行など、私たちの生活に欠かせないサービスを提供する楽天では、次のようなクレドが、成功のコンセプトと題して発表されています。
実は、これらのクレドは社員証の裏に書かれています。
クレドが全従業員にいきわたり効果を発揮するよう、工夫されているのがわかります。
また、今後クレドを作成する経営層の方は、短くてパワフルなワード選択を記憶に残すとよいでしょう。
(出典:楽天 成功のコンセプト)
クレドについてのまとめ
クレドは従業員のモチベーションをアップさせ、具体的な行動を示すのに欠かせません。
会社単位で見ても、競合他社との差別化やクリエイティブ性が高まるなどのメリットがあります。
経営層の方は本記事を参考にしながら、ぜひクレドを自社で決めてみてはいかがでしょうか。
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