EQとIQの違いは? IQ・EQの高め方を解説
「EQ(情動的知能)」は、1990年代に提唱された概念です。
ビジネスでの成功に欠かせない能力だと言われており、昨今では採用・人事領域の業務の参考とする企業もあります。
「IQ」とよく似た言葉ですが、IQは知能水準を図る指標、EQは感情に対処する能力である点が異なります。
そしてこの2つを高めることは、特にリーダーシップを発揮したいときに有効です。
EQ・IQの概要や、それぞれの高め方を解説します。
EQとは
EQ(情動的知能)とは、1990年にアメリカの心理学者であるピーター・サロベイとジョン・メイヤーが提唱した概念です。
「社会的知性」「生きていくために必要なスキル(ライフスキル)」と呼ばれています。
両名は、研究の結果「ビジネスで成功した人は、例外なく、対人関係能力に優れている」という結論に至ります。
そして、感情が行動に大きな影響を与えており、ビジネスでは感情をコントロールすることが重要だと考えました。
そして1995年、アメリカの心理学博士・ゴールマンが自著『EQ:こころの知能指数』を発表したことで、EQの概念は広く知られるようになりました。
EQにはいくつかの能力がありますが、大きくは他人の感情を感じ取る能力と、自身の感情をコントロールする能力の2つです。
昨今では、EQを計測し、その数値を参考に人事や採用をする企業も増えてきています。
参考:
独立行政法人労働政策研究・研修機構「情動的知能と職業」
WAMNET「第16回: こころの距離を縮める“EQ”とは」
IQとは
一方、IQ(知能指数)は知能の水準や発達の具合を測る検査結果を表す数値のことです。
前提として、「知能」は学習によって身に付けた知識や学力ではなく、その場の状況・環境に適切な対処をするために必要な能力を指すものです。
この能力の度合いは知能検査によって測り、検査結果は知能のおおよその判断基準に使用されます。
IQが高いほど知能も高いと捉えるものの、IQの算定方法や検査回数、対象者の家庭環境などで結果が変動しやすい一面もあります。
参考:厚生労働省「知能指数/IQ」
EQとIQはどちらも必要?
EQは感情を処理する力、IQは環境への適応方法を考える力を計測するもので、一見すると全く別の概念に見えるかもしれません。
しかし、これら2つは相互補完の関係にあり、両方をバランス良く鍛えていく必要があります。
これら2つの関係性を、社内のリーダーに落とし込んで考えてみましょう。
IQが高くてもEQが低いリーダーは、社内外の人々とのコミュニケーションが上手くできず、それゆえに思うように成績を上げられません。
しかしIQに加えてEQも高ければ、部下や同僚、上司の感情の機微を捉えながら業務にあたり、ビジネスシーンでも良い結果を出しやすくなります。
ただし、EQだけが高くてもIQが低ければ、業務上の課題をどう処理するかを考え抜けず、成果を出せないでしょう。
EQの高い人・IQの高い人の特徴
EQ・IQが高い人にはそれぞれ、いくつかの特徴が見られます。
EQの高い人の特徴
EQが高い人には、以下のような特徴が見られます。
柔軟性がある
自分の考えに固執せず、さまざまな意見を聞き入れられる柔軟性があります。目の前の相手に合わせた臨機応変な対応も可能です。
傾聴力・共感力が高い
傾聴力・共感力にも優れています。相手の話をよく聞き、肯定的な姿勢・共感する態度を取れるため、関わる人にもストレスを与えません。
ストレス耐性がある
ストレス耐性もあります。ビジネスや人間関係においては、多少のストレスはつきものです。
EQが高ければそういったストレスに冷静に対処し、適度に発散が可能です。
ストレスを溜め込んで、周囲を困惑させることもないでしょう。
粘り強い
粘り強さも挙げられます。
前述の通り、EQが高い人はストレス耐性も高い傾向にあり、自身のストレスを適度に発散させながら仕事にあたります。
逆境に立たされても、ポジティブな考え方ができるでしょう。同じ業務を長期間続けているときも、無気力になることなく継続できます。
素直
素直であることも特筆すべき点です。
ミスをしたときや何かを指摘されたとき、EQの高い人は素直に受け入れられます。
指摘が自身の人格の否定ではないことをよく理解しているため、感情的にならず、適切に対処できるのです。
