【例文有】失敗しない始末書の書き方とは? 書き方のポイント、場面ごとの例文も紹介
始末書とは、過ちを謝罪するために事情を記載して提出する文書のことです。
責任の所在と、不始末の内容を明らかにして謝罪し、再発を防ぐことを書面にて誓約するため、以下の4点を必ず盛り込むようにしましょう。
- 不始末の発生経緯
- 発生原因とその理由
- 不始末に対する反省と謝罪
- 再発を防ぐために今後やるべきこと
今回の記事では、さまざまな場面における始末書に関するテンプレートや書き方についてご説明します。
始末書とは
始末書は、業務上ミスや過失を起こしてしまった時に会社に提出する書類です。
一般的に、以下のようなことが起こった場合に、始末書の提出が求められます。
- 会社の貸与品や備品を紛失・破損したとき
- 就業規則違反や違法行為におよんだとき
- 顧客や取引相手の物品損失や破損
- 業務上の大きなミスによる損失や、手違いによる遅延などのトラブル
- 法律違反したときなど
始末書の目的と効果
始末書の目的は、ミスや過失の再発防止と証拠の確保です。ミスや過失の原因と反省の意をきちんと書面に残すことで、本人の反省・再発防止の意識を高める効果を狙っています。
また、ミス・過失の原因や当事者を明らかにして社員に対する処分の証拠を残す、情報を共有する、他の社員の教育に活用するなどの役割もあります。
始末書と顛末書の違い
始末書と混同されがちな書類として「顛末書」がありますが、始末書と顛末書には以下のような違いがあります。
- 始末書:トラブルや不祥事を起こした従業員に反省を促すための書類
- 顛末書:トラブルや不祥事の一部始終を報告するための書類
顛末書はあくまでもトラブルや不祥事がどのようにして起こったのか、事実を報告するために作成するものです。始末書のように、反省の意を記載することはありません。
といっても、会社によっては始末書と顛末書が明確に分けられておらず、始末書でトラブルや不祥事について報告したり、顛末書に反省の意を記載したりすることもあります。
下記の記事にて顛末書について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
始末書と反省文との違い
始末書に似た書類として「反省文」があります。始末書と反省文は、書くシーン、内容、書いた後の対応などが異なります。
始末書は一般的に、不祥事やトラブルに関与した場合に提出する書類です。一方、反省文は業務上の軽微な失敗やミス、社内での迷惑行為などに対する自己反省を示すために使われます。
始末書には、ミスやトラブルの事実や、反省・謝罪の意、再発防止策を具体的に記載します。反省文は、自身の至らなかった点に対する反省のみを記載し、詳細な経緯や対策は省かれることが多いです。
また、始末書は、ミスやトラブルへの責任として会社から懲罰を受けたときの証拠書類になります。一方で反省文は、個人的な報告として直属の上司や関係者に提出されるため、社内で正式に保管されることはありません。
始末書の書き方
始末書を書くことになった場合、内容によっては社内共有などが行われることもあるため、相手に伝わるように書きましょう。
手書きかパソコン作成か確認する
近年では書類はパソコンで作成することが多いですが、始末書の場合は手書き作成かパソコン作成かは勤務している会社の習慣・規定により異なります。
一般的には手書きで誠意を伝える、という慣習もあったため、自己判断でパソコンで作成しないようにしましょう。
始末書を作成する場合には、上司に相談して作成形式の確認を行いましょう。
縦書きか横書きか確認する
始末書は、縦書きでも横書きでも間違いではありません。
会社によっては独自の風習や規定があるので、まずは上司や担当部署の人に確認してみてください。パソコンで作成する場合は、ビジネス文書の形式で横書きにするのが一般的です。
ただし、始末書の書き方に決まりがなければ、縦書き用の便箋に手書きするとていねいな印象になります。
誠意をもって反省や謝罪を伝えたい場合は、手書きにも挑戦してみてください。
社長宛?上司宛?宛先を確認する
始末書の宛先は、一般的には「社長」「代表取締役」など会社の代表者です。
ただし、状況に応じて「支店長」「所長」など現場の責任者を宛先にする場合もあります。
始末書の宛先を間違えると失礼にあたるので、宛先がわからない場合は事前に確認してください。
基本的な始末書のフォーマットと記載項目
始末書に記載すべき項目は決まっています。必ず下記5点を盛り込むようにしましょう。
1.不始末の内容
ここでは不始末の内容を記載します。ミスや規定違反など、どのようなことを起こしてしまったか、事実を正確に記載するようにしましょう。
2.不始末の原因
次に上記で記載した不始末の原因について記載します。なぜその事象が起こってしまったのか、理由・原因を明確に記載しましょう。
3.反省・謝罪
不始末の内容・原因について記載したら、起こってしまったことに対して反省・謝罪の意を書き記します。ここでは、言い訳のような書き方や責任転嫁にも受け取られる文章にならないように注意しましょう。
4.不始末を二度と起こさない旨
また、不始末を再度起こさないようにするためにどうするのか、という再発防止策を明記しておくことも重要です。
5.寛大な措置を願う旨
最後の締めの文では、「今回に限り寛大な御処置を賜りますようお願い申し上げます。」のような寛大な措置を願う文章を記載すると良いでしょう。
その他の記載項目について
基本的な始末書のフォーマットは上記の記載項目5点のほか、下記を記載、記入欄を設けると良いでしょう。
・記入年月日
・宛先(通常は会社の社長宛)
・所属、氏名、印
・発生日時
・承認欄(上司等)
その他必要であれば、上司のコメント欄を設けても良いかもしれません。上司からも寛大な措置を求める旨の一筆がもらえれば心強いです。
場面ごとの始末書の書き方【例文・テンプレート】
ここでは、場面ごとの始末書の書き方とテンプレートを紹介します。
交通事故を起こしたときの始末書の書き方
交通事故の始末書は、事故報告の意味合いを含む場合もあります。会社によっては社内で回覧される場合もあるので、事実を端的に書くようにしましょう。
▼始末書に記入すべき項目
- 事故の重度(重・並・軽)
- 記入年月日
- 宛先
- 発行者名・印
- 事故名
- 発生年月日
- 原因
- 対策
- その他
その他の欄には、再発防止を誓う旨と寛大な措置を求める旨、さらに謝罪を書くと良いでしょう。
寝坊で遅刻した時の始末書の書き方
電車遅延による遅刻や天災による遅刻では、始末書の提出を求められることはあまりありません。
しかし、寝坊やスケジュールミスなどで何の連絡もない遅刻は無断欠勤扱いとなり、本人へ反省を促すためにも始末書の提出を求められることがあります。
個人の不注意で遅刻したときの始末書は、原因や状況を事細かく説明するよりも、反省と誠意が伝わる文章にするのがポイントです。
以下のテンプレートを参考にしながら、誠意を込めた始末書を作成してみてください。
重要なデータを消したときの始末書の書き方
重要なデータを消してしまった時の始末書には、以下のような内容を記載しましょう。
- データの削除が発生した日付
- 何のデータを削除したか
- いつからいつまでのデータを削除したか(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日までのデータを削除のように記載)
- 原因
- 対策
ミス・過失を起こした謝罪や反省の旨、再発防止に努めることなども書いておくと良いでしょう。
会社の商品や資料を紛失した時の始末書の書き方
会社の商品や資料を、タクシーや電車などに置き忘れて紛失してしまった場合の始末書は、以下のような内容を記載しましょう。
- いつどこで紛失したのか
- 現在の経過(捜索中、発見の有無など)
- 紛失した原因
- 今後の対策
どうして紛失してしまったのか、二度と紛失しないための対策を明記するようにします。
備品を破損・紛失した時の始末書の書き方
会社の備品を破損してしまった時の始末書では、以下の内容を記載しましょう。
- いつどこで破損したのか
- 現在の経過(バックアップデータの復元中、修理中など)
- 破損した原因
- 今後の対策
特に備品を破損してしまった場合には、「会社から貸与」されているものであるということを認識し、反省・謝罪の意を示すとともに二度と起こらないように対策案を明記してください。
クレームが発生したときの始末書の書き方
クレームが発生した時の始末書には、以下の内容を記載しましょう。
- クレームに対する反省と謝罪
- クレームが発生した原因
- クレームになった事の事実関係
- 再発防止への取り組み
クレームが発生したときは、誠意を持った対応が求められます。まずは不快な思いをされた方や関係各所に対するお詫びの気持ちを示し、再発防止に向けた取り組みを行うことを記載してください。
アルコールチェック違反の始末書の書き方
飲酒運転や飲酒による不始末など、アルコールに関する始末書には以下の内容を記載しましょう。
- アルコールの不始末に至った経緯
- アルコールの不始末に対する反省・謝罪
- 二度と同じことを起こさない意志を示す
始末書には言い訳などを含めず、事実関係を簡潔にまとめます。さらにアルコールの不始末に対する反省・謝罪を、誠意を持って書き記してください。
タイムカード打刻忘れの始末書の書き方
タイムカードの打刻を忘れた際の始末書には以下の内容を記載しましょう。
- タイムカードの打刻を忘れた経緯
- タイムカードの打刻を忘れた原因
- 迷惑をかけたことへの反省と謝罪
- 再発防止のための対策
タイムカードの打刻忘れは給与計算に直結するため、訂正作業を行う上司や担当者に多大なる迷惑をかけることになります。