IQの高い人が持つ特徴とは
一方、IQが高い人には、以下の特徴があります。
論理的な思考・説明ができる
IQが高い人は、根拠に基づいた論理的な思考が得意です。
感情に左右されることもなく、会話内容の要約や説明も上手い人が目立ちます。
ただし、相手への共感は苦手な方も多数。
彼らに相談をしても親身なアドバイスには繋がらないこともあります。
情報処理能力が高い
情報処理能力の高さも特徴です。物事の本質をすぐに捉え、素早く行動できます。
分析力・理解力に優れていると言っても良いでしょう。
記憶力が良い
記憶力にも優れています。
物事を本質から理解する性質も手伝って、一度見聞きした物事を忘れることはほとんどありません。
何事にも興味を持ち、深く考える
好奇心旺盛で、疑問が生じた際には深く考えたり調べたりする点も特徴です。
彼らの持つ疑問は、一般の人なら着目しないものも多くあります。
EQ・IQを高める方法
EQ・IQは生まれ持っているものではなく、トレーニングをすれば何歳からでも伸ばしていけるものです。EQ・IQを高める方法について解説します。
EQを高める方法
EQを高めたい場合、以下の方法が有効だと言われています。
なお、EQを高めるトレーニングの実施期間は、2ヶ月程度が妥当です。
EQは運転スキルと似ており、仕事から離れる期間が長くなると自身の感情の癖が戻りやすくなります。
定期的に自身のEQレベルを見つめなおす機会を持ったほうが良いでしょう。
傾聴の姿勢を意識する
まずは相手の話にきちんと耳を傾け、異なる物の見方を学びましょう。
誰もが自分の意見と同じとは限りません。
重要なのは、相手の立場になって考えや感情を読み取ることです。
話を遮ったり、自分の考えを押しつけたりしないよう、注意してください。
他人の長所を見つけ、認める
周囲の人々の長所を見つけ、認めるのも良い方法です。
良いと思った点を口に出して、相手に直接伝えてみましょう。
短所があったとしても、「悪いところもあれば、良いところもあるはずだ」と考えてみてください。
自身の感情の動きや行動を分析する
感情や行動を注視して分析することにも取り組みましょう。
自分がいつ、どんな時にストレスや怒りを覚えたか記録することで、自分の感情への理解が深まります。
衝動的な行動や八つ当たりをしそうになったら、一呼吸置いて冷静になりましょう。
アンガーマネジメント診断を受けてみるのもおすすめです。
IQを高める方法
IQを高める方法はさまざまですが、すぐに取り入れられる方法は以下の3つです。
読書をする
いろいろなジャンルの本に、積極的に触れましょう。
一言で「読書」と言っても、活字を読む、書かれた内容を脳内でイメージするといった、さまざまな作業を行っています。
何冊も同時進行で読む、音読するなど、読書にプラスアルファの行動をしてみると、より一層効果が高まるはずです。
適度な運動をする
運動の時間を取り入れることも効果的です。
運動をすると脳の働きが活性化し、記憶力の向上も見込めます。
激しい運動をする必要はなく、ストレッチやジョギング・ウォーキングといった軽いものでも十分です。
無理なく続けられる運動を探してみてください。
団体競技も良いでしょう。ルールが複雑であれば、身体を動かしつつ脳も働かせる必要があり、IQを高めやすくなるかもしれません。
瞑想をする
脳を動かすばかりが、IQを高める方法とは限りません。
1日10分ほど、目を閉じて脳を休ませる時間を設けてみましょう。
記憶力や情報処理能力が一時的に落ちている場合、瞑想して脳を休ませると、良い影響をもたらす可能性もあります。
EQ・IQについてのまとめ
EQ・IQはどちらも、年齢を問わず高められる可能性があります。
相手にきちんと向き合ったり、読書や適度な運動をしたりといった、比較的すぐに取り入れられる方法も多数あります。多角的なアプローチでIQ・EQを高め、リーダーシップを高めていきましょう。
ただし、EQを高めるトレーニングは自分の感情面の癖を適切な形に矯正するもののため、心理的抵抗を感じる方もいます。
元々感情の起伏が激しい方、ちょっとした指摘でも精神的にダメージを受けやすい方は、特に慎重に取り組んだほうが良いかもしれません。
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