二度と同じミスを起こさないためにも原因を明確に示し、心からの謝罪と再発防止策を示してください。
始末書を書く際のポイント
ここでは、誠意が伝わる始末書を書くために、押さえておきたいポイントを紹介します。
事実を正確に記載
始末書には、事実のみを正確に書くよう心がけましょう。
責任を軽くしたいからといって遠回しに書いたり、曖昧な書き方でごまかしたりすると、かえって印象が悪くなってしまいます。
言い訳をしていると受け取られないように、起こった出来事を正確に書くようにしましょう。
トラブル発生の日時・年月日を正確に記載
始末書には、トラブル発生の時間や年月日も正確に記載します。
時間や年月日が記載してあると、いつ何が起きたのか、経緯が把握しやすくなるためです。
「〇年〇月〇日 〇時〇分 〇〇交差点にて、前方不注意による衝突事故を起こしました」のように、具体的に記載しましょう。
分かりやすく簡潔に記載
始末書は、できるだけ分かりやすく簡潔に記載することも大切です。
長々と書くと読みづらくなり、反省の意が伝わりにくくなります。いつどこで、どのようなトラブルが起こったのか、今後どうするのかといったことを簡潔に書きましょう。
提出のタイミングを考える
始末書はトラブルや不祥事発覚後、または会社から提出を求められたら、できるだけ迅速に出すのが基本です。
ただし、事故や製品の欠陥など、早急な対応や継続的な調査が必要な場合は、始末書の作成は後回しにして問題解決を優先する必要があります。
その時々の状況に応じて、始末書を提出するタイミングを考えましょう。
始末書の効果や未提出時に考えられるリスク
始末書の提出は必須なのか、提出しないとどうなるのかといった点も気になりますよね。
そこで、始末書の効果と未提出時に考えられるリスクについて解説します。
始末書提出は必須なのか
就業規則などで定められていない限り、始末書の提出は必須ではありません。
とはいえ、会社から求められた書類を提出しないとなると、会社との関係が悪化する可能性が高いため、自身に非がある場合は素直に応じるのが賢明です。
会社側は、無理に始末書を提出させるとパワハラとみなされる可能性があるので、始末書に関する就業規則を定めておきましょう。
始末書を提出しないとどうなるのか
前述のとおり規則で定められていない限り、始末書の提出は必須ではありません。
しかし、提出しないと会社との関係が悪くなったり、人事評価に影響したりする可能性があります。
会社側としては、無理に始末書を提出させることはできないものの、何もせず放置するわけにもいきません。
従業員が始末書を提出しない場合は、反省を促す始末書ではなく、トラブルや不祥事の経緯を書いた顛末書の提出を求めると良いでしょう。
始末書提出後も改善されない場合はどうなるのか
始末書提出後も同じようなトラブルや不祥事を繰り返す場合は、就業規則に沿って減給や出勤停止などの処分を与えるのが一般的です。
内容が深刻な場合は、懲戒解雇や諭旨解雇などの重い処分になることもあります。
始末書を書く際の注意点
続いて、始末書を書く際の注意点をみていきましょう。
反省や謝罪の気持ちを表すためには、提出するタイミングや内容がポイントです。
提出期限を守る
始末書を提出するときには、会社で定められた期限を守る必要があります。
提出期限は、ミスやトラブルが発生した日または翌日に設定されていることが一般的です。会社で定められた提出期限を確認しておきましょう。
始末書の提出を指示された場合には、提出期限にかかわらず、できるだけ早く提出するよう心がけましょう。
事態の収束後に提出が求められる場合もありますが、正確な内容を書くためにも、即座に始末書を作成しておくことが大切です。
誠実に事実のみを書く
始末書には、正直かつ率直にミスやトラブルの内容を書きましょう。遠回しな記載や言い訳は避け、誠実な姿勢で記載することが大切です。
始末書はミスやトラブルの事実と、反省の気持ちを伝える書類です。事実を正直に書かなければ、相手に反省の意が伝わりません。
また、自分の過ちを正当化せず、客観的に事実を伝えることでその後の信頼にもつながります。過去の出来事を冷静に振り返り、反省と謝罪の気持ちを明確に記載しましょう。
まとめ
個人の不始末で何かしらのミスを犯してしまった場合には、始末書を提出しなければなりません。
組織に所属していると当たり前のように感じてしまいますが、勤務時間においても会社の設備や備品においても、それらは会社の管理下にあり、全てに費用がかかっています。
ほんの小さな不注意が重大な過失となってしまうこともあります。ミスのない人間は存在しません。ミスを犯したあとどうするかが重要なのです。
できることなら始末書を書く機会のないように日々注意したいものですが、万が一、不始末を起こしてしまった場合にはテンプレートを参考にしてください。